僕が管理している、「介護福祉情報掲示板(表板)」では、根拠に基づく情報提供や、質問への回答を求めている。

根拠というのは法令通知や解釈通知、Q&Aなどに求めるものであり、それらに答えのないものについて、「厚労省に直接尋ねて回答を得た」という場合も根拠になり得るであろう。

しかし保険者の担当者がこう言っていたという程度では根拠とは言えない。少なくともその保険者担当者がどのような法令等に基づいて考え方を示しているかがわからない限り、それは根拠のない思い込みとされても仕方ないのである。

しかし法令やQ&Aをいくら読み込んでいても、神ならざる身であるがゆえに、勘違いや思い込みは完全に排除することは不可能だ。そういう意味でもネット掲示板で、常に情報交換しながら根拠を確認しあうということは重要で、それによって勘違いを防いだり、誤った考え方を修正できたりする。

例えばつい最近も制度開始当初のルールが、ある時期を境に変更されていたことに表の掲示板の情報交換の中で気付かされた。それは通所リハビリテーションの複数事業所利用に関連したルールについてである。

定額報酬である、要支援者を対象とした「予防通所リハビリ」については、原則複数事業所の利用ができないことは多くの関係者が承知していることだろう。その根拠は次のQ&Aで示されている。

平成18年4月改定関係Q&A Vol.2【介護予防訪問介護】
Q.予防訪問介護や介護予防通所介護については、月単位の定額制とされているが、複数の事業所を利用することはできないのか。

A.月当たりの定額制が導入される介護予防訪問介護や介護予防通所介護などについては、複数の事業所を利用することはできず、1つの事業所を選択する必要がある。


このように予防訪問介護のQ&Aの中で、月当たりの定額制が導入される予防通所リハビリも同様に複数事業所の利用は原則認められていないことが示されている。

しかし介護給付の通所リハビリについては、この限りではなく、複数事業所の利用が可能であると思い込んでいた。いやそれは介護保険制度がスタートした当初は確かに可能であったのである。しかし通所リハビリについては、複数事業所の利用が途中から原則不可と変更になっていることをつい最近指摘された。

まず当初のQ&Aを確認してみよう。

平成12年介護報酬Q&A Vol.2【通所介護】 複数の通所介護事業所の利用について
Q.介護保険では、利用者が複数の通所介護事業所を利用することは可能であるか。

A.可能である(通所リハビリテーションも同様)。


↑このように通所介護の疑義解釈の中で、通所リハビリの複数事業所利用も可能であると示されていたわけである。

ところがこのQ&Aが途中で変更されている。
Q.介護保険では、利用者が複数の通所介護事業所を利用することは可能であるか。

A.可能である(通所リハビリテーションについては、原則として一つの事業所でリハビリテーションを提供するものであるが、やむを得ない場合においてはこの限りでない。)。


よって事業所ごとに提供可能なサービスの種類が異り、単一で利用者が必要とする理学療法 、作業療法、言語聴覚療法のすべてを提供できない場合、複数事業所で提供するなどを除いては、複数の通所リハビリテーションを利用することはできないわけである。おそらくこれはリハビリテーションマネジメントは、原則同一の事業所で行うことが望ましいとの考え方により「原則として一つの事業所でリハビリテーションを提供する」という考え方に変わっていったものであろう。

制度開始当初に複数の通所リハビリテーションの利用がかであることを確認していた人で、この変更を見逃したり、うっかり忘れてしまったりしている人もいるかもしれないと思い、あらためてこちらのブログでも情報提供しているところである。

なにしろ僕自身が、この点はうっかりしていたのであるから、自分自身の確認のためにも、改めて変更部分の内容と根拠をここに示しておこうと思い立ったわけである。

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