「場当たり的対応」・・・日本介護支援専門員協会の現状を表す言葉を一つ挙げるとした、この言葉が一番ふさわしいのではないだろうか。

特定加算の最初の処遇改善計画受付締め切りとなった先週、日本介護支援専門員協会の会長が、2021年度の報酬改定に向けて、「ケアマネにも処遇改善を国に求めていく」とインタビューに答えたニュースがネット配信されている。

今回の特定加算の配分については、事業者に広く裁量権が認められており、「その他の職種」にも配分することが可能となっており、かつ法人単位の配分支給も認められている。しかしその場合も、「特定加算の算定対象サービス事業所における業務を行っていると判断できる場合の職員のみ」に支給できるだけであり、加算対象サービスとなっていない居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、法人単位で「その他の職種」まで配分支給される場合も、蚊帳の外に置かれその恩恵を受けることができない。

そのため介護支援専門員と介護職員の平均給与は、今後後者の方が高くなる可能性もあり、介護支援専門員の成り手不足にも拍車がかかるとして、そのような発言になったものだろう。

しかしこの発言は、職能団体の全国組織の会長という立場の人の発言としては時期を外したKY発言でしかなく、かつ何の戦略性もない発言と言える。この人は職能団体のトップとしての器量がないと言って過言ではないだろう。

2018年4月の介護報酬改定時に、従前からの処遇改善加算も新加算気鮨契澆靴討い襦それを含めて全体の改定率はプラス改定(0.54%)となったことは今更言うまでもないが、その背景には診療報酬とのダブル改定があり、薬価が−1.45%と大幅に引き下げられたことによる財源があったという理由がある。

今年10月からの特定加算は消費税の増税分で賄われている。その分を含めて介護報酬全体の改定率は2.13%(処遇改善1.67%、消費税対応0.39%、補足給付0.06%)とされ、このアップは事業収益には結びつかないものの、2年連続のプラス改定とされている。このことは2021年の介護報酬改定にとっては逆風となるもので、介護報酬単独の改定となる次期報酬改定時には、財源がないという理由によりマイナス改定になる可能性が高まっている。
(※国の主張としては、骨太改革で社会保障費の削減が続けられている中で、2年連続報酬をアップされている医療・介護業界は、他の産業より優遇されたのだから、次回の報酬改定時は、他の分野とバランスを取るために、少し泣いてもらうよというわけだ。)

そんな中で、「ケアマネにも処遇改善加算を」と主張しても、それを認めるとしたら、特定加算や従前からの処遇改善加算もしくは他の介護報酬を削って日本介護支援専門員協会が主張する加算財源に回すしかない。そんな主張は、国のみならず介護業界全体から指示されないどころか、手前勝手という批判さえ浴びかねない問題である。

特に特定加算は、経験年数が高い介護福祉士を優遇するあまり、他の職員との給与格差という問題を生んでいるので、介護事業経営者の中には、本当に特定職種の処遇改善加算という考え方がずっと続いてよいのかと疑問を持ち始めている人が出始めた。そんな時に、処遇改善加算に後乗り便乗するような意見に賛同する声は少ない。

そもそも介護支援専門員は必ずしも、「募集しても応募がない」という状況ではなく、介護職員に比べて、「人材不足感」がない。今後の不足に備えた「処遇改善」の主張には、そういう意味でも説得力がない。

むしろ介護支援専門員の職能団体として主張すべきことは、特定加算を財源として給与改善されている職員は、定期昇給も加算財源とできるのだから、その分加算以外の事業収益の中から人件費に回す費用は減っているということだ。だからこそ加算以外の財源を使って、特定加算や従前からの処遇改善加算の恩恵を受けられない職員の給与アップを図り、職場全体の待遇均等を図るべきであることを堂々と主張すべきではないのだろうか。

そもそもケアマネの仕事は減らされようとしているのである。要介護1と2の対象者の通所介護利用、生活援助利用、福祉用具貸与については、地域支援事業化が模索されている。そうなった先には、居宅サービス計画作成の必要がなくなる人が、現在の利用者の半数近くの数にのぼり、居宅介護支援事業所の大整理時代が始まる。

ケアマネの数も、将来的には今より少なくて済むことを見越しているから、国はケアマネの合格率が下がって、ケアマネの成り手が少なくなっても何も動揺していないのだ。

このことは、「ケアマネジメントの標準化を企む学者の黒い腹」で紹介した標準化議論とも無縁ではなく、標準化された先には、計画作成の一定のエビデンスが示されたとして、業務負担が軽減できたとされ、居宅介護支援費の額を引き下げて、ケアマネ一人当たりの標準件数を増やすということも国の視野に入ってくる。協会役員はそのことに気が付いているのか?

そもそもケアマネジメントの標準化とは世間一般から見れば、「居宅サービス計画は誰が作っても同じレベルになる」という意味でしかなく、ケアマネの専門性は著しく低下して印象付けされていくだろう。そんな職種に加算なんて渡されない。

そういう意味では、日本介護支援専門員協会が今主張すべきことは、「私たちにもお金を恵んでくれ」という物乞い提言ではなく、介護保険制度の中心にあるはずのケアマネジメントが、制度から外されていく状態を阻止する主張であり、ケアマネジメントの専門性をアピールする主張ではないのだろうか。

そうした提言やソーシャルアクションを一切しないで、物乞い発言に終始する職能団体に存在価値はないと思うのは、果たして僕だけだろうか・・・。それにしても人材が全くいない組織である。

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