3月30日付の介護保険最新情報Vol637の内容は、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」 の一部改正についてであった。

これは老計10号通知の改正であり、その目的は同解釈通知の、身体介護の1-6(自立支援のための見守り的援助)の明確化であった。

先の介護報酬改定議論の際、厚労省はこの部分に「身体介護として明記されていないものがある。」と指摘していた。つまり実態としては身体介護であるにもかかわらず、ここに明記されていないことにより、生活援助として算定されていたサービス実態があることが問題視されたわけである。そのため、「これまで生活援助として提供していたサービスを身体介護として位置づけやすくする。」ための通知改正が行われたわけである。

通知改正内容を確認したい。

まず身体介護について、下記のように変更されている。
(従前)⇒用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために利用者 と共に行う自立支援のためのサービス
(改正)⇒用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス

これは注目すべき改正点だ。介護保険制度の理念・目的は「自立支援」であることは知らない人はいないが、ここにQOLという言葉と、重度化防止という言葉が加わったという意味は、「QOLの向上を伴わないADL回復の目的化」が促進されるリスクに警鐘を鳴らすとともに、高齢者の字膣支援がADLの向上だけではなく、ADL低下のスローダウンや、その過程における暮らしの質を総合的に見つめつ実現できるものであることを明示したものといえよう。それはある意味、僕の竹内理論批判と相通ずる考え方であると評価したい。

そのため(1-6)についても次のように文言が追加された。

(従前)1−6 自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
(変更)1−6 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助(自立支援、 ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)

そしてその具体的な行為については以下の通りとされた。(※緑色で示した部分が追加されたもの。白字は従前からのもの。番号は本通知では示されていないが、便宜上ここでは番号を振った。)

○ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う。
1.認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
2.認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。

3.入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための 声かけ、気分の確認などを含む)
4.移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
5.ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
6.本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
7.利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
8.ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助

9.認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
10.洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
11.利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
12.利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う衣類の整理・被服の補修

13.利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
14.車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
15上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの

このように具体的行為が示されているが、15の内容を読むと、その行為の範囲はもっと広げられる可能性があることがわかる。それだけに居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員が、利用者のADL・IADL・QOL向上についてどう考えるかがより重要になってくることがわかる。

くれぐれもQOLの視点のない自立支援・ADLの向上に目を奪われないようにしてほしい。

居宅サービス計画作成の視点で何より大事なのは、その計画が実行されることそのものではなく、その計画が実行された結果、利用者の暮らしぶりが良くなることである。そして利用者の暮らしぶりが良くなることとは、利用者が満足して良かったと思えることである。

利用者が不満を抱えているにもかかわらず、計画が実行されていることに、担当ケアマネが満足している乗な状態は、なんの意味がないばかりではなく、それはその担当ケアマネが、利用者にとっての生活障がいそのものになっているに過ぎないのである。

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