先週土曜日は福島県いわき市で行われた、「福島県介護支援専門員協会」の研修で講演を行なってきた。

同協会での講演は、あの3.11の翌年7月に郡山で行われた研修以来2度目であった。今回のテーマは介護保険制度論や報酬改定に関するものではなく、「看取り介護」であった。これは担当事務局の希望によって決まったテーマである。

社会の少子高齢化が止まらない我が国において、死者数が大幅に増える社会情勢を考えると、終末期をどこでどのように過ごすのかということが切実な問題になりつつある。本来ならば、すべての人が人生の最終ステージをどこで過ごそうと、最期の瞬間まで安心・安楽の支援ができる社会が理想であるが、孤独死や孤立死が増えているし、看取り介護・ターミナルケアの間違った理解によって、悲惨な死に方を余儀なくされている人も存在する。

そんな中でケアマネジャーをはじめとしたソーシャルワーカーにも、そこにどのように関わっていくかが問われてくるわけである。そのため4月の介護報酬改定でも居宅介護支援事業所にターミナルケアマネジメント加算を新設したり、末期がんの方のケアマネジメントに関連して、状態変化に応じた迅速なサービス提供が可能となるように、ケアプランの変更作成ルールを改正したりしている。

さらに在宅においても、施設においても、どのように終末期を過ごすのかということを本人の意思に基づいて決定する必要性が叫ばれており、あらゆる人々に対するリビングウイルの支援が重要となってくる。その役割をケアマネジャーが担っていく必要性も高まっている。そのような中で、「看取り介護」を学ぶということは、それは単なる介護実践論を学ぶにとどまらず、人間の尊厳をどのように護るかという「人間尊重」の価値前提を確認するということでもある。まさにケアマネジャーをはじめとしたソーシャルワーカーが学ぶべき大切なテーマであるといってよい。

当日は午後2時からの講演であったが、事務局の方々と少し早めの昼食を摂りながら歓談し、早めに会場に着いた。そのためネットサーフィンしながら、つながりのある人のフェイスブックを見ていたところ、札幌麻酔クリニックの金谷先生が、在宅での終末医療に関わる医師の姿勢に関して素晴らしく感動的なコメントを書いておられた。そのコメントの言葉を是非、福島県の介護支援専門員の皆様にも知ってもらいたいと思い、メッセンジャーで金谷先生に次のようなメッセージを送った。

僕は今福島県いわき市に来ており、これから福島県介護支援専門員協会の皆様に、看取り介護の講演を行う予定なのですが、『ひとつの熟成されたいのちのお手入れ』という言葉にえらく感銘を受けています。講演の中で金谷先生の言葉として紹介させてください。

すると数分後に金谷先生から次のようなメッセージが届いた。

マサさん、どうぞどうぞ。大変恐縮です。」
(※このやり取りは「金谷先生のフェイスブック」の10/13、8:55発信の『さいごのお手入れ』を参照してください。)

ありがたいことであり、講演開始前の既にセッティングが終わっていたステージに立ちながら、講演ファイルのパワーポイントを編集して作成したスライドが下記である。
終末期における医師の役割り
医師という立場の方が、終末期にこのような温かくかかわってくれるのであれば、これほど安心できることはないと思う。

上で紹介した金谷先生のフェイスブックには昨日も、『死亡診断をするのは確かに医師ですが、医師は「死の専門家」ではありません。〜ただその方のいのちの灯火が小さくなった時、或いは消えた時にどのように在るべきかを真摯に考えることが「人の終わりらしさ」かもしれません。』という言葉が書かれている。

まさに金言といえるが、金谷先生はこの金言を、実践の中で自然に発しているところにある種の『凄味』があるといえるのではないだろうか。

北海道には、こうした素晴らしい医師の方々がたくさんおられる。医師以外にも素晴らしい活動をしている多くの仲間たちがいてくれる。だから僕は北海道が好きである。

11/3(土:文化の日)は、札幌の道特会館で、10:00〜16:00まで『看取り介護セミナー』を行う予定になっており、今回紹介した内容なども含めて、看取り介護は、日常的ケアとは異なる特別なケアではないことを伝えられると思う。

まだ参加申し込みは間に合うので、「お申込みはこちらから」をクリックして、申し込んでいただければ幸いである。

対象者が最期まで尊厳ある個人としてその人らしく生きることができる看取り介護の実践論を是非学んでください。

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のである。