従前まで訪問介護の加算として存在していた、「生活機能向上連携加算」は、福祉系サービスに医療リハビリテーションの専門家が介入することによって、より的確な機能訓練を実施でき、それが自立支援につながることを期待したものだ。

しかし2017年4月審査分の実績は156件という低い算定率にとどまっており、その主な理由は、同じ介護保険サービスを提供している事業所間での連携は、スケジュール調整が困難であるというものであった。

そのため4月以降の報酬改定では、通所リハビリと訪問リハビリのPT、OT、STに限っていた連携先を、疾患別リハビリテーションの届け出を行っている医療機関及び老健・介護療養型医療施設・介護医療院のPT、OT、STと医師にまで広げて、算定率の向上を図ると共に、その加算を特養・短期入所生活介護・通所介護・特定施設等でも算定できるように算定事業所の拡大も図っている。

その理由は、国が高齢者の介護予防・自立支援の方法として、リハビリの専門職による医学的リハビリテーションエクササイズの提供が欠かせないものと考えているからであろうと思う。

つまりこの加算は、福祉系サービスにおいて機能訓練指導員を配置している場合も、その職種が看護職員が多いという現状を手当てしたもので、逆に言えば機能訓練指導員が理学療法士等であれば、あえてこの加算を算定する必要はないように思う。

僕はかねてより、介護サービス事業を巡る厳しい状況を鑑みると、細かな加算をすべて拾って算定していくことが事業経営上は必要不可欠になると主張してきた。しかしこの「生活機能向上連携加算」については、加算算定するメリットはあるのかと首をかしげてしまう。

特養にしても通所介護にしても、この加算を算定しようとする事業者は、個別機能訓練加算に上乗せする形で算定しようとする事業者が多くなると思う。(※単独算定は200単位/月・個別機能訓練加算との併算定の場合は、100単位/月)なぜなら生活機能向上連携加算を算定するためには、個別機能訓練計画書の作成・評価・見直しが必要で、それは個別機能訓練加算の算定要件とほぼ一致しているために、生活機能向上連携加算だけを単独で算定する意味はない。いうなれば個別機能訓練加算の算定要件に、外部のリハビリの専門家が介入することで、生活機能向上連携加算を算定できることになると考えられるからだ。

ただし作業の手間は増えることになる。例えば個別機能訓練加算を算定する場合、機能訓練の内容や進捗状況については、利用者又は家族に対し3月ごとに説明して、記録すればよかったが、生活機能向上連携加算を算定しようとする場合は、「各月における評価内容や目標の達成度合いについて、機能訓練指導員等が、利用者又はその家族及び理学療法士等に報告・相談し、必要に応じて当該利用者又は家族の意向を確認の上、理学療法士等から必要な助言を得た上で、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、 移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)及びIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状 況等)の改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行うこと。 」とされている。つまり特養や通所介護等の機能訓練指導員は、毎月評価内容や目標の達成度合いについて、利用者又は家族及び理学療法士等に報告しなければならないのだ。

このように外部のリハ専門職に対しては、毎月の報告が義務化されているのである。

外部のリハ専門職の立場に立ってこの加算要件を見た場合、外部の医師やセラピストは、新規利用者がいる場合は、特養や通所介護などを訪問し、当該事業者の機能訓練指導員等と共同してアセスメントを行い、利用者の身体の状況等の評価及び個別機能訓練計画の作成を行うほか、3月ごとに1回以上当該事業者を訪問したうえで、機能訓練指導員等と共同で評価を行わなければならない。

100名定員の特養ならば、計画作成や評価は100人分行うことになる。本業を別に持っている外部のリハビリ専門家が行う業務としては、これはかなり負担の大きなものといえよう。

その時に、外部のリハ専門家はその対価をどこから得るのだろう。介護報酬にも診療報酬にも、生活機能向上連携加算の連携に協力して得られる直接的な報酬は存在していない。

例えば訪問リハビリや通所リハビリのリハビリテーションマネジメント加算兇了残衢弖錣箸靴董◆ 指定訪問リハビリテーション(あるいは通所リハビリテーション)事業所の理学療法士、作業 療法士又は言語聴覚士が、居宅サービス計画(法第八条第 二十三項に規定する居宅サービス計画をいう。以下同じ。 )に位置付けた指定訪問介護の事業その他の指定居宅サー ビスに該当する事業に係る従業者と指定訪問リハビリテー ション(指定居宅サービス等基準第七十五条に規定する指 定訪問リハビリテーションをいう。以下同じ。)の利用者 の居宅を訪問し、当該従業者に対し、リハビリテーション に関する専門的な見地から、介護の工夫に関する指導及び 日常生活上の留意点に関する助言を行うこと。 」という要件は存在するものの、これとて通所介護単独利用者で訪問リハビリもしくは通所リハビリを利用していない人であれば意味がないわけだし、特養の利用者は決して該当することはない。

医療機関も別に診療報酬を算定できることにはなっていない。

ということは特養や通所介護事業者が、この加算を算定するために外部のリハビリ専門職の介入を求めるならば、それは訪問リハビリもしくは通所リハビリもしくは医療機関等との保険外契約を結んで、加算費用の範囲でリハ専門職介入費用を支払う必要がある。

そうなると100人定員の特養で、個別機能訓練加算を算定している場合は、100単位/月しか加算されないのだから、単純計算で1000円×100人=10万円がこの加算で得られる月額収益である。

この中からいくらを契約料として支払えるだろうか。その作業内容に見合う額は決して少額ではないだろう。

得られる収入の中から、契約料を支出して、なおかつ業務が増えるということであれば、この加算は算定せずに、事業所内だけの対応で、その他の加算を細かく拾って対応しようとする施設・事業所が増えて、この加算の算定率は低いままで推移するのではないかというのが、僕の予想である。

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