現在まで僕が講演したことのない地域は、日本の都道府県レベルで言えば3県だけとなっている。

その県とは山梨県・鳥取県・香川県の3県だ。この中でも一度もオファーのない県は山梨県だけで、香川県と鳥取県は、過去に講演オファーがあったものの、調整がつかずに流れたという経緯がある。

ところが先日、香川県のとある団体から高松市で行う研修会講師の依頼があり、現在日程を調整しているところだ。調整が必要な理由は、オファーを受けている前日に、別地域で午後の講演予定が入っており、その地域から移動してオファーを受けている日時のその時間までに高松市の会場までたどり着けるかという問題である。現在講演主催者の方でも、日程変更ができるかどうか検討してくださっているが、できない場合は、眠る時間を削ってでも何としてでも間に合うように移動したい気持ちである。

本場の讃岐うどんは、同県から講演依頼があった時に、同県で食べるために他の地域では食べないことを宣言しながらオファーを待っていたので、ぜひ実現したいところである。
(※15:50 追記:先ほど12/11(火)高松市で講演を行うことが決まりました。参照:masaの講演予定

さてそんな風に、1年1年講演を行ったことがない県が少なくなっていくわけではあるが、県といってもその範囲は広く、その地域の特徴も様々で、市町村ごとに特徴は異なり、講演を行ったことがある県ではあっても、別の地域から呼ばれて訪れると、まだまだ知らないことがたくさんあって驚いたり、食べたことのない名物に出会って感動したりして楽しみが尽きることがない。まだまだ元気なうちに、いろいろな場所に行ってみたいと思うのである。

そういう意味では、地元の北海道であっても、すべての地域を知っているとは限らない。全道各地で講演を行ってはいるが、講演を行ったことのない道内市町村の方が多いのも事実で、その中には地名は知っているが、生まれてから一度も足を踏み入れていない地域もあるわけである。そうした地域からもいつか講演オファーがあるかもしれないことを期待しながら、日々新しい知識とアイディアを仕入れるために、コツコツと情報を集める日々を送っている。

ところで先日講演のために訪れた道内のある地域の方から、「登別市は地域包括ケアシステムがしっかり整備されているみたいで、うらやましいですねえ」といわれた。

さすがに自分が住む登別の事情はよく知っている。特に介護関連の情報が誰よりも多く持っているつもりである。その僕が自信をもって答えるが、そのような事実はない。

少なくとも登別市民の一般的な認識としては、地域包括ケアシステムが機能して、そのシステムによる恩恵を受けているという実感を持った人は皆無であると言ってよい。むしろ地域包括ケアシステムという言葉を耳にする機会は増えたが、登別はちっとも変わらず、相変わらず福祉の後進地域だなと考えている市民が多いだろう。

登別市が地域包括ケアシステムの先進地であると勘違いしている人に聞くと、登別市社会福祉協議会の活動がそのシステムに沿って機能的に行われているという誤解に基づくものだということがわかる。しかし登別市社協が、対外的にどのようにその活動を広報しているのか知らないが、そもそも登別市民であっても、地元の社協が何をしているのかを知らない人の方が圧倒的に多いのだ。介護事業者もしかりである。

その社協がいくら他市町村で、自らの活動を喧伝したとしても、それは登別市や社協内部だけで、関係者が「やっている感」を持つことだけに満足している、実体のないシステムであると言え、まさに市民不在のシステムでしかない。

そもそも地域包括ケアシステムとは何かといえば、それは以下の概念として示されている。
ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみな らず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制

このような体制が登別市に存在しているとは思えない。そこで多職種共同の連携システムが機能しているとも言えない。介護の事情に詳しい僕の認識がそうであるのだから、一般市民の認識は言わずと知れている。

こうしたシステムは。社協という1機関で構築できるものではないのである。関係者のネットワークという基盤をしっかり整えて、そこに市民参加も模索することが求められるのだ。

社協という機関が、旗振り役として先頭に立つならともかく、それをする前に、他市町村で市民からは姿の見えない活動を喧伝している姿には、真摯さという姿のかけらも見えてこない。そんな機関に期待できるわけがない。

道内の関係者の皆さまには、登別市で地域包括ケアシステムが機能しているという誤解を持たないでいただきたい。そんな誤解をもって、学びに来たとしても、実体のない概念を持ち帰る結果に終わるしかないのだから・・・。

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