北海道もこのところムシムシとした厳しい暑さが続いている。

昨日はオホーツク海側の4地点と道北の2地点で、フェーン現象の影響も加わり、35度以上の猛暑日となった。(※ただし僕の住む登別は最高気温が25度、今年はまだ一度も30度に達していないが、今日は29度まで上がるらしい。)

今日も道内は4日連続の猛暑日で、ファイターズが試合を行う帯広市は、ゲームの最中に最高気温が33度に達する予定だ。観戦される方はくれぐれも水分補給に心がけていただきたい。

このような酷暑の最中で、これでよいのかと考えさせられるニュースが飛び込んできた。札幌市西区のアパートで1人暮らしの60代の女性が部屋の中で死亡していたというニュースである。死因は熱中症で、部屋にはクーラーや扇風機はあったものの、料金を滞納していたため電気を止められていて使えない状態だったという。

この酷暑の状況で電気を止められたならば、生命の危険が伴うことは容易に想像できると思う。滞納に対する対策であるといっても、命を奪う危険性のある罰則を課すことは果たして許されることなのだろうか。もっと状況判断とか、情状酌量とかができないのだろうか。そういう判断や裁量ができるのが「知恵」のある人間ではないのか。決まり事だからといって杓子行儀にルールを執行するだけが社会正義ではあるまい。

介護保険制度も利用者負担が最高3割まで増やされ、それに伴う罰則も増えている。その罰則が生命の危険に及ばないのか、暮らしを成りたたせない阻害要因とならないのかも、もう一度検証してほしい。

暑さに話を戻す。このところの状況から地球の温暖化は進んでいるように思う。違うという説もあるが、どちらにしても僕らが幼かった頃と比べて、北海道の夏は確実に暑くなっている。そのため北海道の一般家庭では無縁と思われていたエアコンを設置する住宅も増えている。僕の家も、昨年ついに暑さに耐え切れずにエアコンを設置した。

介護施設も同様で、ここ数年のうちに新設された特養や老健は、エアコンを基本設備として設計段階から組み入れている。これは十数年前では考えられなかったことである。僕が総合施設長を務めていた特養は、介護保険制度が始まる前年の1999年に増設と改築を行ったが、その時はエアコン設置は議題にさえならなかった。今とは隔世の感である。

しかしそうしたハードが変わっても、ソフトはほとんど変わっていないし、ソフトの変化につながるサービス提供者の意識も低いまま変わっていない状況がみてとれる。

僕が1年前に働いていた老健も、昨年新築されてエアコンが入っているが、そこのソフトも過去のままだ。冷房が効いているとはいえ、そこではリハビリに汗を流す高齢者がたくさんおられる。しかし昨日の午前中に入浴させられた方が、午後からリハビリに汗を流し、その汗をシャワーで洗い流せるのは金曜日の午前中まで待たねばならない。いまだに運営基準上の週2回の入浴支援を行ってさえおればよいと考える介護施設が多すぎる。(参照:週2回しか行わない入浴支援に関連した記事

しかもエアコンが入っている介護施設でも、北海道の場合、夜にはスイッチをオフにしている施設が多い。しかしここ数日は、夜になってもあまり気温が下がっておらず、今夜も寝苦しい夜になりそうだ。そんなときに入浴支援は、安眠と関連深いという知識があれば、その知識を新たなケアのソフトに結びつけることもできる。

例えば介護施設の入浴支援は日勤帯に行うという常識を覆して、夜間入浴をスタンダードにできないかが考えられてもよい。暑い期間限定でもよいからそのことが実施できれば介護の質は大幅に変わる。

入浴と睡眠が関連深い理由は、体温がある程度下がると人は眠くなるという特性があることによるものだ。

入浴すると、温かいお湯の中に身体を入れるため、身体は温まる。身体が温まれば末梢の血管は拡張する。するとお風呂から上がった後には身体から熱がどんどん逃げていくことになり、体温の低下速度が速まるのである。これが入浴が眠りを導いてくれる理由になのである。

そのため夏の暑い時期、寝苦しい夜に熟睡するためには、入浴時間を夜寝る時間と絡めて考えたほうが良いと言われる。

入浴する時間は就寝前1時間がいいとか、いや体が冷える速度を考えると2時間がベストだとか諸説がある。つまりは個人差も大きいということだろうが、必ずしもベストの時間ではなくとも、ベターな時間で入浴することだけで、睡眠の質は変わる。少なくとも日中太陽が燦燦と降り注ぐ最中に入浴支援を行うという選択肢はなくなる。

夜間入浴を行うことで人手を増やさねばならないわけではない。僕の経験から言えば、その実現はシフトを工夫して日勤者を減らして遅番の職員を増やすことで対応可能である。日勤者を減らすことで、その時間帯の仕事に支障をきたすとネガティブに考える人も多いが、その時間帯に集中していた仕事を、遅い時間に回せばよいだけの話だ。

遅番シフトを敷くのは介護職員に限らず、看護職員、相談援助職員、事務員だってよいわけである。要はやる気だけの問題だ。

しかも夜間入浴を行って、利用者の睡眠の質が変わることで劇的に変わるものがある。それは夜勤者の業務負担の軽減である。

このことは夜勤者が、不眠者の対応にいかに時間と手間をかけているのかを考えればわかるというものである。その時間や手間を夜間に入浴支援を行うことでなくすることができるのである。

これはある意味、時間を貯金するという意味になる。別な時間帯に手間と時間を使うことで、人手が少ない夜間の時間を貯金できるとしたら、それは利用者のメリットにとどまらず、従業員のメリットにもつながるのではないだろうか。

しかもそのことは、利用者の暮らしの質の向上につながるのだから、それは人材として貴重な人々の働くモチベーションにもつながっていくと思う。それは顧客からも、介護職員からも選ばれる施設となる要素になり得るかもしれない。

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