自分が入所したい施設づくりを目指そう!!」なんて言っている特養の施設長が全国にたくさんいる。

しかしトップがそんなことを言っている施設が、利用者を週2回しか入浴させていなかったり、排泄介護を定時にしか行っておらず、しかもトイレにたどり着くまでに利用者を廊下に長時間並ばせていたりする。

利用者の服装に無頓着な人が施設長をしている特養では、利用者の大半がスウェットスーツを着せられて、日がな一日その服装のままでいることに何の疑問も持っていない。しかもそうした施設に限って利用者が就寝するときにも着替えをせず、昼間と同じ服装で寝かせられていたりする。そこでは着替えは週2回の入浴日にしか行っていないなんて状態が「普通」になってしまっている。そういう施設のトップが職員に向かって、「自分が入所したい施設にしましょう」なんて言っているとしたらお笑い種である。

人が人との関係性の中で暮らしているという、ごく当たり前のことに気が付けば、身だしなみをはじめとした整容介助の大切さに気が付いて当たり前なのに、寝起きの整容介助がされておらず、髪が立ったままで、目やにが付いたままの顔で人前に出される利用者が少なくない施設がある。その姿に心を痛めない施設トップの、「自分が入りたい施設」とは、いったいどういうところか首をかしげてしまう。

4月に入職したばかりの若い職員が、自分の親よりはるかに年上の利用者に対し、年下の後輩に話しかけるような調子で「タメ口」で会話しているとしたら、そんな施設に本当に自分が入所したいと思うだろうか。

そこでは、「自分が入所したい施設」という言葉が単なるお題目に過ぎなくなっている。

そのそも「自分が入所したい施設づくり」が経営理念に結び付くだろうか?そんなものは理念にはなり得ない。なぜなら「自分が入りたい施設」ということは、様々な価値観がそこに存在することになり、法人として全職員が目指す目標になり得ないからだ。

「自分が入所したい」という個人の価値観を前面に押し出せば、千差万別の価値が混在して何でもありの状態になってしまう。そんな主観に基づいていては、自分を律して、規範に基づいて品質を護るという考え方にはならない。

その状態は少なくともお客様に対するサービスの質にはなり得ない考え方だ。利用者にタメ口で話しかけることが、「親しみやすさ」だと勘違いしている職員は、自分が入りたい施設を、自分が今やっている仕事のままで良い施設に置き換えるから、いつまでもため口を改めようとしないし、自分の馴れ馴れしい横柄な態度を律しようとしなくなる。

サービスマナーを堅苦しいと考える職員は、「自分がどうされたいのか」と問いかけられても、「これでいいだろう」としてマナーを護る必要性を感じなくなる。

自分がこうされたい」という個人の価値観で考えるサービスは、「そこまで求められても大変だから、この程度でも我慢できるか」などという妥協につながってしまうことも多い。

介護サービスを提供する側は、介護労働を行う人間そのものであるから、所詮その労働の範囲でしか、サービスを受けるという現実を考えられなくなる。自分が本当に将来、施設入所するというイメージを持つことができないまま、心のどこかで、「それはないだろう」と考えながら現実感を持てずに、「自分が入りたい施設」を考えたとき、自分の現実の仕事の制約の方を優先して考えてしまうのである。

自分がどうされたいかと考えるのには、そうした制約が生じてしまうということだ。そんな中で考えられる、「自分が入りたい施設」という中で、職員は利用者に対するタメ口やマナーのない態度を改善しようと思わないのである。

理念や目標につながる考え方は、誰もが共通して護るべき規範を含まねばならないのだ。

介護施設が目指すべきは、「自分が入所したい施設づくり」ではない。真に必要とされるのは、介護施設の利用者を顧客と正しく認識し、「顧客が選びたくなる施設づくり」である。そのために地域住民のニーズを徹底的に調査し分析する介護事業経営が求められるのだ。

今、介護施設を利用している人・利用しようとしている人の生きてきた時代背景や生活習慣を見つめ、それらの人たちの真のニーズを徹底的に追及することこそが求められているのである。

いまだに職員に対して、「自分が入りたい施設づくりを目指しましょう」なんて言っている施設のトップは、ボキャブラリーに欠けているだけではなく、事業経営者としてのセンスが問われかねない。

個人の感性に頼る、「介護施設の品質管理」は、いい加減やめていただきたいものだ。

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