今週の土曜日(11/3:文化の日)に札幌の道特会館で看取り介護セミナーがスタートする。

このセミナーは、日総研出版社が主催するもので、札幌を皮切りに、仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡と全国7か所を回るもので、今年で3廻り目のセミナーとなる。

その内容は当然、介護保険制度改正や報酬改定と連動し、なおかつ新しい情報も組み入れて、前2回とは異なる内容も含まれているが、このセミナーを単に看取り介護・ターミナルケアを学ぶセミナーとは考えてほしくない。そのために今回の講演スライドの1枚目は、下記画像のスライドとしている。
日総研・看取り介護セミナー
看取り介護とは決して特別な介護ではなく、日常介護と全く変わることのないものである。ただその対象者の命の期限がたまたま予測されているだけに過ぎず、丁寧な日常支援に心がけることは、看取り介護対象者であっても、そうでない人に対してであっても、決して変わることはないし、変えてはならないものでもある。

ただ看取り介護においては、命の期限を意識した関わりの中で、様々な「記憶しておくべきエピソード」が生まれる。看取り介護に関わる介護の専門職は、看取り介護対象者と家族の間に、そうしたエピソードを意図的に作り出すことも求められるかもしれない。そんな中で、命の尊さや人の尊厳を護ることの大切さを知り、人間愛のなせる業(わざ)に気づくことができる。

それは対人援助に関わる我々が気が付くべき、「本質」に触れるものだと思うので、看取り介護セミナーでは、そうした観点からケース分析を行い、我々に求められていることを示している。

今、全国の8割を超える特養で、「看取り介護」が行われているという。しかしそれは嘘だ。そこで8割以上の施設で行われているとされる行為は、単に「看取り介護加算」を算定できる行為を行っているに過ぎない。しかし看取り介護加算の算定要件で示された最低限の行為を行ってさえいれば、「看取り介護対象者」の人生の最終ステージが、その人にとって望まれる支援に結び付いているとは限らない。安心して安楽に最期の時間を過ごしているとは限らないのである。

施設見学をして、「この方が今、看取り介護の最中です。」と示された方の表情を見ると、苦し気に目をつぶっていたりする。ベッド回りも整理・整頓がされておらず、日中もカーテンが閉ざされた暗い個室で、一人寂しくベッドに寝かされている人が、「看取り介護の最中」であるとされたりする。

それは違う。安静は必要でも、看取り介護対象者の周囲には人間関係が存在し、人の心のぬくもりが感じられなければならない。一人寂しい状態が、安静や安楽ではないのだ。整理整頓された清潔な環境や、爽やかな空気の流れは当然保証されなければならばい。

よどんだ空気の中で、整理整頓のない部屋で放置され、いつの間にか息を止める死であったとしても、「看取り介護加算」は算定できるが、それは看取り介護やターミナルケアとは言わないのだ。施設内孤独死をさせておいて、看取っているなどと言ってはならないのだ。

そうであるがゆえに僕の看取り介護講演では、看取り介護を通じて介護の本質に迫り、介護とはどうあるべきか、介護に関連する職業携わっている人々には、どのようなスキルが求められ、何をしようとするべきかを問い続けることになる。まさに「天のない介護サービス」の答えを探して、受講者の方々と共に学ぶセミナーとなるだろう。

日総研出版社の「看取り介護セミナー案内」には、「※最少催行人数18人。これに達しないときは,開催を中止する場合がございます。」と書かれているが、幸い札幌セミナーは実施できる人数に達している。

一番集客が難しい北海道のセミナーが開催できたことで、他の地区も開催できると思ってはいるが、他の地域は年明けの開催なので、これから申込者が増えると期待している。今のところ仙台や名古屋などが申込者が少ない状態なので、同地域の関係者の申し込みを是非お願いしたい。

札幌セミナーに備えて、僕は2日に札幌入りするが、その日は知り合いも受講者の中に含まれているので、プチ前夜祭を行う予定だ、札幌グランドホテルで4.000円会費の前夜祭に参加したいという方は、ぜひ連絡をいただきたいと思う。

なお札幌セミナーも引き続き申込受付を行っているので、今から都合がつく方は、ぜひ参加を検討願いたい。よろしくお願いします。

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