26日に介護報酬単価が公になるが、先行情報では何やら恐ろしい結果が聞こえてくる。

通所リハビリを併設した在宅復帰型ではない老健はかなりヤバイらしい。通所介護も極めて厳しそうだ。一般型老健に通所リハと通所介護が併設されているとしたら・・・恐ろしい。どちらにしてもプラス改定と浮かれている経営者は腰を抜かす結果になるかもしれない。

さて話は変わるが、介護人材確保に関連して厚労省は、特養が新設される際に職員を確保できるように、ハローワークが自治体と連携して施設を支援するモデル事業を、東京都・さいたま市・千葉市・横浜市で今月内にも始めることを公表した。

現在、全国の開設10年以内の特養で空きベッドがあるうち、職員採用が困難でその空きベッドが生じている施設は13%である。この解消を狙ったものだ。

モデル事業の内容を見ると、まず自治体とハローワーク、介護労働安定センターの担当者による協議会を設置するという。自治体は特養の新設情報をハローワークに提供し、ハローワークは見学会や面接会開催など、職員の採用につながるアドバイスを施設ごとに提案する。求職者にもこうした情報を提供するという。

また各都道府県に支部・支所がある介護労働安定センターも、施設の人事制度や助成金の利用などの相談に乗り、職員の離職を防ぐ取り組みを施設に促すという。

果たしてこのことがどれほどの効果を生むのだろうか?僕はほとんど効果がないと予測している。

なぜなら特養の求人に応募がない理由は、情報不足ではないからだ。募集に応募のない社会福祉法人は、募集情報については、インターネットの公式サイトのみならず、SNSをも酷使してアナウンスに努めている。

しかも特養に限っては、介護保険以前の措置時代に、「公務員準拠(公務員と同じという意味)」の給与水準とされていたため、介護保険以後もその残滓を引き継いで、他の介護事業より職員給与は高い施設が多い。にもかかわらず募集に応募がないという現状にあるのだ。

その理由は、そもそも応募に応じることができる人がいないからだ。そしてその状況は団塊の世代がほとんどいなくなる2040年以降も続いていく。(参照:人口減少社会の中で

つまりハローワークが、地域全体にくまなく情報発信して、施設に採用につながるアドバイスをしたところで、その地域全体で介護人材を確保できるということはあり得ないのだ。そもそもハローワークに、介護人材を確保するノウハウなり、発信力なりがあるのだろうか。ありはしないだろう。

すべての事業所があまねく人員配置に事欠かない状態になるという幻想を抱いてはならないのである。

はっきり言うと、国全体・地域全体をターゲットにした人材確保策など、現時点で期待するほうがどうかしている。勿論20年先、30年先を見据えた国家的プロジェクトとしての人材確保策は必要とされるが、今現在人手が足りないために生じている空きベッドを稼働させる対策は、国全体とか地域ひっくるめてという施策とは一線を画したレベルで、自法人の個別的戦略として、他法人との差別化を図っていかないと人材も人員も集まらない。

必要な人材と人員を確保するための個別の戦略と工夫が、今こそ求められているのだということを肝に銘じておかねばならない。

その工夫の一助になるお話もしているので、そうしたテーマの講演依頼や相談も気軽にしていただきたい。masaの講演予定も参考にしていただければ幸いである。
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