今週末から9泊10日の講演の旅に出る。

講演を行なう地域は東京〜千葉県松戸市〜愛知県碧南市〜愛知県安城市〜名古屋〜大阪というふうに6地域である。それらの地域で8講演を予定している。各地でお世話になる皆さん、どうぞよろしくお願いします。(参照:masaの講演予定

このうち愛知県内の名古屋を除く2カ所で行う講演は、法人職員研修であり、どちらも「介護事業におけるサービスマナー」に特化した研修である。

法人全体でサービスマナーを持った接遇を取り入れ、サービスの質を向上させるための改革に取り組もうとする場合、法人内の多くの職員を一堂に会して、同じ講義を受ける機会を持つことができるかどうかは、非常に重要な分かれ道になる。

新しい取り組みを阻害する一番の要因は、取り組む職員の「温度差」である場合が多く、全職員が同じ方向に顔が向かなければならないからだ。そこに導くことができる講師を呼んで、全職員の温度を同じように上げる講義が一番効果的なのである。

当然そうであれば、講師は誰でもよいということにはならないし、講義さえ一堂に会して受けさえすればよいという問題ではないこと気が付くだろう。法人と講師が目的意識を共有し、講師に目的を達する必要性をわかりやすく正確に伝える能力と方法論があることが大前提になる。僕自身はそういう講義に努めているつもりだ。

一度の講義で全員が受講できない場合も多いので、その場合は同じ講義を何回かに分けて行うことも多い。今回の旅でも、同じ講義を時間を分けて2回行う法人さんもある。今後予定されている法人研修でも、日にちを2回に分けて同じ講義を行う予定も入っている。

全員が受講できない場合であっても、リーダー職は必ず参加してほしいところだ。他の職員に影響力があり、指導ができるリーダーが実践することによって、やらなければならないことは、「できる」に変わる可能性が増すのだ。逆に言えば、そうしたリーダーがやらないことは、介護の場に根付くこともないので、リーダー教育は最も重要になる。

どのような方法で職員研修を行うかについては、法人さんの都合に合わせて調整している。是非一度、職員研修の相談もしていただきたい。

ただし、そうした職員研修を実施した後の、法人のアフターフォローは欠かせない。それがないとサービスマナーの研修は、その場限りの「良い話を聴いた」的な思い出にしかならず、実務に反映されないか、反映されても、それは一部の職員にしか浸透しない結果に終わる。そうなっては研修にかける費用は無駄になてしまうわけだ。そうしてはならない。

法人のアフターフォローとは、研修で学んだことを実践するように職員との約束事を作り、それを守っているか、守っていないかを適切に評価することだ。

サービスマナーの原則となる、「丁寧な言葉遣い」については、全員がそれを守って、利用者との会話の際に「タメ口」を禁止し、丁寧語での対応を徹底するという約束事をまずは作る必要がある。

そのうえでそれを守る職員と、守ることができない職員をきちんと評価するということが必要になる。約束事を守っても、守らなくても同じ扱いであっては、約束事を守る職員がばかばかしく感じてしまう。信賞必罰の原則を守り、待遇面などで両者を区別すべきだ。それは「差別」ではなく、評価そのものである。

勿論、法人経営者や管理職だけが治外法権であってはルールは浸透しない。サービスマナーの浸透した職場に変えようとするなら、経営者や管理職が日常的に丁寧な態度で利用者に接することができなければならない。

そして職員に対して妥協してはならない。丁寧語で利用者と日常的に会話することを、「原則」として、しかし例外を認めてしまっていては、その例外が広がる一方で「原則」などどこにあるのかわからない状態になってしまうのである。

あの職員のキャラクターであれば「タメ口」も許されるとか、時と場合によっては丁寧語とタメ口を使い分けてよいとか、変な例外を許してはならないのである。そもそも言葉遣いを使い分けることのできるほどの達人なんているわけがない。そんな神業を使うより、日常的に丁寧語で親しみを持って利用者に接する方がずっと現実的で、しかもサービスの質は一定以上に担保できる方法となる。

利用者との会話を、「丁寧語」に統一することで職員が委縮しないかと心配する人もいるが、そんなことで委縮する職員は、コミュニケーションスキルが足りないという一言に尽きる。

そもそも医療や介護以外の他の職業で、顧客に対して「タメ口」を使あないというルールが、従業員を委縮させるなんて考える職業は存在しない。それは社会人として未熟すぎるという問題であり、そんなことを考えること自体が、介護という職業の密室性と感覚麻痺を現す問題としか言えない。

対人援助の場で、言葉使いにも気を使ってサービスマナーを守るということは、他のサービス業で学生アルバイトができている程度のことはしましょうというレベルにしか過ぎない。そのことの徹底を図らねばならない、保健・医療・介護・福祉業界の異常さに気が付くべきである。

そして一刻も早く、正常に戻すべきである。

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