9/9に沖縄で講演を行った後、10日(月)の午後に北海道に帰ってきたが、降り立った新千歳空港は、沖縄に飛び立った8日よりさらに気温が下がって震えた。
このところ講演に行く際の服装は、スーツの上着を持たず半袖クールビズで通していたが、道内の朝晩の気温を考えると半袖はもう無理である。長袖に上着を着て移動しなければならないとつくづく思った。昨日の朝などは、稚内市の沼川で−0.9℃まで気温が下がっている。放射冷却現象だが、季節はもう秋を過ぎて冬になろうとしているところだ。
そんな風に北海道はこれから厳しい冬に向かい、その準備もしなければならないが、介護業界も厳しい冬のような状況に備えなければならない。
沖縄の講演は、小濱介護経営事務所の小濱道博代表とのコラボ講演で、僕は露払い役の第1部講演を担当し、メインの2部講演を小濱先生が務められた。そこで小濱先生が指摘していたのは、「今年度の報酬改定は、医療と介護のダブル改定だったため、その主たる目的は医療と介護連携を図る内容。次の3年後の報酬改定は介護単独になるので、抜本的な制度改革も同時に行われ、事業者にとってより厳しい内容になる。」といったものである。
その通りだと思った。僕もこのブログ等で何度も指摘しているが、今回のダブル改定で介護報酬がプラスになった理由の一つは、診療報酬改定の中で薬価の引き下げが行われ、その引き下げ分が財源となったからである。そういう意味では、介護報酬は薬価引き下げのおこぼれをもらって、引き上げが実現したといえるのである。
そうした財源がない中で次回の介護報酬単独改定が行われるわけだ。しかも給付費自体は、高齢化の進行に比例して増え続けており、それに対応して制度が崩壊しないように、国民負担を増やしたり、給付抑制がさらに厳しく実施されたりする。
このことに関連しては、6/5に内閣府の経済財政諮問会議で「骨太の方針2018案」(略称)が示されている。それを見ると時期改正の方向性が読み取れる。
政府は2025年でのプライマリーバランスの黒字化を目指しているが、その直前の22年から団塊世代が75歳以上に入り始め、社会保障関係費の急増が見込まれている。そこで、今回の方針案では2019〜21年度を「基盤強化期間(仮称)」と位置づけ、持続可能な経済財政の基盤固めを行なうとしている。
そのため新たな負担増と給付のスリム化に向けた提言がなされているが、その内容とは、「介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付のあり方を検討する」というものだ。
介護のケアプラン作成とは、居宅介護支援費の利用者負担導入を指したものだろう。
多床室料については、2015年8月から特養の多床室の室料は自己負担(4段階の人のみ)とされているが(参照:特養多床室利用者の負担額変更は2段階)、この時対象にならなかった老健をはじめとして、療養型医療施設や介護医療院の多床室室料についても自己負担化するというものだろう。
介護の軽度者への生活援助サービスについてというのは、訪問介護の生活援助を地域支援事業に振り替えるということだと思う。
またこの提言には書かれていないが、「おむつはずし加算に隠された陰謀」で指摘したように、現在介護給付費に含まれている「おむつ代」について、給付から除外して利用者負担にしようと考えている勢力もあるので、そのような議論もされてくる可能性がある。
科学的介護という言葉も随所に使われており、自立支援型介護を目指して、特養と老健に導入された「排せつ支援加算」や、通所介護に導入された、「ADL維持等加算」のように、何ら蛇の方地価のアウトカム評価が費用算定に求められてくることになり、ただ単にサービス提供しているだけの報酬単価は低くなるだろう。基本サービス費が下がり、加算評価項目が増えるという意味だ。
どちらにしても介護事業全体が、さらなる逆風に向かって、新しい戦略を立てていかねばならない。
漫然と今まで通りの運営をお行ってる事業者、不平不満を口にするばかりで、具体的な動きを摂れない事業者にとって、明るい未来は存在しないことを自覚すべきである。
このことに関連しては、10月12日にフクラシア品川クリスタルスクエアで行われるC-MAS全国大会2018で関連した話をする予定なので、時間が取れる方は是非会場までお越しいただきたい。
なお張り付いているリンク先のチラシでは、参加費用が複雑に区分されているが、C-MAS会員であるはなくとも、介護事業者の方であれば、会員希望を選んで頂いて、2000円+消費税で参加可能だそうである。
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