職場にはいろいろな性格や思考の人がいるが、その中にはやたらと会議が好きな人がいたりする。

介護事業者の中にも、会議をしているという事実だけで意味のない安心感を持っている人もいる。それが経営者であるとすれば、そういう事業者の行く末はあまり明るいものではないだろう。

会議がつつがなく行えること自体にあまり意味はないと思う。そもそも会議は仕事そのものではないのではないだろうか。

会議とは仕事の準備であって、会議自体は何も生み出さないのである。経営者と社員が顔つき合わせて話したって一文も生み出さないし、一銭ももらえないのだ。

勿論会議をすることによって、混迷していた問題について文殊の知恵を寄せ合って解決の糸口をつかむというケースもあるのだろう。会議によって意思統一が図れて仕事がスムースに運んだり、仕事をする意味や方法を従業員が理解できるメリットを否定しない。経営者の意思伝達の手段として必要不可欠な会議もあるだろう。

だからと言ってすべての問題処理に会議が有効だとか、絶対に必要だと言えるものでもない。

少なくとも、「会議こそが仕事である」という勘違いをしないようにすべきであると思う。会議に固執する人は会社ごっこをしたいだけの人だろう。会議などしないで問題がなく経営できれば、それに越したことはないのである。

そういう意味では、会議さえしておれば、問題があっても解決できると信じている経営者には明日はないのと思うのである。

特に結論が出ていること、明らかに結論が見えていることを、ぐじぐじと蒸し返して振り返ったり、悔やんだりする会議には全く意味を見出せない。あってもなくてもよいようなアリバイ作りのための会議はもうやめた方がよいのではないか。

事業経営者は、無駄な会議は事業損失だと考えて整理する必要もあるのだ。

僕は40歳になったばかりのころに、特養と通所介護を併設する施設のトップに立った。その時に、最初に行ったことが「会議の整理」である。

介護事業者には法令で定められ、「しなければならない義務会議」がたくさんある。例えば「身体拘束廃止委員会」・「褥瘡予防委員会」・「リスク管理委員会」・「感染予防対策委員会」etc.

そのほかにも業務連絡のための「全体会議」とか「給食会議」とか様々な会議に時間を取られている。人員配置が十分ではなく、いつも忙しいというわりに、いくつもの会議が慣例的に開かれて、そこではさして重要とも思えない業務連絡がだらだらと行われ、それを聴くためだけに利用者対応から外れて会議に参加しなければならない職員もいるわけである。

利用者に接する時間がないほど忙しいとされている介護の現場で、そこから介護職員等が一定時間離れて会議に出席しているのだから、その会議が意味のあるもので、介護実践に活かすことができなければならないはずだが、必ずしもそうではなく、無駄な時間を費やすだけの会議というものも存在するように思った。

特に法令で定められているから「しなければならない会議」については、してさえおればよい=集まって意味のない連絡で終わっている、という雰囲気があった。わかりきった連絡事項にだらだらと時間を費やし、メモを取る必要もない報告がぐだふだと続く状態はまったく理解できなかったので、やらなければならない会議においては、仕事に役立つ連絡と建設的な話し合いを徹底的に求めた。会議以外の業務の中で済ませられることができる連絡事項を、会議で繰り返し報告する状態を、「いらないもの」としてなくしていった。

その過程でいくつかの会議を統合し、同じ時間帯にまとめて話し合うなどの整理を行い、会議のために介護職員などが現場から離れる時間をできるだけ減らすことに努めた。その結果、会議に費やす時間はずいぶん減ったが、そのことで業務に支障が生ずることはなかったし、業務連絡が滞ることもなかった。その分、介護職員等が利用者にかかわる時間は増えたのである。

介護サービスの現場からは、介護保険制度が誕生して以来、増え続ける必要書類の削減が叫ばれ、国も書類の簡素化に取り組んでいるが、介護事業者自身の業務見直しによっても、介護職員が利用者にかかわる時間をひねり出すことができるという視点も重要ではないだろうか。

経営会議などの重要かつなくせない会議はともかくとして、介護が本来業務である職員が会議やその準備に振り回されて、介護業務に支障がきたしたり、ストレスがたまったりしないように、常に状況に合わせた会議の整理などに努めていくのも、事務管理部門の大事な役割ではないだろうか。

特に「自分の仕事のために必要だ」というだけで、職場全体の必要性と一致しない会議は、単なるパフォーマンスでしかないという理解が、事業経営者には強く求められるのである。

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