介護報酬が3年に一度改定されるのに対し、診療報酬は2年に一度改定される。

つまり診療報酬の方が介護報酬より改定サイクルが短いということになり、それによって国が目指す流れをより早く診療報酬評価に取り込むという結果を生んでいる。すなわちそのことは改定サイクルが長い介護報酬が、常に診療報酬の風下(あるいは川下)に置かれるという意味だ。

そんな介護・診療報酬は、必然的に6年に一度同時改定となる。その時には、両者のインセンティブ(報酬)をすり合わせ、整合性をとる方向で改定されることになる。

現在国が目指しているのは、介護と医療制度の持続可能性を高めることであり、限りある財源を必要性の高いところに重点給付するために、地域包括ケアシステムを深化させようとしている。

そこでは入院治療は本当に必要な人のみとし、医療から介護への付け替えを進める施策がとられ、療養の場は暮らしの場へと移っていく。つまり療養の場で暮らしを支援する必要が生ずるわけである。そこでは介護サービスに医療が深く食い込んでくることとなり、そのために介護・医療連携が必然となる。いわば介護と医療は、それぞれの専門性の枠からはみ出して、Hybrid化(異なった要素を混ぜ合わせたもの・組合わせたもの)が求められているわけである。

そのため今回の介護・診療両報酬でも、医療機関からの退院支援に関する報酬評価が、よりしやすく、より高くという方向で議論された。

例えば介護報酬の居宅介護支援費における「退院・退所加算」については、退院後の初回のケアプラン作成を評価するとともに、すべての区分で退院時の院内カンファレンス参加を評価する改定が行われた。カンファレンスに参加してより適切な情報に基づく居宅サービス計画を立案し、退院直後のより早い支援を評価することになったものだ。

しかしこのことでは従前の診療報酬の算定ルールに問題が存在していた。それは退院した日から即使える居宅サービス計画を立案するには、ケアマネジャーが入院先からより早い段階で利用者情報を得なければならない。ところが従前の「診療情報提供料」については、入院中の情報提供では算定できないというルールがあり、退院後の情報提供のみが算定対象となっていた。

これについて今回の診療報酬改定では、退院前2週間の情報提供も算定要件となったため、ケアマネジャーは、利用者の退院前から退院に向けた医療側の情報提供を受けられるようになり、退院後の初回プランを退院日に間に合わせて作成しやすくなるというメリットが生まれた。

また情報を得る方法としてのカンファレンスについては、従前では「退院時共同指導料2」できる3者以上が参加する共同指導の場をカンファレンスとしていたが、これについては医師の参加が必須であった。そのため入院先の主治医が多忙でカンファレンスの調整困難というケースが多かった。そこで今回の改定では、「退院時共同指導料2」について、主催する医療機関側の参加者が医師だけではなく、看護師でも可とされた。これによって主治医が不在や多忙でカンファレンスに参加できない場合も、看護師参加の共同指導カンファレンスにケアマネジャーが参加し情報を得ることで、介護・診療の両報酬の当該費用の算定も可能になったわけである。

ただこの問題に関連しては、解釈通知(平成 12 年3月1日老企第 36 号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)の第3・居宅介護支援費、13 退院・退所加算についてにおいて、この加算を算定できる医療機関のカンファレンスが次のように記載されている。

(2)に規定するカンファレンスは以下のとおりとする。
イ 病院又は診療所 診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号)別表第1医科診療報酬点数表の 退院時共同指導料2の注3の要件を満たすもの。


ここが問題である。平成 30 年厚生労働省告示第 59 号であれば、このカンファレンスは「注1の場合において、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等が〜」と医師以外の看護師が加えられているのであるが、平成 20 年厚生労働省告示第 59 号では、この部分は「注1の場合において、入院中の保険医療機関の保険医が〜」となっている。このため居宅介護支援費の退院・退所加算算定を行うためのカンファレンスは、診療報酬の算定ルールが変わっているにも関わらず、看護師しか参加しないカンファレンスでは算定できないのではないかという疑問が生じ、そのことが表の掲示板の「居宅介護支援の退院退所加算について 」で議論されている。

そのNo.12とNo.14 のレスポンス、「告示を一部改正する場合は、元の告示の番号が生きています。」・「今回の改正告示により元の告示が改正されています 」というのが真相のようで、解釈通知の文言が「平成 20 年厚生労働省告示第 59 号」であっても、最新の「平成 30 年厚生労働省告示第 59 号」の内容が反映されるということで、結果的に医師参加のないカンファレンスにケアマネジャーが参加して、退院退所加算を算定することは問題ないようである。

居宅介護支援事業所のケアマネジャーの皆さんは、このことも確認しながら、より早い段階での退院支援に努めていただきたい。

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