昨日から滞在している島根県松江市は日中の最高気温が33度となり、今日は35度まで上がるという。

北海道の人間にとってはきつい猛暑だが、それを癒してくれるのが宍道湖だ。昨日はその宍道湖の有名な花火大会最終日で人手がすごかった。僕は人ゴミがあまり好きではないので、ホテルに籠って食事もコンビニ飯にした。

しかし一昨年見た宍道湖の夕日が忘れがたいので、今日は必ず見に行きたいと思う。
宍道湖の嫁ケ島と袖師地蔵を染める夕日
この美しい宍道湖は、しじみの宝庫でもある。松江に来ると朝からおいしいシジミの味噌汁を飲めるのが楽しみの一つでもある。今朝は早速、ホテルの朝食でシジミ汁を呑んで肝臓も元気になった。

という訳で今日は朝10時から夕方4時まで、いきいきプラザ(島根県松江市)で5時間講演を行なう予定になっている。お昼の休憩時間も著作本販売などのため記事更新の時間が取れないと思い、朝から記事を更新して、講演直前のこの時間を利用してアップしているところだ。

今日の講演は看取り介護セミナーとして行なわれるものであるが、このことに関連しては先週月曜日に、「逝く瞬間を看取る意味をもう一度深く考えよう」という記事を書いて、旅立つ瞬間を看取ることにも重要な意味があり、安易にそのことを、「必要なし」とする風潮があることに警鐘を鳴らした。

看取り介護は対象者が息を止める瞬間を看取るという意味ではない。それはわかっている。看取り介護とは、命の期限がある程度わかっている人に対して、やがて来るであろう(ほぼ半年以内)お別れの時期を意識しながら日常支援を行うことを看取り介護と言う。それはその時期のケアサービスすべてを指すものであり、その時期の日常支援がきちんと行われておれば、旅立つ瞬間に誰かが看取っていないとしても、そのことが重大な問題となるわけではない。そのことは十分理解している。

しかし最初から、「看取り介護対象者が息を引き取る瞬間を看取ることは大した意味がない。」と考えて支援を行う人と、そうではなくできれば息を引き取る瞬間までを看取ってあげたいと考える人の眼差し(まなざし)は違うものになるのではないかと思う。

旅立つ瞬間を看取るためには、その旅立ちがいつになるのかを意識して、そのことに気が付けるように細かな観察が必要になる。結果的に旅立ちを看取れなかったとしても、その瞬間を看取りたいと思って行う日常ケアと、そんなことまでしなくてよいと思いながら行う日常ケアには必ず差が出てくる。

息を引き取る瞬間まで傍らにいようと考えることは、あまりにもおせっかいだと言われても仕方ない。だからといってそれはおかしい考えだとは思わない。尊い人の命が燃え尽きるという厳粛なシーンに寄り添うとすることに何を言われようが揺るぐものはない。

それに息を引き取る瞬間を看取ることができるかどうかは、遺族の方々にとってより大きな意味となるときがある。

様々な事情で家族の旅立ちの瞬間を看取ることができない人たちがいる。その時、愛する家族が旅立った後に駆けつけた家族が、「最期に苦しみませんでしたか?」・「どんなふうに逝きましたか?」と尋ねられた時に、「息を止める瞬間は確認できませんでしたが、それまでずっと必要なケアはできており、○○さんも満足されていましたので、寂しくはなかったと思いますよ」としても良いとは思う。遺族の方々にきちんと説明しさえすれば、納得してもらえると思う。

しかし同じ質問をされたときに、「全く苦しまないで、すーっと眠るように息を止めたんですよ」・「穏やかな顔をされて旅立っていかれました。」・「一度息を止めたように見えたので、大きな声で名前を呼びかけたら、もう一度大きく息を吸ってはいて、そのあと本当に息が止まりました。まるでお別れの挨拶をしてくれているように逝かれました。」と説明できたとしたら、そのことには意味があるのではないかと思う。

だから僕はそういう看取り介護を目指してきた。そこまでしなくてよいとか、やり過ぎでしょうと言われたこともある。でもそんな声はすべて第3者の声である。旅立った人の声は聴くことができないが、遺された方々にその瞬間を説明して迷惑がられたことはない。むしろ涙を流しながらその説明に耳を傾け、感謝の言葉を口にするたくさんの方々と出会ってきた。

学者や官僚が語る看取り介護と、僕が語る看取り介護は、その部分で大きく違ってくるのだ。本当の看取り介護を実践している人間にしか見えないもの、聴こえないものがあるのだ。

息を引き取る瞬間を看取る意味については、僕の最新著作本、「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」の194頁に、「旅立つ瞬間を看取る意味」というコラムを書いている。是非そちらも参照していただきたい。

今日の島根県老施協主催・看取り介護セミナーでも、そのことはしっかり伝えてくるつもりだ。

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