五島列島福江島滞在3日目の朝を迎えた。

昨日は社会福祉法人・明和会さんの開設20周年記念式典での記念講演を行い、今日は五島老人福祉施設協議会さんと五島市介護支援専門員協会さんとの合同研修会での3時間講演を行って、もう1泊五島市に滞在した後、明日は夜の長崎市講演に向けて福江空港から長崎空港に向かう予定になっている。

今日はこれから五島市をプチ観光した後、そのまま講演会場に向かうため、いつもより早い時間に記事更新しているところだ。

こんなふうに全国各地で講演を行わせていただいているが、そのテーマも様々で、制度論から経営論、虐待防止やケアプラン作成法、介護実務からソーシャルワークまで多種多様なお話をさせていただいている。(参照:masaの講演予定

それらはすべて講演主催者の方から依頼を受けて、相談のうえで決めているテーマである。

そうしたテーマ相談の際に、職員の接遇やサービスマナーを問題視して、日ごろから従業員の態度を苦々しく思いながら見ている経営者や管理職の方から、「介護サービスの割れ窓理論」をテーマとして依頼されることも多い。その場合は介護実務の話の中でその理論の意味をお話しして、言葉遣いがいかに大切であるかという例を示すとともに、悪気のない「ため口」によって深く傷つく人々の例を紹介したりしている。

考えてみれば利用者と会話する際に、言葉遣いに注意して丁寧語を使うようにするということは、さしたる能力を必要とせず、知識や技術に関係なくすぐに実践できることだ。しかしそのことが実行されないということは意識の問題で、言葉を丁寧に使うことの重要さを理解できておらず、顧客である利用者に対して「ため口」で接している己の醜さと、その恥ずべき姿勢に気が付いていないということだ。

それを経営者や管理職の人々が一生懸命変えようとしているのに、なかなかうまくいかないという。

しかし介護サービスの割れ窓理論を、職場に浸透させて、すべての従業員が丁寧語を使いこなせるようになるためには、相応の覚悟が必要だ。研修を受講してそれだけで職場が変わるということはなく、職場が変わるために経営者や管理者がしなければならないことがあるのだ。

他人と過去は変えることができない。しかし自分と未来は変えることができる。」という言葉があるように、自分以外の他者が変わることを期待する前に、まずは自分自身の姿勢を変えなければならない。そうしないと職場の未来も変わらない。

利用者に対しては常に、どのような状況に置かれても、丁寧語で対応できる自分を創ることがまずは大事である。さらに自分が利用者に対しては、決して「ため口」で接することがないことを、職員に対しても宣言すべきだ。そのうえで職員にも、利用者に対して日常会話は丁寧語を使って行うことをルールとして課すべきである。そのためには職務規定として利用者に対して丁寧な言葉で接するというルールを盛り込むべきである。

ルールとして課す以上、その意味を十分に伝え職員に理解してもらわねばならないので、一方的に朝礼等でそのことを宣言するのではなく、ひとりひとりの職員に、その思いを伝え実践の理解を得るべきである。特にその姿勢がなかなか身につかない職員に対しては、個別面接を行い、なぜその姿勢が身につかないのか、今後自分はどうしたいのかなどを聞き取るべきである。

とかく介護事業の経営理念は、抽象的でどうとでも取れる内容になることが多いが、利用者に対する言葉遣いに関しては、そうした抽象論ではなく、丁寧語を使って会話するという具体論であるのだから、だれもが実践できるはずだし、実践しているかいないかの評価は、これほど簡単明瞭なものはない。

それを服務規定に定めるのだから信賞必罰の原則を貫き、日常的に丁寧語で利用者に接することができない職員は、リーダーや管理職などに昇進させず、次元報酬(給与の上位等級への引き上げ)評価も行わないとすべきである。当然、習熟報酬として、年度ごとに測定する能力の向上に対する評価である給与の定期昇給の際にも、この能力を評価することはあってよく、満額の定期昇給を行わないという評価があってよい。

そもそも経営者が理念の実現のために職員に課すルールを、守ることができないという職員がいるとすれば、それはその職場で働く資格や意味がないということなのだから、そうした職員には別の職場を探してもらうように促すべきである。

職員募集になかなか応募がない人材不足だからといって、こうした経営の根幹にかかわる問題において、経営者や管理職の職務命令に従わない職員を罰することもなく、職務命令に従って適切な利用者対応をしている職員と同じ待遇を与えているのであれば、そのような職場で自己改造意欲など生まれるわけがないのである。

そういう意味で、職務命令に従うことができない職員を切るという覚悟も、介護事業経営者には求められるのだ。


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