介護支援を必要とする人が、多種類の介護保険サービスを利用する際に、利用者本人が多種類のサービス窓口に直接出向いて利用申し込みを行わずとも、居宅介護支援事業所というひとつの窓口にその機能を集約させて、すべてのサービスが利用できるように支援することをワンストップサービスと呼ぶことができる。

介護保険制度誕生から2006年3月までは、一度介護認定を受けて更新認定を受け続ける限り、利用者が希望するのであれば、ずっと一人のケアマネジャーが担当者であり続けることができた。信頼でき任せられるケアマネジャーを窓口として、ケアサービスが継続的・連続的に展開できるという「完全なるワンストップサービス」が機能していたわけである。

しかし2006年4月から新予防給付が導入され、介護認定と予防認定が区別され、要支援1と2という区分ができたことで、予防居宅介護支援の事業指定は地域包括支援センターしか受けられなくなった。

このため予防プランを主管するのは地域包括支援センターとなり、居宅介護支援事業所が要支援者の予防計画を立てるためには、予防居宅介護支援事業所である地域包括支援センターの委託を受け、下請けにならない限り継続的に担当窓口であり続けることはできなくなった。

そのため短い期間で状態変化が生じやすい人で、更新認定のたびに要支援2と要介護1の間を行ったり来たりという揺れ動く人は、そのたびに予防計画担当者と介護計画担当者が変わるという現実に直面して、その中には計画担当者との信頼関係や人間関係がなかなか構築できないというケースも発生した。

それはまさにワンストップサービスの完全形の崩壊による弊害といえる現象といえた。

ところがこの問題の関連して、10月9日に行われた介護保険部会の議論の中で厚労省は、求められる役割が増えている地域包括支援センターの負担を軽減し、地域全体を見据えた連携・調整や相談対応などの機能の強化につなげるためには、「予防プラン」について、居宅介護支援事業所により多くの業務を担ってもらう方向で検討を進めていく方針を示した。

厚労省の考え方はあくまで、「要支援者の予防プランは引き続き包括が担うことが重要で、居宅介護支援事業所への外部委託を行いやすい環境の整備を進めることが重要」としているものである。

しかし、「外部委託を行いやすい環境」とは即ち、委託料の改善が不可欠であると言うことだ。

そもそも予防プランだからといって、介護プランよりプラン作成業務が軽減できるわけではない。毎月の訪問義務はないといっても、実際には月単位のサービスプランの適性を評価するために、義務以外に毎月自宅訪問して確認しなければならないケースも多い。

よって予防マネジメントにかかわる費用が、介護マネジメントにかかわる費用と比較して、著しく低額である現状では、委託料もその範囲でしかないのだから委託環境も改善しない。

厚労省は、「要支援者などに対する適切なケアマネジメントを実現する観点からは、引き続き包括が担うことが重要」としているが、その内容は、なぜ適切な予防マネジメントは包括支援センターが主管する必要があるのかという問いかけに対しては、説得力には欠ける論理でしかないというしかない。

委託の予防プランをいちいち包括支援センターの担当者が隅々までチェック検証して、常に必要なアドバイスをしているという事実はない。委託プランは丸投げプランそのものである。そうであっても委託プラン自体に支障があって自立支援を阻害していると問題になることもないのが現状だ。

そもそも地域包括支援センターの予防プランとは、すべて適切なマネジメントであると言い切れるほど立派なものなのだろうか。怪しい予防計画など、そこかしこに存在しているのではないだろうか。

ということでいっそのこと、予防プランも利用者の希望に応じて、居宅介護支援事業所に、直接作成依頼できるようにすればよい。作成単価も介護給付と区分せず、同じ単価設定とすればよい。

そうした思い切った改革によって、失われたワンストップサービスの完全形を取り戻すことが、一番求められていることだ。

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