僕は先ほど札幌に着いたところだ。今日13:30〜札幌を拠点として道内各地に介護施設や居宅サービス事業所等を事業展開している、「社会福祉法人・渓仁会」さんのから依頼を受けて、「看取り介護講演」を行うためである。

同法人は、地下鉄東西線西28丁目駅直結のビルに研修室を持っているので、そこに向かう前に、札幌ラーメン共和国に寄ってランチをした後、エスタでまったりと時間待ちをしながらこの記事を更新している。

今日の講演受講者は、施設長や経営管理部門担当者などを含めて、看護師・介護支援専門員・社会福祉士・介護福祉士など全職種横断で、主に職場のリーダー的役割の方々が研修会場に集まるほか、テレビ会議システムによるライブ配信を行って、全道各地の事業所内で職員の皆様が受講する予定となっている。

それらの皆様の明日からの実務に活かせる、「看取り介護の実践論」を話すことを心掛けたいと思う。

死者数が増え続けるわが国では、看取り難民を生まないためにも、すべての介護施事業者が「看取り介護」を実践しなければならない。そのため昨年の報酬改定でも、種別横断で様々なサービス事業において終末期支援への取り組みが、何らかの形で加算評価されているし、その流れは今後の介護報酬改定・診療報酬改定の中でも引き継がれていく。そのことの意味を重く受け止める必要がある。

そもそも看取り介護は特別な介護ではなく日常ケアの延長線上にあるもので、看取り介護ができないということはケアができないという意味になり、そんな介護事業者があってはならない。そういう意味では看取り介護とは、事業管理者が、「する・しない」とか「できる・できない」と判断する問題ではなく、高齢者の日常ケアのたどり着く先は、必然的にその人の終末期支援であるという意識のもとに、いつでもどこであっても提供しなければならないケアサービスなのである。

そうであれば当然、介護事業者に所属する職員には、事業種別に関わらず、すべからく終末期を迎えた人の身体状況の変化などの知識が求められ、それを身に着けるための教育も正しく行われる必要がある。

このブログでも何度か書いていた終末期に必ず現れる身体変化や、現れる可能性が高い変化、ごくまれであるが生じる可能性がある身体現象などがあるが、そのようなことを知らずして看取り介護に携わった場合、そうした現象が起きたときに職員が慌てふためくことになるかもしれない。それでは困るわけである。なぜなら職員が慌てふためく状態は、看取り介護対象者やその家族に不安しか与えないからだ。

だからこそ終末期に起こるであろう身体状況についても、きちんと把握・理解しておく必要がある。例えば死を目前にした人に起こる現象として、事前喘鳴やチェーンストークス呼吸、下顎呼吸などがあるが、それは苦しんでいる状態ではないことを説明し、原因や対処法をあらかじめ明らかにしておく必要がある。

そのため僕は、「愛する人の旅立ちにあたって」というパンフレットを平成22年に作成したが、その最新バージョンを、今年1月に日総研出版から上梓した「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」に資料掲載している。それらを参考にしながらそれぞれの施設に見合った終末期支援の説明書式を作成していただきたい。

下顎呼吸の時に、苦しがっているから酸素吸入をしてくれと訴える家族に、その場で、「下顎呼吸は本人に苦痛がない状態であり、逆に酸素吸入をするこがかえって苦しめる結果となるため、その必要がない」ことを伝えても、そんな場面では十分にその理由や意味を伝えることはできないだろう。

切羽詰まった場面でそんな説明を聞かされた家族だって、説明されたことを理解できるわけがない。そうであれば家族は不安と悲しみの中で、看取り介護対象者を見送らねばならなくなる。

そんなふうに不安な状態にしないように、事前に必要な情報提供が求められるのだから、本で紹介した書式は、本来看取り介護を行う事業者すべてが備え置くべき基本書式であると思っている。

加算の算定要件になっているか否かはどうでもよいことで、命に寄り添う場で、最期の瞬間まで看取り介護対象者と、その家族が安心できるためには、何が必要かを考えてほしい。

残念なことではあるが、看取り介護に取り組んでいる介護施設等の職員が、看取り介護に関する基本的な知識を身につけていない現実を、全国のいろいろなところで見てきている。看取り介護加算の算定要件だけを知って、看取り介護の際に求められる基本知識を身に着けたと勘違いしては困るわけである。

そんなことがないように伝えていきたいことがたくさんある。今週金曜日には神楽坂でも看取り介護について話してくる。それは東京都社会福祉協議会・栄養士・看護師・介護士 合同研修会の中での話であるが、当日は講演が4時間、シンポジウムのコーディネートを1時間、その後質疑応答を30分行う予定である。

こんなふうに、正しい看取り介護の知識と支援技術を伝えるために、全国どこへでも飛んでいくので、講演依頼、もしくはその打診等は、メールで気軽にお問い合わせいただきたい。

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