今日は一日、社会医療法人・北九州病院さんで介護職員向けの研修講師を務めている。

講演時間は10:10〜16:10の予定で、テーマは「介護のプロとして求められる実践力〜サービスマナーから看取り介護まで」としている。先ほど午前中の講義を終え、今昼休みの真っ最中である。この後13:10〜午後の講義を再開するが、それまでの短い時間を利用して、この記事を更新している。

さて本題。介護事業者の職員の平均給与は、他産業のそれより下回っていると言われる。しかし本当にそうだろうか。平均給与のデータの抽出方法もいろいろで、資料によっては介護事業者の職員のぉれは、他産業平均と変わらず、女性だけを取り上げればすでに他産業平均を上回っているとしているものもある。どのデータ、どの資料をピックアップするかで、その結果はかなり違ったものになるのである。

勿論、介護事業者の中には、地域密着型通所介護を1事業所だけ経営している母体とか、グループホーム2ユニットのみを経営している母体とか、小規模経営事業主体も多い。そういうスケールメリットが全く働かない事業主体が、規模の大きな法人と同じだけの職員待遇にできるわけがなく、給与水準が他産業平均を大きく下回る事業者が存在することは事実だ。

しかし措置制度時代から経営を続けている社会福祉法人などの職員待遇は、もともと国家公務員準拠の給料表に基づいていたし、介護保険制度以後、その給料表を見直したとしても、極端にその額が下がることはないことに加え、介護職員処遇改善加算によって、介護職員の給与は他産業に比べて低くなっているわけがない。現に僕が経営していた社福の職員給与ベースは、地域では市役所職員とそん色ないものだった。今でもその傾向は変わっていないだろう。

介護事業者の規模が大きくになるほど、職員待遇は向上する傾向にあり、他産業の平均給与ベースより高くなっているところも少なくない。しかも本年10月からの特定処遇改善加算によって、この傾向にはさらに拍車がかかり、介護職員の給与は全産業平均とそん色ないというより、上回るという状況も珍しくなくなってくるだろう。

そうした状況があるということを前提にして指摘しておきたいことがある。

介護の仕事は対人援助そのものであるが、だからといってそのことのみを取り上げて、福祉の精神とかを職員に求めても始まらないということである。虐待を防ぐための論理にしても、介護の仕事だから正義感をもって、利用者に奉仕せよというような指摘では何も変わらないし、何も生まれないのだ。そうした問題ではないとあえて言いたい。

そんな正義感を求める前に、介護を職業としている以上、それは介護という分野に関するプロフェッショナルであるという意識を持つように教育すべきだ。

そもそもプロとは何か?金銭で出力するのがプロである。

使命感だけに頼り切ることほど危険なことはないのだということに気が付いてほしい。ボランティアが腐っていく理由のほとんどは、金銭が介在しないからだ。仕事に正義感など持ち込むから成長しないのだ。だからボランティアを主力にする限り、市町村の総合事業に未来はない。(おっと話がそれた・・・。)

そもそもプロが金銭をもらって奉仕するって恥ずかしいことだと思わないのだろうか?介護給付費は税金と社会保険料という公費で賄われているが、公費からの給与という対価になぜ奉仕が出てくるんだ。そんなのおかしい。公費による対価には、それにふさわしい仕事で返すしかないだろう。奉仕の精神などそこに介在する余地はない。

介護という職業に対し、声高らかに奉仕の精神と正義感を求め続ける限り、それが目指す目的や目標は限りなく幻想化させられていく。そこにおける理念や理想も、目指すべき近い将来の到達点ではなく、幻想の産物でしかなくなる。

それではダメなのだ。介護サービスの利用者に、高品質で適切なサービスを提供し、その暮らしを守るためには、プロ意識に基づいて、もらっている対価にふさわしい仕事をしなさいということに尽きるのだ。

利用者の暮らしぶりを豊かにすることで、選ばれる事業者になるためには、そうした介護のプロフェッショナルを育てねばならないし、そのために適切な対価は手渡さねばならないということに尽きるのだ。

それが介護事業者と労働者と利用者の3者ともに、ウイン・ウイン・ウインになるための唯一無二の方法論である。

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