総務省が敬老の日を前に発表した、「人口推計」によると、人口減少社会の中で65歳以上の高齢者数は3,588万人で、2018年より32万人増え、全体に占める割合は28.4%と過去最高になっている。

これは世界一の数値であり、2位のイタリアが23%なのだから、世界でも突出して高い数値であると言える。

その中で65歳以上の就業者数は862万人と、15年連続で過去最多を更新しており、高齢者が空前の人手不足を支える貴重な人材になっていることを示している。

しかし現在は75歳以上人口が増え続ける中で、この現象が起きているという事実は、75歳以上の人口増が落ち着いて、85歳以上の人口が急速に増えるとされている2025年以降を見据えたとき、働くことができる元気高齢者が一挙に減って、全産業での人手不足はさらに進行し、その中で介護ニーズが一気に増えることになる。その意味するところは、介護を受けられない、「介護難民」が大量に出かねないということだ。これに対する有効な処方はされていないのが現状である。

外国人労働者を今以上に受け入れて、緩やかな多民族国家化へと進む以外方法はないのだろうか・・・。

そんなことを考えさせられる、「敬老の日」であるが、介護事業者ではこの日に合わせて様々な行事が行われていることだろう。暦の上では3連休だったのだから、連休の最初の日にイベントを終えたという事業者もあるだろう。どちらにしても年間を通じて最大イベントを実施している介護事業者も多いことは間違いのないところだ。

そうした大きな行事は、企画運営する職員が高揚感を持ちやすいし、大きなイベントが無事終了した後には達成感を抱きやすい。

そのこと自体を否定するつもりはない。しかし同時にイベントの主役であるはずの利用者にとって、そのイベントが本当に必要なものであったのか、非日常を愉しめる内容であったのかなど、利用者の立場に立った検証作業を忘れないでほしい。

イベントの最中も、利用者の様々な表情を注意深く観察してほしい。

介護施設などでたくさんの利用者が参加するイベントで、必ず全員が愉しめているなんてことはあり得ないと思う。イベントの趣旨を、利用者全員が理解してくれているとも限らない。

その時、対人援助の専門家と言える人々は、イベントを愉しんでいる利用者の表情だけに注目するのではなく、少数派なのかもしれないけれど、確かにそこに存在する否定的な感情を見逃さないようにしたいものだ。

アトラクションを観て笑っている人の傍らで、つまらなそうにしている人や、苦しそうな表情の人がいるのはなぜかということに思いを馳せる専門家でいてほしい。

大きなイベントの後で、職員がそれをやり切ったという充実感を味わっているまさにその時に、「祭りの後の寂しさ」に表情を曇らせている人はいないかという配慮ができる専門家であってほしい。

愉しんで笑っている人は、そのままで良いのである。しかし無表情にそこに居るだけの人や、つまらなそうにしている人は、心の中で哀しんだり、怒ったりしているかもしれない。その時には見守るだけではなく、そっと声を掛けて、場合によってはあなたの温かな手を差し伸べる必要があることを忘れないでほしい。

おせっかいを求めている寂しい人がいるかもしれないと、気を使う人であってほしい。

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