2017年の地域包括ケアシステム強化法によって誕生した「共生型サービス」は、2018年4月より、介護保険制度と障害者福祉サービス事業の双方に位置付けられた。
このサービスは、高齢者と障がい児・障がい者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため創設されたもので、これにより介護サービス事業者は、障害福祉サービス事業等の指定が受けやすくなるものだ。(※逆に障害福祉サービス事業者等は、介護サービスの指定が受けやすくなる。)
介護保険の共生型サービスは、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護の3サービスに位置付けられている。
しかし昨年度まで介護保険の訪問介護・通所介護・短期入所生活介護を行っていた事業者が、今年度から障がい者の方々も受け入れようとしたときに、介護保険の共生型サービスの指定を受けると誤解している人が多い。それは違うのである。
介護保険の共生型サービスの指定を受けるのは、障害福祉サービス事業者である。昨年度まで障がい児・者のみを対象にサービス提供していた障害福祉サービス事業者が、今年度から高齢者も同じ事業所内でサービス提供しようとしたときに介護保険の共生型サービスの指定を受けることになるものだ。
この場合、通所介護や短期入所生活介護で配置義務がある相談員については、障害福祉サービス事業には配置義務がないため、その配置が行われていないことから介護保険の共生型サービスは、本来の通所介護や短期入所生活介護よりも3割減の報酬単位となっている。このとき、例えば共生型通所介護では、障害福祉サービス事業者が相談員を配置して介護保険の共生型通所介護の指定を受けた場合に、新設された「相談員配置加算」が算定できるのであり、もともとの介護保険通所介護事業者が相談員配置加算を算定できることはない。このように共生型サービスでは、サービス種別ごとに3割減算単位を緩和する報酬算定構造としているのだ。
よって介護保険の訪問介護・通所介護・短期入所生活介護を行っていた事業者が、今年度から障がい者の方々も受け入れようとする場合も、介護保険制度上の共生型サービス指定ではなく、それぞれ訪問介護・通所介護・短期入所生活介護の指定のままで、障がい福祉課等で障害福祉サービス事業の共生型サービスの事業指定を受けることになるわけである。
その際の対象サービスは以下のとおりである。
・居宅介護、重度訪問介護
・生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・短期入所
・児童発達支援、放課後等デイサービス
このことについては、平成 30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) (平成 30 年3月 23 日) において次のような疑義解釈が示されている。
問 44 :平成 30 年4月から、共生型サービス事業所の指定が可能となるが、指定の際は、 現行の「訪問介護」、「通所介護」、「短期入所生活介護」として指定するのか。それと も、新しいサービス類型として、「共生型訪問介護」、「共生型通所介護」、「共生型短 期入所生活介護」として指定が必要となるのか。それとも「みなし指定」されるのか
回答:・共生型サービスは、介護保険又は障害福祉のいずれかの居宅サービス(デイサービ ス、ホームヘルプサービス、ショートステイ)の指定を受けている事業所が、もう一 方の制度における居宅サービスの指定も受けやすくする、あくまでも「居宅サービス の指定の特例」を設けたものであるため、従前通り「訪問介護」、「通所介護」、「短期 入所生活介護」として、事業所の指定申請に基づき自治体が指定する。 ・なお、当該指定の申請は、既に障害福祉サービスの指定を受けた事業所が行うこと となるが、いずれの指定申請先も都道府県(*)であるため、指定手続について可能 な限り簡素化を図る観点から、障害福祉サービス事業所の指定申請の際に既に提出し た事項については、申請書の記載又は書類の提出を省略できることとしているので、 別添を参照されたい。
(*)定員 18 人以下の指定生活介護事業所等は、(共生型)地域密着型通所介護 事業所として指定を受けることとなるが、当該指定申請先は市町村であるため、 申請書又は書類の提出は、生活介護事業所等の指定申請の際に既に都道府県に 提出した申請書又は書類の写しを提出することにより行わせることができるこ ととしている。
なお共生型通所介護の定員については、共生型通所介護の指定を受ける指定生活介護事 業所等において同時にサービス提供を受けることができる利用者数の上限であり、介 護給付の対象となる利用者(要介護者)と障害給付の対象となる利用者(障害者)との合算で、利用定員を定めることとなることもQ&Aで示されていることを付け加えておきたい。
ところで共生型サービスに関連した省令改正が、居宅介護支援事業の中で行われていることに気付いているだろうか?また障害者福祉サービスを受けていた人が、介護保険の共生型サービスに移行する場合に、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、必ず知っておかねばならない給付制度が存在することに気が付いているだろうか?
このことについては明日の記事で詳しく解説したい。(明日に続く)
※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。