国が発出している資料「2018年介護報酬改定の概要」には、地域包括ケアシステムの推進として、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備すると記されている。
そのために本年度からの介護報酬改定では次の3点を評価したとしている。
・ターミナルケアの実施数が多い訪問看護事業所、看護職員を手厚く配置しているグループホーム、たんの吸引などを行う特定施設に対する評価
・特養の医療体制の充実に対する加算を新設するとともに、その体制を整備した特養での看取り介護加算については、従前より高い単位を算定できるように評価
・居宅介護支援事業所にターミナルケアマネジメント加算を新設
つまり本年の介護報酬改定でも、看取り介護・ターミナルケアが重要であるとして、加算等で評価されているということになる。
これはわが国の死者数の増加と関連した対策である。2040年には2010年と比較して46万人死者数が増えることが予測されていることと関連したもので、医療機関以外の場所で、看取り介護・ターミナルケアを行っていかないと、増加する死者数46万人が、そのまま「看取り難民」となってしまう恐れがあり、そうならないように対策するという意味がある。
人はどこでも死ぬことができる。よって看取り難民とは死ねなくなる人という意味ではなく、死に際して誰にも支援を受けることができず孤独に死の瞬間を迎えることを言うのだろう。その中には、終末期の必要な支援を受けることができずに、悲惨な状態で最期の時間を過ごさねばならない人も含まれてくる。
孤独死の場合は、死後までその悲惨な状態が継続し、長期間遺体が発見されずに、「特殊清掃」が必要になるケースもある。そういう場所は、もう二度とだれも住めない状態になることが多い。
そうしないためにはどうしたらよいのだろうか。それは孤独死を、死の瞬間の問題として限定的に捉えることなく、高齢者等が地域社会や地域の人々とつながりをなくさないように支援することである。
一方、看取り介護が行われているという現場でも不思議な現象が起きている。看取り介護対象者を救急車で医療機関に運ぶべきかなどという議論が起きていたり、救急車をタクシー代わりにして、死亡診断を受けるためだけに息を引き取った利用者を医療機関に搬送したりするケースさえある。
看取り介護が年単位で行われて、看取り介護計画を更新しなくてよいのかなどという不思議な疑問が生じている現場さえある。
これらはすべて看取り介護に対する基本理解がないところから生じている問題である。ある意味それは、「看取り介護」と称する不適切対応が行われているという意味にもつながっている。
こうした状況をなくさねばならない。本当の意味での「看取り介護・ターミナルケア」が実践されなければ、将来自分の家族や自分自身の人生の最終ステージが、自らの望みとかけ離れたものになってしまう恐れがある。
そうした疑問や問題点をなくすために、今年も全国7カ所で1日5時間の「看取り介護セミナー」を行う予定になっている。
その皮切りは、僕の地元である北海道のセミナーだ。11月3日(土:文化の日)に道特会館(札幌市中央区)で10:00〜16:00の予定で開催される、日総研出版社主催・看取り介護セミナーにぜひ足を運んでいただきたい。
本物の「看取り介護・ターミナルケア」の実践論を、新情報を交えてお話しする予定である。日ごろの疑問の解決、新しい発見につながるセミナーと評判の高いこのセミナーは、北海道ではこの日、ここだけの開催となる。
忙しい中勤務調整して出席しても価値があるセミナーにする所存なので、ぜひ多くの人に会場にお越しいただきたい。


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