介護報酬改定・基準改正等への対応で、昨年度末から今日まで介護事業者の担当者は大変な思いをしたと拝察する。
しかし大変なのは介護事業者ばかりではない。市町村の職員も、介護関連事業の対応に追われて大変な思いをしておられる人が多いのではないだろうか。
なぜなら地域包括ケアシステムの構築と深化が求めらられている中で、市町村の責務が増えており、新しく市町村の義務とされた対策等について、2018年4月から発動するものが数多くあるからだ。
例えば認知症総合支援事業のメニューの一つとなっている、「認知症初期集中支援チーム」について、2018年4月から、すべての市町村に設置が義務付けられている。
また地域支援事業の包括的支援事業の一つである、「生活支援体制整備事業」も2018年4月からスタートするため、各市町村は地域課題を発見し、解決策を図るための「協議体」を設置しねければならない。この協議体には、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、かつ「地域住民の代表(町内会やボランティア団体等)」なども加えるビジョンが示されている。
さらに在宅医療・介護連携推進事業としての8事業が、2018年4月から全市町村でスタートする。その事業内容は下記のとおりである。
(ア)地域の医療・介護の資源の把握
地域の医療機関や介護事業所の連絡先や機能等の情報収集を行い、リストやマップなどで共有・活用できるようにする。
(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策
地域の医療・介護関係者等が参画する会議を開催し在宅医療・介護連携の現状を把握・共有しながら課題の抽出、対応策を検討する。
(ウ)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築
地域の医療・介護関係者の協力を得ながら、切れ目ない在宅医療サービス体制の構築を目指した取り組みを行う。
(エ)在宅医療・介護関係者の情報共有支援
手順等を含めた情報共有のツールやルール作りなど、それぞれの場面で医療・介護関係者間の情報が共有できるよう支援する。
(オ)在宅医療・介護関係者に関する相談支援
医療・介護関係者の連携を支援するコディネーターを配置し、在宅医療・介護連携に関する相談に応ずる。
(カ)医療・介護関係者の研修
地域の医療・介護関係者が連携を図れるよう多職種でのグループワーク等の研修を行います。また、医療・介護の相互理解がすすむよう研修会等を行う。
(キ)地域住民への普及啓発
地域住民を対象にしたシンポジウムや講演会の開催や、資源マップやパンフレット、HPを利用し、地域住民の在宅医療・介護サービスに関する理解を促進する。
(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携
複数の関係市区町村等が連携して、広域連携が必要な事項について検討する。
こんなふうにして市町村の業務も大幅に増えているわけだ。その事業がスムースに実施できるように、関係者もできる範囲で協力していかねばならない。当然そこでは所属事業所という枠を超えた多職種連携が求められてくるわけであるが、その旗振り役の市町村職員自身が、縦割り行政にがんじがらめにされて、身動きが取れないのでは、連携など絵に描いた餅にならざるを得ない。
どちらにしても地域包括ケアシステムは、市町村に下駄を預ける部分が多くなるという意味なのだから、地域間格差は確実に大きくなるので、市町村行政職員の覚悟と仕事ぶりで、地域住民の暮らしの質が左右されることを忘れてはならない。
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確かに、自治体にお任せされても、大変でしょうね…。
私は、内部身障者で、手帳一級ですが、介護とかは、まだいらなくても、
これって、急に難病になるかたもいるから、介護問題は、高齢者だけではなくて、全般的に大変な事態になりますね。。
先行き、この日本、不安すぎます。