10月からの介護報酬改定に関連して、「介護保険最新情報vol.740」が発出され、今回の改定に伴う利用者負担額の改定に同意した旨の署名・捺印は必ずしも要しないという考え方が示された。

これは今回の介護報酬改定が消費税率引上げに伴う臨時・ 特例的な対応であることを踏まえことによる特例で、各介護事業所は利用者に対し説明を行った日時・方法・対象者を明確に記録し残しておくだけで良いとする通知だ。

しかしこの通知が発出されたのは9月18日。自己負担額が改定されるのは10月で、その説明・同意は9月中に行わねばならないのだから、9月に入った時点ですぐに説明・同意に動いていた介護事業者が多いと思う。よってこの通知が発出された時点で、すでに多くの事業者が説明同意を終え、利用者から署名・捺印をいただいていたはずだ。

それがいまさら不要と言われても、何の事務負担削減にもならないし、利用者にとってもわざわざ事業者を訪れ署名捺印したことが無駄になったとしか感じないだろう。

この通知で恩恵を受けるのは、事務作業の腰を上げるのが遅れていた事業者くらいではないのか・・・。こうした通知を出すなら、せめて説明同意の事務作業にかかることが明らかな9月を前に、その前月の8月中に出すべきではないかと思う。報酬解釈のQ&Aじゃないんだから、その程度のスピード感は持てるだろうに・・・。まったく現場ニーズを無視した行政通知としか言いようがない。

さて制度改正に関連しては、一昨日書いた、「2020年制度改正に向けた動きについて」の中で、2割負担と3割負担の対象者の拡大について触れたが、それについては具体的な動きがすでに始まっている。

2割及び3割負担者は、現行では所得水準の上位20%を対象としているが、これを上位25%へ拡げる案を軸に検討する方針を厚労省が示している。

僕の講演を聴いたことがある人は、このことはすでに承知しているだろう。

2017年に制定された、「地域包括ケアシステム強化法」によって、65歳以上のさらに所得が高い利用者の3割負担導入が規定されたわけだが、これにより介護保険サービス利用時の利用者自己負担は、スタンダードが1割負担、一定以上所得者が2割負担(※単身で年金収入のみの場合で280万円以上など)、現役並み所得者が3割負担(※単身で年金収入のみの場合で383万円以上など)の3段階になったわけである。

しかも2割負担が導入されて、わずか3年しかたっていない時点で、3割負担が導入されている。これは明らかに利用者負担のスタンダードを2割に引き上げ、1割負担を廃止する動きであることは、一昨年から僕は講演で言い続けていることで、まさにそれが現実化しようとしている。

そのために一気に1割負担を廃止するのではなく、2割負担の幅を広げ(対象所得を引き下げるという意味)、3割負担の枠も広げながら、徐々にアリバイ作りをしつつ、1割負担廃止へのソフトランディングに向けて動き出したということになる。

さらに高額介護サービス費の上限も、44.000円(月)から引き上げを行うことになる。補足給付の認定に資産換算をすることと合わせて、利用者負担の増加増によって制度を下支えしようという訳だ。

このように消費税のアップと合わせて国民の痛みはさらに増すわけである。政治改革には全くと言ってよいほど手を付けず、政治家は一切痛みを感じない中での国民負担は許されるのだろうか・・・。

さて話はすっかり変わるが、昨日ひとつ嬉しいことがあった。将棋ファンでもある僕が注目していた第60期王位戦(北海道新聞社も主催者の一つ)7番勝負の最終局で、挑戦者の木村一基九段が勝利して初戴冠したことだ。46歳3カ月での初戴冠は、これまでの37歳6カ月(有吉道夫九段)の記録を大幅に破る新記録である。

藤井聡太七段という高校生のニューヒーローが人気を沸騰させた棋界において、おじさんパワー健在というところを見せつけた。まさに中年の星である。

しかしそんな実力者である木村新王位は、一面苦労と挫折の道を歩んだ人でもある。

プロの登竜門である奨励会に入会してからプロになるまで10年以上かかるという遅咲きぶりが、その苦労の一つ。プロになってからは勝率が高く、常に第一線で活躍してきたが、七大タイトル戦は何度も挑戦権を得ているが、その都度タイトルホルダーにはじき返され、タイトルとは縁がなかった。

特に2009年度は悔しさのピークの年で、羽生九段との棋聖戦五番勝負は第3局まで2勝1敗でリードして、奪取にあと1勝としたが、第4局で敗れてフルセットの戦いとなり最終局でも敗れている。そして深浦王位に挑戦した王位戦七番勝負でも第3局まで3連勝したものの、第4局から4連敗を喫し、またしても初タイトル獲得に失敗している。

そんな挫折を乗り越えて、本来なら棋士としての力のピークを越えることが多い46歳にして初戴冠は見事としか言いようがない。しかも木村新王位は、名解説者としても有名で、テレビ将棋ファンを愉しませる第一人者でもある。 

人間的にも奥深い人格者である新王位の、今後の益々の活躍を期待したいところである。

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