僕が管理する表の掲示板に10/10にスレ立てされた、「処遇改善加算不支給と最低賃金以下労働・多数書類偽造について 」をご覧いただきたい。

このスレッドは、処遇改善加算の不正受給ならびに不正支給に関する質問であるが、レスポンスの中に複数の人が、「事業者の不正を議員(おそらく地方議員)がもみ消している(あるいはもみ消される恐れがある)」という情報を書いている。

こんなことが本当にあるとしたら由々しき問題であるが、そんな状態が放置されたままにされ、そのことで不正の告発が無意味であると考える人がいること自体が問題である。

一昔前なら一般市民は権力の横暴に屈する以外の術(すべ)を持っていなかった。しかしインターネットを通じて個人が全世界につながって情報をやり取りできる時代に、そのような権力の横暴が隠されたまま見逃され、まかり通るわけがないのである。

特に双方向の情報交換ツールであるSNSが発達したこの時代には、誰しもが匿名で告発者になることができる。どのような権力を持つ政治家と言えども、社会的不正義を行ったことがSNSを通じて公にされた場合、政治的生命が絶たれかねないのである。そんなことは政治家自身が分かっているだろう。

よって当該スレッドに書かれているような議員の不正もみ消しなどあるわけがないと思うわけであるが、もしそれが本当に行われているなら、匿名でも何でも良いから、証拠となる情報とともにネット上で告発するのが本当の意味での社会正義というものだ。それもソーシャルアクションのひとつといえるのではないだろうか。

僕はネット上でほとんど匿名性を持たないが、自分の周囲でそのような愚かな行為が行われておれば、まずしかるべき機関に通報するだろう。それで埒が明かない場合は、迷わずネットを通じて告発するだろう。証拠のある不正告発を、そうした方法で行うことは許されることであるし、むしろ必要な行為であると考えている。

不正が政治権力によってもみ消される状態を知りながら、それと闘おうともせず、あきらめてしまう人は、権力に迫害される弱者の立場に逃げているだけに過ぎない。それは不正を行っている人、その不正をもみ消そうとしている人と、罪のレベルはたいしたかわりがないとさえ思う。そうならないでもらいたい。

政治がらみでは、もう一つネットを通じて大きな問題点が示された。10/30に書いた「介護事業者にさらなる逆風」の中で、来年4月から年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、1年間で最低「5日」は会社が労働者に年次有給休暇を取得させる(「5日」については会社が時季指定権を持つ)義務が大企業、中小企業を問わずすべての事業者に課せられたことを指摘したところ、僕のフェイスブックに、福岡の介護事業経営者の方が次のようなコメントを書いてきた。
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「年次有給休暇につき、9月より気になり、市議より国会議員に確認をとってもらいました。回答としては、中小企業は該当しない事、また、あくまで労働者が取得を希望した場合のみ該当するそうです。また、罰則規定に該当する要件は取得希望者の申請のうち5日以内を企業が拒否し、労働者が労働基準監督署に訴え、監督署より企業に是正勧告をされ、従わない場合に適用されるそうです。全ての労働者に取得させる事を義務化したのではなく、取得希望の労働者に取得させる為に、5日以内の取得を拒否する企業に対し罰則を設けたことが新しい制度であり、全ての労働者に5日以上の取得を義務化したものではないとの回答でした。」
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一見論理的でなるほどと思われそうな内容ではあるが、しかしこの情報はまったくの出鱈目(でたらめ)である。この義務は中小企業にも課せられるし、このことに関連して7/18に厚労省は企業側が年休の消化日を指定したのに従業員が従わずに働いた場合、消化させたことにはならないとの見解を示し、企業側にとっては指定した日にきちんと休んでもらう手立ても課題となると公式見解を示しているのだ。だから上に書かれた議員情報は、すべからく間違っており、有休を与えなければならないのは、「年次有給休暇の付与日数が10日以上のすべての労働者」である。(参照:中小企業も対応しないと罰則がある!?「有給休暇の義務化」について【働き方改革】

上の偽情報は、政治家という権力者に頼り切って、成立した法案の法文を読むという当然の過程も経ないまま、与えられた情報を垂れ流しているだけの無責任情報とも言える。根拠を確認することがないまま、こういう形で一議員の誤った見解を、正しい情報として拡散する行為で、来春に備えようとしていた中小企業主が、それを取りやめて損害を生じたら賠償責任も問題になりかねない。

政治家とコネクションを作るのは良いが、そのコネに頼り切って自らの思考回路を鈍らせてはなんの意味もない。

政治家が言っている、というのも何の根拠にもならないことになぜ気が付かないのだろうか?

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