僕は今、松山市の愛媛県総合福祉会館に居る。
今朝10時から愛媛県老人福祉施設協議会主催の施設ケアマネ対象の研修講師を務め、午前中に「看取り介護計画の作成方法」という講義を終えたところだ。午後からはグループワークで、提出事例から看取り介護計画を策定してもらいながら、それをたたき台に意見交換をする予定になっている。僕は助言者として参加予定だが、どんな意見が交わされるか非常に興味深く、楽しみにしている。
現在昼休みの最中で、お昼ご飯を頂きながらこの記事を更新している。
ということで今日の本題である。
2006年の制度改正により誕生した地域包括支援センターは、高齢者や家族の相談をワンストップで受け止めて、必要なサービスへつなぐほか、要支援や虚弱高齢者の介護予防ケアマネジメント、権利擁護事業、地域のネットワークづくり、高齢者虐待防止のための通報を受け付ける窓口など多彩な機能を持つ機関である。
それはまさに高齢者介護問題のセーフティネットとして機能すべき機関であり、地域包括ケアシステムが機能するための基盤となる機関であるともいえるわけである。
ところがこの機関の存在意義が問われる問題が起こっているとして、先週火曜日に更新した記事では、11月4日に大阪高槻市で、70歳の妻と75歳の夫が同日に死亡した事案について、高槻市の地域包括支援センターの対応に問題があったのではないかということを指摘した。(参照:地域包括支援センターの使命と役割が問われる大阪高槻市事件)
ところがこの記事を書いた直後に、匿名で記事に対する非難のコメントが書き込まれた。「最低限の人員でギリギリの仕事に忙殺されている中で、そんな対応はできない。できるんだったらお前やってみろよ」的な感情的なコメントであった。
(※なお当該コメントは脅迫まがいの文章が含まれるため、表示許諾しておりませんが、管理画面に残しております。現在警察に相談し被害届を出すかどうか検討中です。)
そのコメント主は、「安い賃金で、ゴミ屋敷や糞尿にまみれた高齢者への対応。臭い臭いが染み付いたまま、次の訪問先へ行かなければならない。 そんな実態、理解して書いてるんですか? 」と主張している。
しかし僕自身は地域包括支援センターを受託していた法人で、総合施設長などを務めていたので、地域包括支援センターという機関の仕事内容も、職員の動きも十分理解している。僕自身も地域包括支援センターの職員と協力しながら地域支援に関わっていたこともあるし、書かれている状況に似たケースに関わった経験もある。だからと言ってそんな対応が毎日続いているわけではないし、SOSが発信されていると思われる通報に対しては、電話相談で終わらずに訪問調査を行うなどの対応は普通の対応であり、特別な業務ではなかった。
それなのに感情的なコメントを送ってきた輩は、「毎日毎日あがってくる 要支援者のケアマネ業務。 まず、それだけでも忙殺。 加えて、モンスターペアレントならぬ モンスター家族からの無理難題相談。 モンスター高齢者も多数。 」として、そんなところまで手が回らないと主張している。
業務多忙を理由にして、必要な支援ができないというなら別の仕事を探せと言いたい。そんな輩が地域包括支援センター職員として存在していること自体が、市民にとっての不幸だ。地域には必要な苦情さえ上げられない「物言えぬ市民」がクレーマーとかモンスターといわれる人の何十倍もいることを忘れてはならない。
そもそも通報があって、そこで困難ケースと思える人の家庭訪問による調査は、地域包括支援センターの本来業務である。そして多くのセンター職員が行っていることでもある。それができない自分の技量を恥じる前に、訪問調査を行わない理由を探し、へ理屈いっぱいの非難コメントを書いてくる見識が疑われる。仕事の最中にそんな非難コメントを書いている暇があれば、一軒でも多くの家庭訪問を行えと言いたい。くそコメント書いてる間に地域を見ろと言いたい。
しかもこのコメント主は、「包括に助けてもらうのが当然と思っている 高齢者、家族、町内会関係者が多すぎる。」として高槻市民を馬鹿にするかのようなコメントを寄せている。
高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターが、市民が頼って様々な相談を寄せてくることを批判してどうするのだろう。勿論、寄せられる相談の中には、取るに足らない相談事が混じってくるだろう。だからと言ってそれを批判してはならない。本当の困りごとを見つけるためには、取るに足らない相談事にも耳を傾けないとならないのである。それに耳をふさいでしまっては、本当の危機相談をも排除してしまうことになるのである。相談援助にとってそれは一番避けるべきことである。
そういう意味でもその非難コメントは、相談援助の基本も、地域包括支援センターの役割もわかっていない人間であり、そのコメントは取り上げるに値しない戯言でしかない。
断っておくが、このコメント主が「高槻市地域包括支援センター」の職員なのかどうかはわからない。地域包括支援センターの状態を擁護する内容から考えると、コメント主が地域包括支援センター職員であることは間違いないだろうが、別の地域の包括支援センターの職員なのかもしれない。ただしコメント内容は地域性も含めた現状を示したうえでの非難だから、僕には当該地域の人なのかなと思わせる内容になっている。そうだとしたらまったく情けないとしか言いようがない。
地域に目配りできないセンターに陥っているのであれば、別法人に地域包括支援センターの受託先を譲るべきである。市民からの通報に対応できない状態であるなら、「忙しすぎて通報しても対応できません」と市民に公報してしかるべきである。それができないというなら、自身の仕事ぶりと、自らが所属するセンターの機能不全の状態を恥じて改善に努めるべきである。それができないなら辞めてしまえ。
地域包括支援センターが主管すべき、「地域ケア会議」にしても、居宅介護支援事業所の介護支援専門員に困難ケースの提出を押し付けて、アリバイ作りのようにさして困難ともいえないケースを検討するのではなく、地域包括支援センター職員が電話相談を受けた、本ケースのような家庭に足を運んで、その状態を確認して、こうした介護問題に悩む高齢者世帯を、地域全体でどのように支えるのかを検討すべきではないのだろうか。
今回のような非難コメントに応えるという意味で、そのようなコメントを寄せてくる職員が地域包括支援センターにいるという事実を含めて、僕の冊子連載記事に、この高槻市問題を取り上げて書こうと思い、先日原稿を送ったところである。
それは来月刊行される予定になっている。
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確かに総合相談や予防プランで忙殺されているところはあるのでしょうが、であれば保険者を今の状態では仕事ができないと突き上げて貰いたいです。
masa
が
しました