特養や通所介護の相談員は、施設や事業所の中でたった一人しかいない場合もある。

そんな中で相談員とはどのような役割を持ち、どんな仕事をすべきかということをきちんと教えられないまま配置されている職場もある。

特養では介護支援専門員と相談員を別に配置しているのに、両者の業務分掌や役割分担が職場のルールとして示されていない場合もあり、現場の職員にその区分を任せっぱなしという状態もみられる。そこでは個人の資質や考え方によって業務内容が変わってしまい、やがて役割混乱が生ずるのは必然の結果となる。

相談員と介護職員の業務の区分もされていない事業者もあって、介護の仕事を手伝わない相談員は、きちんとした仕事ができない相談員と評価されている場合もある。それは大きな誤解であり、誤った考え方である。

相談員とは本来どういう役割があるのか、その役割を果たすために具体的にどのような業務をすべきかということを真剣に考える相談員も多いが、職場でたった一人で悩んでも、誰もアドバイスしてくれない職場では、その悩みは解決できない。

そのため他の職場では、相談員がそういう役割をもって、そのような仕事をしているのかを知りたいと考えている相談員は、全国にたくさんいると思うのだが、なかなかそういう情報交換を行う機会を持つことができないと嘆いている人も多いだろう。

そうであるがゆえに職能団体等が、相談員向けの専門研修を行うことは大きな意味があるし、その中で相談員の「本来あるべき姿」・「求められる役割」・「介護支援専門員や介護職員との業務分掌」・「具体的な業務内容」などをきちんと示す講義を受けることが必要である。

僕は特養や通所介護の相談員業務も、介護支援専門員業務も、どちらも経験しているし、総合施設長として職場内の業務分掌ルールを作って、業務区分を指導する役割を担ってきたので、相談援助業務の実務者の立場からと、管理者・管理職の立場からそれらに関連した講演・講義を行うことができる。そのため全国各地の団体から、相談員向け専門研修の講師としてお招きを受けることも多い。

先日11/7には大阪市立社会福祉センターで行われた、「大阪市老連主催・生活相談員研修」で講師を務めてきた。この日の研修は13:30〜17:30の4時間で、参加希望者の方々が他施設・他事業所の相談員との情報交換も求めていると考え、前半を講義、後半を情報交換を含めたグループワークとした。

たくさんの参加希望者があったが、会場の都合で50名に限定した研修であったために、申し込んだのに受講をお断りしなければならない人も多かったと聴く。誠に申し訳なく思う。

当日の講義は、昨年の制度改正と今年4月の報酬改定に関連して、「W改改定 相談員が学ぶべきこと〜生活相談員は今後何を見据えて何に取り組むべきか〜」から始まって、第2講では、「相談員の業務と役割〜相談員の本来あるべき姿から導く仕事内容〜」をテーマにお話しした。中間管理職としての役割も期待され、将来は管理職として活躍が期待される相談員であるからこそ、制度の方向性から経営という視点も考えてほしいという意味を込めて、第1講のテーマを含めたものである。

後半のグループワークは、5名〜7名のでグループを構成し、特養と通所介護でグループに分けた。話しあってもらった内容は、下記の通りである。
・(テーマ1)日ごろの相談業務の悩み。他事業所の相談員に尋ねてみたいこと(※他施設の相談員の動きなどの情報)
・(テーマ2)相談員の業務における役割はどうあるべきか

皆さん大変熱心に討議しており、グループ発表も素晴らしかった。

当日の参加者の受講後のアンケート結果が届いたので、下記よりダウンロードいただいて参考にしていただきたい。

※平成30年度・大阪市老連主催『デイサービス・特養 生活相談員対象研修会』 アンケート集計結果

参加者は50名であったが、業務の都合で途中退出者が1名いたため、アンケートに答えてくれたのは49名である。皆さん大変満足してくれたようで、コメントも今後に参考になる。来年度もできればこの研修を行いたいと思うので、今回参加できなかった人は是非、来年度会場までお越しいただきたい。

施設や通所介護事業所の相談員は、職場の頭脳として重要な役割を担っているので、それらの方々に役割を明確に知ってもらうためのこうした研修は極めて重要である。大阪以外でも、是非全国様々な場所でこうした研修を開催していただきたい。

上記に示したテーマ以外にも、相談援助に関する講義やグループワークの進行を行うことはできるので、講師役をお探しの方は是非一度声をかけて、お気軽に相談いただければありがたい。講演のご依頼は「北海道介護福祉道場 あかい花」に掲載しているメールアドレスもしくは携帯電話番号に連絡いただけると、いつでお相談に乗るので、まずは問い合わせていただきたいと思う。

研修参加者の時間を無駄にしない、実務に活かせる講義を行うことを約束しますので、よろしくお願いします。

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