僕が検察側証人として関わった裁判の上告審判決が、最高裁第1小法廷で下された。

今朝の北海道新聞電子版もトップニュースでその判決内容を伝えている。タイトルは、「札幌のグループホーム7人死亡火災、社長有罪確定へ 最高裁が上告棄却」である。

貼りつけたリンク先は、一定期間経過後に消えてしまうので、その記事を下記に転載させていただく。
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札幌市北区の認知症グループホーム「みらい とんでん」で入居者7人が死亡した2010年3月の火災を巡り、業務上過失致死の罪に問われた施設運営会社社長谷口道徳(みちのり)被告(61)の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は被告の上告を棄却する決定をした。13日付。無罪とした一審札幌地裁判決を破棄し、禁錮2年、執行猶予4年を言い渡した二審札幌高裁判決が確定する。

一審札幌地裁は2016年10月、「(過失の前提となる)出火原因の特定は困難」と指摘。被告が火災の発生を予測できたかどうかの予見可能性については判断せず、無罪とした。
 
これに対し二審札幌高裁は2017年7月、火災当日の夜勤職員の証言や消防の調査結果から、居間で寝起きし火災で死亡した男性入居者=当時(89)=が「寝間着か近くの洗濯物、またはその両方を居間のストーブの上に置いた」ことを出火原因と認定。被告について「男性入居者がストーブの上に可燃物を置くなどの行動に出る可能性を予測できた。被告は施設運営者として安全なストーブに交換するなどの対策を怠った」と結論付けた。
北海道新聞電子版 05/16 07:54 更新記事を転載
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下の写真は、火元とされた石油ストーブである。火災後の写真画像だから、ご覧のように焼けただれている。
火元とされた石油ストーブ
このホームに入所していた89歳の男性が、寝間着もしくは洗濯物をこのストーブの上に置いたことが出火原因とされたが、その男性入所者もこの火事で焼死している。その人は、「動き回って危ない」・「常時見守りが必要」という理由で、2階にある居室からわざわざベッドをホールに移動して、このストーブのすぐ傍らに寝かせられていたわけである。

しかしその男性については、介護日誌等に「衣類に興味がある」と記録されている。そのような人が、洗濯物が干されているベッドの傍らで寝かせられたらどんな危険が生ずるか、容易に想像できそうなものである。

そもそも、このような天板が熱くなるタイプで、そこにものを置いたら燃え上がるストーブは、一般家庭でさえ使わなくなりつつあるこのご時世に、グループホームという認知症の人々が共同生活を送る場所で、この危険なストーブを使い続けていただけでも過失と言えるのではないだろうか。

もしここ(食堂)に設置されていたストーブが、天板が熱くならない石油ファンヒーター等であったなら、この火災は起きていなかったと断言できる。7人の命は奪われなかったのである。

僕がこの裁判に係ることになった経緯および僕の証言内容については、「出廷1・事故から裁判への経過について」・「出廷2・検察側証人として召喚された経緯」・「出廷3・検察側質問での証言」・「出廷4最終回〜弁護人の反対尋問に対する証言」で詳しく書いているので、是非そちらを参照していただきたい。

1審で無罪判決が出たときは、正直首を傾げた。7人もの命が奪われている事故で、夜勤者が 「男性入居者が寝間着を脱いでストーブの前に立っているのを見た。」と証言しているにもかかわらず、火元が特定できないとされ、だれも責任を負わない判例があって良いのかと憤りさえ感じたものである。その判決が破棄され、最高裁で過失があったとして刑が確定したのはある意味当然だろうと思う。

この判例によって介護施設等の経営者には、利用者を事故から守る管理責任があり、法令に違反していなくとも、安全管理の責任を問われるということが明らかになったと言えよう。この部分については、全国の介護事業経営者にも改めて自覚を求めたい。

昨日をもって裁判は結審し、刑事事件としてはこれでひとまず区切りがついたわけである。しかし失われた尊い7名の命は戻ってこない。肉親をこのような悲惨な事故で奪われた遺族の方々の哀しみも癒えることはないだろう。そういう意味では返す返すも、あの危険なストーブを使い続けていたことが残念でならない。

被害にあわれた方に、改めて哀悼の念を示したいと思う。合掌。

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