AI(人口知能)を利用したケアプラン作成ソフトの開発が進んでいる。現在それは居宅サービス計画の作成という部分が先行し、施設サービス計画作成は、そちらが軌道に乗って以降となるものと思われる。
ただし居宅サービス計画の分野においても、AIによるケアプラン作成が実用化されているわけではなく、実用化に向けたモデル事業が一部地域で始められているに過ぎない。
このことに関する最新の報道としては、「欠けている知識を補完! 新たなケアプランAIが登場 福岡で実証実験へ」というものがある。
この記事で紹介されているのは第2表の作成支援ツールであり、利用者のアセスメント情報を入力すると、「解決すべき課題」・「長期目標、短期目標」・「サービス内容」・「サービス種別」などが順に選択肢が示され、ケアマネはそれを選択しながら、加筆・修正するだけで居宅サービス計画が作成できるというものだ。
このことに関して、一部のケアマネジャーの声として、AIによるケアプラン作成だけで、居宅サービス計画作成業務が完結するわけではなく、業務軽減につながらないのではないかとか、コストパフォーマンスを考えると意味がないという声も聞こえてくる。
しかしモデル事業が始まったばかりの段階で、AIによるプラン作成をネガティブに評価する必要はない。
そもそも居宅介護支援事業所の介護支援専門員の質の差が指摘される中で、一部の介護支援専門員による居宅サービス計画がアセスメントとまったくつながっていない例もみられる。利用者が居宅介護支援事業所を選択する際に、「デイサービスを週2回くらい使いたいので計画を立ててくれませんか。」という希望を短銃に受け入れて、アセスメントを行う以前に、「週2回のデイサービス利用ありき」で計画を立てている人もいる。そこには利用者ニーズも、解決すべき課題の視点もなく、目標も課題解決には程遠い内容となっているケースがたくさんある。
AIソフトによって介護支援専門員の気づきが麩あることで、そのような質の低い仕事が減るとすれば、それは大いに利用すべきである。
要はAIソフトい支配されるのではなく、それを使いこなすことである。AIソフトが示したプランを参考にして、それに手を入れてより良いプランに結び付ければよいだけだし、その過程で介護支援専門員の業務負担が少しでも軽減できるのであれば、それに越したことはない。コストの問題にしても、今後研究が進んで実用化できる段階になれば、居宅介護支援費や施設サービス費の額に照らして、現実的に購入が進むコスト設定がされるはずであるし、そのことは後々の問題としてよいことだ。
例えば医療の分野では、AIソフトによる診断において、医師が見逃した病気を発見できるという実例もある。だからと言って医師が要らなくなるわけではなく、医師が気づかない病気を発見できたとしても、医師にしか気が付かず、AIソフトには見つけることができない様々な患者の様態が存在する。そして患者にしてみれば、医師不在のAIソフト明けの診断で、決して満足して、それに頼り切るという人はいない。
居宅サービス計画にしても、施設サービス計画であっても同様で、利用者がその息遣いを感じ取ることができ、血の通ったコミュニケーションを交わすことができる介護支援専門員という専門職があってこそ初めて、自分の暮らしの計画を立案をゆだねることができるのであり、AIソフトによるケアプランが実用化しても、介護支援専門員が必要なくなるということはない。それを活用してより良い計画を立てればよいだけの話である。
介護支援専門員という専門職が、機械やソフトを使いこなして、利用者からより信頼を得るような存在になればよいだけの話である。
そう考えると、もしかしたら今現在AIソフトによるケアプランを否定的に捉えている介護支援専門員とは、潜在意識の中で、自分の仕事ぶりに自信のない人なのかもしれない。
きちんとした仕事をしていると自負する介護支援専門員ならば、AIソフトによるケアプランを大いに利用すべきと考えてよいと思う。
自分の見識と知識・援助技術を高める道具の一つとしてAIケアプラン作成ソフトを利用する介護支援専門員であってほしい。
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