こんな早い時間に記事更新するのには理由(わけ)がある。

昨日上京し、講演を終えた後、五反田のホテルで一泊し月曜日の朝を迎えたが、今朝はそのまま千葉県鎌ケ谷市に移動し、この後午前10:00〜講演を行う予定である。12時までお話しすることになっているが、昼以降も何かと予定が入る可能性が高く、いつ記事更新できるかわからないので、いっそのこと鎌ヶ谷に向かう移動の真っ最中のこの時間に記事更新を行おうと思い立って、電車内でこの記事を書きはじめ、講演前にアップしている。

今日の講演は、介護支援専門員の皆様に向けた講演である。そうであれば介護支援専門員には、財務省が無茶な要求を突き付けており、そのことの情報提供と解説もしなければならないと思っている。

今年4/23に行われた財政制度分科会資料では、ケアマネジメントの役割りについては、「介護サービスの価格の透明性を高めていくための取組等を通じて、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組み(より良いサービスがより安価に提供される仕組み)を構築すべきである。」と提言されている。

それはあたかも介護支援専門員を価格割引の交渉窓口にせよという乱暴な指摘だ。こんな提言が正当化されてしまえば、高品質なサービスを提供して、様々な加算を算定している事業者が悪者扱いされてしまう。

そもそもケアマネジメントは、価格競争のためにあるのではなく、必要な社会資源と利用者を適切に結び付けるものである。そうであるにも関わらず、価格競争を促すという不純な要素がケアマネジメントの一部だとされてしまえば、安かろう悪かろうサービスも有りということになり、自立支援とかQOLの向上という介護保険制度の理念は、どこかへ吹っ飛んで行ってしまう。

しかし財務省は、その考え方を頑として変えようとしていない。

それが証拠に6/19にまとめられた、財政制度等審議会の「令和時代の財政の在り方に関する建議」では、「介護サービス事業者は介護報酬を下回る価格を設定でき、サービス面のみならず価格競争も可能。しかしながら現実には、サービス価格が介護報酬の上限に張り付いている」として、割引サービスを実施しない事業者や、割引を促さずに事業者を選んで、居宅サービス計画を立案する介護支援専門員を批判している。

介護支援専門員は、もっと公定価格を割り引くための社会活動をせよというわけだ。そのうえで価格を見比べて、より安い価格でサービス提供する事業者を、居宅サービス計画に組み入れなさいというのである。

馬鹿言ってんじゃない。割引ができる制度になっているからと言って、公定価格は価格上限と言えるほど高い価格設定ではない。報酬改定では、改定の前々年の経営実態調査での収支率をもとに、それが高い事業種別の給付費を削減してきた結果、収益を挙げるのに汲汲とするほど低い価格に抑えているのが介護給付費の現状である。

介護事業経営者が莫大な収益を懐に入れているわけではないし、小規模事業所では、従業員より低い年収で介護事業を経営している人がいる中で、サービスが提供されているわけである。3年ごとに給付費が削減されることで、処遇改善加算の支給対象となっていない職員の定期昇給財源確保に苦労している事業者も多い。

それななかでの割引推奨は、介護の職業を社会の底辺化に向かわせる改悪でしかない。

そもそも割引を強要するサービス・買いたたくサービスの品質をとやかく言うことはできなくなることは明白ではないか。「安くしとくから、多少、職員の資質に問題があっても文句は言わないでね」ということになっては困るわけだ。

ところが財務省は割引を促す布石として、居宅サービス計画を作成するプロセスで、複数の事業所のサービス内容や利用者負担について加減算の有無も含めて説明することを、居宅介護支援事業所の運営基準として義務付けるべきだという。そしてそれが適切に行われていなければ、運営基準減算を適用せよという。

このようにケアマネジャーを小馬鹿にするような、乱暴な提案が行われているのを知らない関係者はいないと思うが、それにしてもこの提案に対して、抗議の声があまり聞こえてこない。

介護支援専門員協会は、なぜ真っ先に反論と不満の声を挙げないのだろう。勿論、同協会が4月の財政制度分科会資料に対しては、「利用者による正当な事業所の評価を阻害する可能性が高い」という意見を挙げていることは知っている。しかしそれは協会の公式サイトやフェイスブックに意見書を掲載するという手段でしかない。それじゃあダメなのだ。国の政策とか、介護報酬とかに関連する議論は、真正面から反論をたたきつけないと誰も相手にしてくれない。介護給付費分科会に委員を出している団体が、なぜ強硬に反対の公式意見書を財政審に向かって提出しないのか?それをしないから6/19の建議書では、協会反対意見があることなど何も影響されず、全く無視して再び暴論が展開されているわけである。

反論が反論になっていない協会のこういう中途半端なところが、日本介護支援専門員協会が、国のひも付き団体と揶揄される所以である。この団体に何も期待できないことが、ここでも明らかになっている。

昨年の報酬改定で居宅介護支援費はプラス改定であった。しかしそれは雀の涙程度のアップでしかなく、運営基準改正で介護支援専門員の仕事量は増えており、決して労働に見合った対価とは言い難い。

そのような中で、さらに義務と責任と新たな仕事を押し付けるような提言がされ、それは減算という脅しがセットになっている。こんな横暴を許しておいてよいのだろうか。介護支援専門員はもっと国に対して声を挙げなければならないのではないだろうか。

そんなことも含めて、今日は2時間の講演を行なう予定だ。だからその予告編として、朝のこの時間に記事更新しているのである。

鎌ヶ谷はファイターズタウンだから、ファイターズファンの僕としては、気合と魂を込めて、闘志とともに、鎌ヶ谷の介護支援専門員の皆さんに檄を飛ばしてきたい。

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