少子高齢化が進行する中で、人口減少社会に突入した我が国では、生産年齢人口の減少がさらに加速して、日本中の全産業で人手不足感が広がっている。

そんな中で人に替わってロボットをはじめとする機械が仕事をする場面が増えている。

某大手中華料理チェーン店では、人気メニューである炒飯の鍋振りは、人に替わって「鍋振りロボット」という機械が行ってご飯を炒めている。火加減の調整や作業の終了もオートマチックである。その時に人間がすることは、鍋にあらかじめ決められた分量のご飯と調味料を入れてスタートボタンを押すだけである。

このような形がさらに進化していくと、いずれ料理自体も人に替わってすべてロボットが行うようになるのかもしれない。

しかしそうであっても人の手をかける必要性はなくなるわけではないだろうし、機械化が進めば進むほど、人がやることで価値が生まれる場面も増えることになるだろう。

機械化が進んだハイテクノロジー社会の差別化とは、機械に替わって人手をかけるということであるのかもしれない。

介護事業でも、人に替わって介護ロボットが仕事をこなす場面が増えるのかもしれない。今の現状を見ると、人に替わって介護を行うことができるロボットは存在しないし、人の行為を助ける介護支援ロボットも、介護現場で実用化するのには様々な問題が多すぎて使えない。唯一見守りロボットだけが実用化されているのが実態だか、ITやICTの急速な技術進化という現実を見ると、介護ロボットもあながち夢の世界ではないように思える。

介護ロボットが現実化したときに、人は介護ロボットに勝ることができるのだろうか。人に替わることができる介護ロボットができたときに、介護という行為の中で、人が行うことにこそ価値があると思われる行為は存在するのだろうか?

料理の場合は、味覚のないロボットに、味覚のある人が勝る場面は容易に想像がつくが、介護という職業を取り上げたときに、力のいる行為と、巧緻性の必要な行為の両方ができて、その行為をつなげることがAIによって可能になった時、そういうロボットに人間が勝ることができるだろうか。

コミュニケーションは人間の方が勝るだろうという意見があるが、汚らしい言葉で、馴れ馴れしく話しかけることが、「フレンドリー」であると思い込む輩によって、人生の大先輩である高齢者の心が傷つけられている現実を見たときに、そうとも言えないと思ってしまう。

むしろ心のないロボットに、AIによって会話ができる機能を組み込んで、常に丁寧語で受け答えができるようにした方が、言葉遣いで傷つけられる人がいなくなるというメリットははるかにあるだろう。

ましてや生活の疲れを仕事に引きずるような人は、その人の機嫌によって介護の質が変わってしまうし、利用者は常にその人の顔色を窺って介護を受けなければならなくなるので、そんな人に介護を受けるくらいなら、感情もなく機嫌に左右されない介護ロボットに介護を受けたいと考える人が多くなるのは当然の帰結だ。介護ロボットを早く作ってほしいと考えるの人が増えることも至極当たり前ともいえる。

そう考えると、人間ができることで、ロボット以上の価値を生み出すためには、その場にいる利用者の表情を見て、言葉を聴いて、感情を読み取りながら、より適切な対応に終始できる感性を磨くことでしかないような気がする。その際に言葉遣いをはじめとしたサービスマナーを身につけているということは付加価値ではなく、絶対条件であることに気が付かねばならない。

本来、介護ロボットとは、介護に従事する人を助けるもので、人が利用するものである。それらと人間が勝ち負けを争うという考えは間違っているが、そのことを考えなければならないほど、現状の介護事業従事者の態度には目に余るものが多すぎる。目を覆いたくなる人や場面があまりにも多すぎるのである。

将来、介護の現場でロボットをはじめとした機会を使いこなし、それらに支配されないためにも、今から、介護事業におけるサービスマナー意識を高め、介護のスタンダードを変えてほしいと切に願っている。

本当の意味の「介護イノベーション」とは、顧客に対するサービスマナーが確立された介護支援が、全国のどの場所でも、どの介護種別でも、くまなく行われることであると考えている。

そのために介護事業におけるサービスマナーの伝道師になりたいと思っている。「介護サービスの割れ窓理論」に基づいた、サービスマナー研修を行いたいと考えている方は、是非ご相談くださればありがたい。連絡はメールでお気軽にお願いしたい。

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