僕の手元に、ある組織の公式文書の写しが届いた。

それは日本介護支援専門員協会の会長名で、各都道府県支部長あてに2月26日付で発出された文書の写しで、「居宅介護支援費の利用者負担導入阻止に向けた活動について 」というタイトルがつけられている。

その冒頭には次のようなお願いが書かれている。
『2018 年5月に都道府県支部長様宛に「居宅介護支援費の利用者負担導入」についてご意見を伺いました。何度か繰り返しのお願いをさせていただきましたが、10 支部より未だ回答がございませんので、再度各支部のお考えを伺いたいと思います。』

10もの支部が10カ月を過ぎようとしているこの時期までに回答を送っていないという現状は、日本介護支援専門員協会に対する信頼性と期待感の低さの表れではないのだろうか。支部がどのような意見を挙げても、日本協会という上部組織は聞く耳持たないし、何も期待できないから、意見募集に応えても意味がないと思われているように想像してしまう。

現状から言えば、居宅介護支援費の自己負担導入の流れは、かなり確実になる方向で進められている。これに日本介護支援専門員協会が反対するのは当然だろう。なぜならこのことは国民のメリットにならないだけではなく、保険給付費の抑制策にもならないし、居宅介護支援事業所にとっては利用者負担費用の徴収業務が増え、滞納金も発生するという2重苦・3重苦が予測される問題だからである。
(参照:居宅介護支援費の自己負担導入にメリットはなにもない

この問題に関して今どき、居宅介護支援費だけが自己負担なしであるということの意味がわからんとか、その理由を説明しろとか言っている馬鹿が多いが、それは単に勉強不足である。

もともと居宅介護支援費が全額保険給付されている理由は、「利用者個々の解決すべき課題、その心身の状況や置かれている環境等に応じて保健・医療・福祉にわたる指定居宅サービス等が、多様なサービス提供主体により総合的かつ効率的に提供されるよう、居宅介護支援を保険給付の対象として位置づけたものであり、その重要性に鑑みたものであり、その計画を現物給付の条件としている以上、利用者にその費用の一部を利用者負担とするのはそぐわないとしていたものである。」と国は説明していた。理由についてははっきりしており、全額給付を推奨していたのは国なのである。それをひっくり返しているだけに過ぎないのが、2021年度に居宅介護支援費に自己負担を導入しようという考え方である。

しかしこの流れは止まりそうにない。水面下では2021年からの自己負担導入が決まってものとしてレールが敷かれ、その方向で進められている。今更、国に対して発言力のないひも付き団体である日本介護支援専門員協会が何を言っても、この流れは変わらないだろう。変わるとしたら夏の参議院選挙で、「事件」といえるほどの予想外の結果がもたらされた場合のみだろう。

ところで今回の文書の末尾には、次のような文言が書かれている。

『日本介護支援専門員協会は、いつも皆様にお伝えしている全員参加型のチー ムとして活動したいと考えております。そのために現時点の状況についてご理解いただければ幸いです。』

何故このようなアナウンス文章をわざわざ入れたのかと考えると、その理由とは、昨年度の報酬改定議論の途中で、日本介護支援専門員協会の小原副会長が国に提出した意見書の内容が、現場の声を全く反映していないとして、会員にすこぶる不評を買っているからではないのだろうか。 事実、全国を旅する僕の耳には、「協会の役員の考え方は理解できない。」とする支部会員の声を数多く聞かされる。なぜその声を現執行部は拾おうとしないのだろうか?

今年1月に書いた「日本介護支援専門員協会はきちんと検証・説明責任を果たしてください」の中でも指摘しているが、小原副会長が中心となって国に挙げた意見書の中で、特定集中事業所減算を存続させる意見や、居宅介護支援事業所の管理者を主任介護支援専門員に限定することに賛成する意見を挙げている。それは現場の介護支援専門員の声とは言えず、少なくとも現執行部が今までとってきた態度は、「全員参加型のチー ム」とはいえず、現場を無視した役員中心のトップダウンのチームでしかない。

そのおかげで特定事業所集中減算は、27年以前のルールに戻した形で、福祉系3サービスに限定して残されるという意味の分からない形になった。このことはケアマネジメントの質を担保するものであると小原会長が存続要望の中で主張しているんだから、もう1年近くたっている時点であるのだから、1日も早く会員に対して、この減算を残したことに対する検証結果を明らかにすべきだ。

小原君、いつまでも逃げているのは卑怯だぞ。

ところで協会の賛同も得て実施された、居宅介護支援事業所の管理者要件を、主任介護支援専門員に限定する配置規準については、2021年度から完全実施されることになる。

日本介護支援専門員協会がこの管理者要件に賛同した過程で、今回の自己負担反対の意見を求めたような支部会員への確認作業は行われたのだろうか。行われたとして多くの会員が、そのことに賛成したという事実はあるのだろうか。僕が聴く限り、現場のケアマネジャーの多くは、この管理者要件の変更に、反対か懐疑的な人が多い。それなのになぜ「全員参加型のチー ム」と自称する協会が、組織を挙げて賛同するかのような意見を公言しているのだろう。

その看板に偽りありということではないのだろうか。そういう意味でこの組織を「悪の組織」と呼ぶのは言い過ぎかもしれないが、少なくとも現役員は2枚舌であるとの誹りは免れない。

それにしても全国で約4万件ある居宅介護支援事業所のうち半数以上の管理者が主任ケアマネ資格がない状態であることを考えると、3年で全事業所の管理者が資格取得することは困難と思われ、廃業もしくは吸収合併を余儀なくされる事業所も出てくるだろう。

そのことは「ひとり親方」の居宅介護支援事業所を嫌う国の意向と一致し、やがてこの基準を橋頭保に、居宅介護支援事業所の大規模化へもっていこうとする国の思惑に沿っており、国にとってそうした形で廃止事業所が出ることは痛くもかゆくもなく、むしろ歓迎されることではある。それに組した日本介護支援専門員協会という組織は、果たしてそれが現場の声と一致し、現場のケアマネを代表した姿勢だということができるだろうか。

つまり日本介護支援専門員協会並びに現役員は、現場の声とか、全員参加のチームとかいうスローガンを掲げながら、実際には会員の声を聴こうともせず、声なき声を拾おうともせず、ただ役員個人の価値観に偏った方向に突っ走ってきただけではないのか。

よってこの組織に寄りかかって何かを変えようとか、何かを実現しようとか考えても、それは無理というものだ。そんな幻想に寄りかかって収めている会費とは、無駄金・死に金でしかない。

そんなことに気づき始めている人がいる。組織を変えようと頑張ったけど、その努力が無駄と分かった人は、新しい道を探している。その過程でこの組織に会費を支払い続けることは、無駄であるだけではなく有害であることに気が付いた人もいる。

国の補助金でかろうじて死を免れた組織は、一生国のひも付き組織の域をせず、しかしその組織が一定の規模の会員を組織している限り、介護給付費分科会には組織の役員を、「介護支援専門員の利益代表」という形で参加させ、そこで国の出した文書なり意見なりに従わせれば、日本の大多数の介護支援専門員の賛同を得られたというアリバイ作りになるわけである。国が勝手に決めたことにはならないという理屈がそこで作られるわけである。

それは本当にこの国や、この国の社会福祉制度の向かうべき方向といえるのだろうか。実際にはケアマネジメントの方向も、真の国民福祉の向上とは異なるものかもしれないが、会費を支払う会員が多い限り、それは是とされるわけである。そうならないような行動をとろうとしている人が出始めた。

その行動に是非期待したいものだ。その行動を支援したいと思う。

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