昨日(5/28:月)10:55頃、神奈川県茅ケ崎市元町の国道1号で、乗用車が横断歩道を渡っていた4人をはねた後、歩道に突っ込み、さらに2人をはねた。この事故で女性1人が死亡し、2人が重傷を負った。

乗用車を運転し事故を起こした90歳の女性は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕されたが、取り調べで、「信号は赤だったが歩行者が渡っていなかったので発進した。歩行者が渡り始めたのが見えたので、ハンドルを切った。」と供述しているという。

容疑者は今年3月に運転免許証を更新しているそうだ。その時点では、認知症の症状がみられなかったということだろう。

現時点でも、この女性が認知症であったかどうかは不明だが、判断力の衰えは否定できないだろう。どちらにしても事故と認知機能低下の問題を切り離しては考えられないのではないか。

いやむしろ認知症とはいえないまでも、判断力が衰えていることで、運転しないという判断もできず、危険行為が日常的に続けられている人が考えられている以上に数多く存在するというのが問題である。

そのことで将来ある尊い命が、日常的に危険にさらされているというのが、我が国の現状ではないのか。そうであるなら認知症の人が運転できてしまうことの危険以前に、加齢による判断力の衰えは、すなわち危険運転の原因でもあるという社会認識を広げ、一定年齢になった際の運転からの引退が、普通に行われる社会を目指すべきではないのだろうか。

このブログでも認知症ドライバー問題は、過去に何度も取り上げてきた。

ネット検索すると「認知症患者による過去の自動車暴走事故まとめ」というサイトもヒットするが、それらは認知症ドライバーが引き起こしている死亡事故のほんの一例に過ぎない。

これらの事故に巻き込まれる人の多くは、事故を起こしたドライバーより若い人で、中には幼稚園児や小中学生が多数含まれている。

高齢者の移動手段の確保の代償が、将来のある子供や若者の命との引き換えであって良いというのだろうか。

自動運転ができる車の開発も急がれるだろうが、それが実現していない今、認知症の人はますます増え続ける超高齢社会である我が国では、認知症の症状が出現してから対策するのではなく、認知症の症状が出る前に、リスクを減らす対策に努めることが求められるのではないのだろうか。

いつまでも認知症ドライバーや、判断力の衰えた高齢ドライバーによる悲惨な事故を繰り返さないためにも、判断力の衰えていないうちに、一定年齢に達した場合の運転免許の返上が求められるのではないだろうか。それは自主的な返納に頼るのではなく、超高齢社会の法令ルールとして返納義務が存在しても良いように思う。

勿論、高齢者の移動手段の確保は、免許返納とセットで行われるべきで、免許返納者が対象となっている、「介護予防・日常生活支援総合事業」の送迎サービスを全市町村で行うことを義務付けるべきとも考える。

どちらにしても、他人の命と引き換えに、護るべき権利など存在しないのだ。そのことを肝に銘じて、新ルールをつくっていかねばならない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。