先週土曜日は月に一度の「あかい花道場」の日だった。

もともと「北海道介護福祉道場・あかい花」は、僕が北海道の福祉を担う人材を育成するために、ボランティアで行っていた講座が発展して、立ち上がった任意団体である。(参照:五本の赤い花

現在2期目の受講者が、2年目の講座を受講している。この五本の花たちが巣立つのは来年の3月の予定だ。もうすでに僕と1年以上付き合って、僕の考え方はすべて知っている若者たちである。その若者たちが日々の業務に励みながら、そこで迷いや悩みを持ちつつも、月に一度の会合で、それぞれの揺れる思いを語り合いつつ、一つ一つの課題を克服していく姿がそこにはある。

北海道の明日の福祉を担うべき若者が、自分の花を咲かすために、頑張って土中に根を張っているのが今の時期である。僕はその根が少しでも強くあるように、栄養分を与える役割である。

介護という職業は、決してキラキラポエムですべて語ることができるような仕事ではない。ドロドロした人間関係や、3K4Kといわれる職場環境も存在する。苦しくて、辛くて、汚くて、どうしようもない空間もそこかしこにあるだろう。しかし介護の職業は、対人援助という役割を担う中で、人生を考えることができる仕事でもある。人としてこの世に生まれ生きてきたという人生の意味を、そこで感ずることができる人もいようし、職業を通じて社会貢献することの喜びを感ずることができる人もいるだろう。

あかい花道場は、何に喜びを感じ、どのように人とかかわっていくのかを2年かけて考える場所でもある。土曜日の講義を終えた後、みんな良い顔をして帰ってくれたのが何よりである。

勿論、介護という職業に喜びなんか感じないで、ストレス以外の何ものでもないという人もいるだろう。高齢者や障害者に関わること自体に嫌悪感を感ずる人もいるのも事実だ。だからといってそういう人や、そういう感情を否定するつもりはない。人は様々だから自分に合う合わないという感情はどうしようもないものであり、介護の職業に誇りも喜びも見いだせない人は、他の職業を探せばよいだけの話だ。

人手が少ないからといって、介護の職業に合わない人が、この業界に居続けることが問題なのであり、合わない人、スキルのない人はさっさとどこかに行ってほしい。

介護の職業が合わずに、介護の職業が嫌いであるにも関わらず、他に行き場所も探せずに、介護という職業の中でストレスを抱えて、利用者にそのはけ口を向けたり、精神的なダメージを負ったりするのは、介護という職業のせいではなく、自分の適性を見つけられなかったり、適正ではない場所にしか居場所を見いだせないという自分のパーソナリティやスキルの問題だと思う。そういう輩が束になって、介護という職業そのものを批判しても、なんの説得力もない。

それにしても介護業界の経営の在り方は、今一度考え直さねばならない。

今僕が教えている5人の若者だけを見渡しても、たいして年も替わらず、経験年数がほぼ同じであるのに、年収レベルで80万以上の開きがみられたりする。一方が高いのではなく、一方が極端に低いのである。例えば経営規模の大きな社会福祉法人なら、周囲の民間企業と比べてもそん色のない年収ベースとなっているが、グループホームや小規模デイサービスなどの単独事業者では、給料表もなく、昇給規定もあいまいで、年収もかなり低い事業者が数多く存在する。経営者の考え方ひとつで賞与もあったりなかったり、あるいは支給率がその時にならないとわからないという事業者も存在する。介護事業者の平均給与ベースを引き下げている元凶が、こうした小規模事業者である。

介護事業経営者は、福祉や介護への思いだけではなく、そこで働く従業員の「暮らし」を護るという視点も必要だ。つましくても社会人として暮らしが成り立つ給与ベースを作り護る責任が経営者にはある。長年まじめに働いても、家族の援助を受けないと生活できない給与ベースでしかない事業者の経営者は、経営者失格である。

そんなことも考えながら、この若者たちが、将来北海道の福祉人材として大きく羽ばたいてくれる未来を想像するのが、僕の今現在の一番の愉しみである。

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