先週20日の火曜日に、「生活機能向上連携加算は算定しにくい・・・。」という記事を書いて、この加算を算定するには、外部の医療機関もしくは通所リハビリ、訪問リハビリ事業所との間で、リハ専門職(医師を含む)の派遣契約を結ぶ必要があることを指摘した。

その際に、派遣先にはこの契約を結ぶこと及び実際にリハ専門職を派遣したことによって、直接的に介護報酬や診療報酬が算定できるわけではないことも指摘したうえで、生活機能向上連携加算を算定する側である特養や特定施設、通所介護事業所等が加算費用の範囲で、契約金を支払うことになると指摘した。

まさかボランティアで一銭の収益も挙げられないのに、リハ専門職を派遣してくれるような事業者はあり得ないからだ。

ちにみに23日に発出された平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1)では、以下のような考え方が示されている。

【通所介護、地域密着型通所介護】
○ 生活機能向上連携加算について
問 35 指定通所介護事業所は、生活機能向上連携加算に係る業務について指定訪問リ ハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又は医療提供施設と委 託契約を締結し、業務に必要な費用を指定訪問リハビリテーション事業所等に支払う ことになると考えてよいか。

(答) 貴見のとおりである。なお、委託料についてはそれぞれの合議により適切に設定す る必要がある。


これは通所介護のQ&Aとなっているが、特養部分にも同じ内容のQ&Aがある。そのため委託料がいくらに設定するのかが問題となってくる。

このことに関連して表の掲示板で、この契約金をいくらに設定してるかという情報を求めてみた。

すると次のような情報が書き込まれた。
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某リハビリ系団体がとりまとめを行っており、介護老人福祉施設に対し<派遣料>利用者10名=1万円で、どうかとの相談がありました。<生活機能向上連携加算>利用者10名×200単位=2万円と考えると、リハビリ専門職と介護福祉施設の取り分は同額。
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しかし200単位/月というのは、個別機能訓練加算を算定せず、生活機能向上連携加算単独で算定している事業所のみの算定額である。しかし生活機能向上連携加算を算定するためには、個別機能訓練計画の作成と定期的見直しは最低限必要になることで、個別機能訓練加算の算定要件とほぼ同じであり、生活機能向上連携加算の単独算定のメリットはなく、ほぼすべての特養は、個別機能訓練加算と併算定するはずだ。そうなるとこの加算は100単位/月で、「利用者10名=1万円」であれば加算算定事業者の取り分はゼロ円になってしまう。

そうであっても外部のリハビリ専門化が介入することで利用者サービスが向上し、それは利用者福祉の向上にもつながるのだから良いと考えるのは、決して高邁な思考ではない。

生活機能向上連携加算を算定するために、特養や通所介護の機能訓練指導員は、大幅な作業増加・労務負担の増加が見込まれる。それは20日の記事でも示したことだ。それに対する対価が発生しないとなると、この部分の収益を、機能訓練指導員の報酬改善に充てることはできなくなる。労務負担が増えたのに、事業者収入が増えず、その担当者の労働対価も発生しないとしたら、それはとりもなおさず、介護労働を底辺化する一番のリスクである。

僕が再三このブログの中で、細かく加算を拾うように呼び掛けているのは、それをすべて事業者収入とせよという意味ではない。勿論従業者にとって、会社が収益を挙げて安定して経営できることそのものが自分の暮らしを護ることに直結するのだから、経営を続けられる収益構造を創りあげることは必要である。

同時に事業経営者には、事業収益を搾取せず、事業運営を支える従業員に相応の対価を支払うという視点が必要不可欠になる。介護職員処遇改善加算は介護職員だけにしか支払うことができないのだから、それ以外の職種の従業員は、給与を引き上げなくてよいと考えるのではなく、介護職員処遇改善加算の支給対象にならない職員にについては、他の事業収益の中から介護職員と同等の体か引き上げを図る経営力が求められているのだし、それは労務負担に応じた正当な対価でなければならないと介護経営者は常に考えておかねばならない。

そういう職場でないと、必要とされる人材は集まらず、育たないのである。そういう事業者は、利用者に対するサービスの品質も確保できないのだ。

労働対価に見合った収益が発生しなくとも、利用者のサービスの質が上がるから良いだろうという考え方は、中・長期的に見れば事業者のサービスの質も低下させるし、福祉力も低下させるのである。

それは介護の職業を奴隷労働化させるだけの結果しか生まないのである。

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