来年度からの介護報酬改定では、口腔衛生管理の充実と栄養改善の取組の推進策として、各種サービスに加算が新設されたり、従前の加算算定要件の改定が行われている。

口腔衛生管理の充実策としては、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士による、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を評価した口腔衛生管理体制加算について、現行の施設サービスに加え、居住系サービスも対象となった。(30単位/月)

施設サービスに従前からある口腔衛生管理加算については、算定単位が110単位/月〜90単位/月へと減算されたが、算定要件である歯科衛生士が行う口腔ケアの実施回数は、現行の月4回以上を月2回以上に減らしたことで、より算定しやすい加算となっている。

これらは当然のことながら、口腔機能の維持・向上を図ることで、食事等の口腔摂取を続けて健康を維持することが自立支援につながると考えられているものだ。同時にこのことは、そうした取り組みを行っているにも関わらず、なおかつ食事等の口腔摂取ができなくなった高齢者について、機械的に経管栄養を行うことが良いことなのかどうかを世に問うているのだと思う。

それだけの取り組みを続けても、なおかつ口腔摂取が困難となった人については、そのことを自然の摂理として受け止め、看取り介護に移行するという判断ケースが許されるという意味である。勿論この際は、対象者本人の意思が最も尊重されなければならず、そのために意思確認ができる元気なうちに、リビングウイルの宣言を行う機会を与えるなど、終末期の希望確認に努めねばならないことは言うまでもない。

次に栄養管理について見てみよう。

健康を維持して自立的な暮らしを送るための、栄養状態の維持改善策としては、施設サービスに、低栄養リスクの高い入所者に対して、多職種が協働して低栄養状態を改善するための計画を作成し、この計画に基 づき、定期的に食事の観察を行い、当該入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた栄養・食事調整等を行うなど、低栄養リスクの改善の新たな評価として、低栄養リスク改善加算・ 300単位/月が新設された。

この加算は、計画作成がら6月以内の期間に限り、1月 につき所定単位数を加算する。(※ただし、栄養マネジメント加算 を算定していない場合又は経口移行加算若しくは経口維持加算 を算定している場合は算定しない。 )とされているが、6月を超えた場合も、低栄養状態の改善等が可能な入所者であって、 医師の指示に基づき継続して栄養管理が必要とされるものに対しては、引き続き当該加算を算定できるとされている。

対象者はそう多くはならないだろうが、是非算定したい加算である。

各種の通所系サービス、居住系サービス、多機能型サービスには、管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合の評価を創設する。 栄養スクリーニング加算 5単位/回が新設された。

これに関連して厚労省が現在示しているスクリーニングの具体例は、
・BMI(体格指数)が18.5を下回っていないか
・直近の6ヵ月間で体重が3%以上減っていないか
・食事の摂取量が通常の75%以下になっていないか


などが挙げられている。今後、必須とするチェック項目をさらに増やす可能性もあり、年度末までに示す予定になってる。

しかしこの加算は、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報 (当該利用者が低栄養状態の場合にあっては、低栄養状態の改善に必要な情報を含む。)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供した場合に5単位を算定するものだ。

スクリーニング手法は、栄養士以外にもできる簡便なものだと言っても、書式を備え報告義務がある業務のアウトカム評価が、半年ごとにわずか5単位・・・一人の利用者について年間100円しか算定できない加算というのはどうだろうか・・・。

これからの介護事業は、細かな加算もすべて拾って、算定漏れがないようにしないと経営が苦しくなるというが、労働対価としてあまりに低い単価の加算は、介護労働の価値を貶める危険性を孕んでいる。

どちらにしてもアウトカム評価のために、どれだけ書類を増やすのだろうかと、ため息ばかりの報酬改定である。質の高い介護はいずれ書類の上だけに存在し、時間の制約の中で実際の介護実務は書類作成に追われ疲弊した人々によって流れ作業的な貧困なものになって行くことだろう。
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