介護×経営で「介護現場から未来を変える」人材を輩出する、をスローガンにしているKAIGO LAB SCHOOLの修了式(卒業論文発表会)に参加し、6名のファイナリストの卒論発表を聴いてきた。

どなたも情熱にあふれ、かつ理論的な発表であった。しかもそこにはソーシャルアクションにつながる提言が含まれており、中には地域の中で新しい実践活動を始めて、介護支援の新たな基盤づくりをしている人もいて、大変感銘を受けた。

発表者の中には、他産業に従事している際に、「うつ病」になって仕事ができなくなった後、たまたま介護の職業に就く機会を得ることができた中で、介護の職業を通じて「うつ病」という病気に向き合い、乗り越え、それを治癒することができたという発表があった。

その方は今、介護事業所の管理者を務めているわが身を振り返って、介護はストレスが多く、「うつ病」になりやすい職業ではなく、「うつ病」の人を立ち直らせることができる職業が介護であるという立場からの提言をされていた。

発表者が「うつ病」という病気を、介護という職業の中で克服した理由や条件もいくつか挙げられていた。

介護という新たな未知な職業に就いたとき、自分ができないことはともかく、できることだけを確実に行おうとしたことが、精神科領域の行動療法の効果をもたらしたのではなかという点。

ちょっとした行為で、利用者や同僚から、「ありがとう」といわれ、感謝されることが多い職業に、喜びを感じることができる自分がいたこと。

何より、うつ病という病気で働けなくなったことに、家族を含めた周囲の人々の理解が得られず、怠けているとか、さぼっているという誤解を受け続けたことで、人が自分のありのままを受け入れることの難しさを知る反面、それを理解的に受け入れる喜びやうれしさを知る自分がいたため、介護の職業の中で出会う、認知症の人や、障害を抱えた人の気持ちを理解することに努めた結果、そのことで心の繋がりが生まれたことなどが挙げられていた。

とても良い発表を聞いた。6人の若者には心より感謝したい。

僕も北海道の登別という場所で、毎回2年をかけて5本の「あかい花」を育てている。(参照:5本のあかい花

あかい花道場は、KAIGO LAB SCHOOLと異なり、どこからも資金提供を受けず、あくまで僕のポケットマネーだけで行う活動だ。その理由は、今まで僕が介護という職業を通じて得てきたいろいろな対価を、社会にお返しするという意味だからだ。さらにどこからのしがらみも束縛も受けないためには、わずかであっても資金提供を受けることはできないと考えたためでもある。

そしてその活動内容も、表に出すことはほとんどなく、生徒が誰かも紹介することもない。彼らと僕は師弟関係ではなく、僕はあくまできっかけと兆(きざ)しに過ぎず。彼らは実践の中で、彼らの花を咲かせる必要があるからだ。

KAIGO LAB SCHOOLが、毎年20名の卒業生を送り出しているのとは異なり、僕の道場は、2年間で最高5人の卒業生しか出せないが、そんな小さな活動であっても、体と資金が続き、希望者がいる限り継続していこうと思う。

そんな思いを新たにする一日だった。それにしても、「ありがとう」といわれることを当たり前と思いこまず、その言葉に喜びを見いだせる感性は素敵だ。その言葉に喜びを感じることができる人は幸せだ。
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本当にありがとう。君たちの未来に幸多かれと祈っています。

どうぞ日本の介護の新しいスタンダードを創る人になってください。
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