介護保険制度は関連法がたくさんあるので、その改正内容をいちいち把握するための確認作業が面倒である。しかしそのことを怠っていると、ルールの変更を失念して不利益を被る場合があるので、情報の収集と確認を常に行っておかねばならない。

ただし常に新しい情報を確認することを厭わないという気構えさえあれば、厚労省の通知等は誰であってもインターネットで最新のものが確認できる。よって確認方法に悩むという必要はない。要はその情報をいかに整理して理解できるかという点が重要であって、僕が管理する表の掲示板などのように、最新情報を明らかにしながら、その内容の理解につながる意見交換を行っていることは、それなりに意味があることだと自負している。この点はインターネットがなった時代とは隔絶の感があるところだ。是非こうしたツールを利用して情報収集に努めていただきたい。

さてそんな情報の一つとして「介護保険最新情報Vol.659」が6月27日付で発出されている。

これはいわゆる「第8次分権一括法」が27日に施行されたことに関連するもので、介護支援専門員の処分に関して都道府県の裁量権を広げた内容となっている。

介護支援専門員の登録は済ませているものの、介護支援専門員証の交付は受けていない場合や、資格の期限が過ぎたのに更新研修を修了していない場合などでも、介護支援専門員の業務を引き続き行っている人に対して、都道府県はその事態を把握した際に、現行ルールでは直ちに登録を取り消す処分を行う必要があった。

このルールを改正して、都道府県が介護支援専門員証の交付申請を速やかに行ったり、更新研修をすぐに受講したりするよう本人に指示できるルールとしている。

ただし都道府県が悪質と判断したケースについては、従前と同様に直ちに登録が取り消されるし、都道府県が当該指示を行ったにもかかわらず、なお介護支援専門員証の交付を受け ることなく業務を継続した場合は、「情状が特に重い場合」に該当すると して登録を消除することとなっている。

このようなルールに改正された理由は、本人の責めに帰さない事由等が認められたことによるものだ。例えば単に介護支援専門員証の交付手続きを失念していた場合などの情状酌量の余地があるケースについて、都道府県の裁量で救うことができるように柔軟な対応を可能にしたものである。更新研修を受講していなかったケースも単なる失念といってよいかという議論はあるだろうが、悪質か否かという判断をケースごとに行うという裁量が都道府県に認められたことは正しい方向であるといえるだろう。

こうした方向にルールが改正されたことは、単に都道府県の裁量権の拡大ということだけではなく、それだけ介護支援専門員という有資格者の存在の必要性が高まっているということだと意識してほしい。要らない資格ならこのような救済策は取られないのだ。

介護支援専門員という有資格者の存在が、この国の福祉の底辺を確実に引き上げており、地域社会で要介護者が暮らし続けるために必要不可欠な存在になっているからこそ、事務処理の不手際だけで、その仕事ができなくなることは社会の損失であるとされたのである。このことをしっかり理解してほしい。

巷では、「介護支援専門員不要論」などという言葉を口にする関係者もいなくはない。しかしそのような言葉を軽々しく口にする人は極めて無責任であると言ってよい。そのような論理に根拠も実体もなく、制度設計者である国やその部局の中で、介護支援専門員という資格が要らないという議論もないし、不要論が唱えられている事実もないからだ。

勿論、個々の介護支援専門員のスキルに差があるという事実は否めず、中には介護支援専門員としてどうなのかという人物がいることも否定しないが、だからといってそのことを不要論として一把一絡げで論ずるのはあまりにも乱暴で無責任である。

要介護者にとって、介護支援専門員という資格を持つ人が担当者として存在していることが、いかに安心な暮らしにつながっているかを、その存在がなかった頃と比較して考えれば、この資格をなくすことがいかに無謀といえるかに気づくだろう。

そのためには介護支援専門員全体のスキルを一定以上に担保する方策と自助努力は求められるであろうが、介護支援専門員という資格そのものに劣等感を抱くような論調があってはならないし、その資格を持つ人々は、その資格に誇りと使命感を抱いて、さらに自分を磨く研鑽・努力をすべきであると考えていただきたい。

介護支援専門員は間違いなく社会にとって必要で、地域住民にとって不可欠な存在であるといってよい。そのためにもスキルを磨く不断の努力が求められるのである。

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