終末期医療に関連して、治療方針の決定手順などを定めた国の指針(ガイドライン)について、厚生労働省は今月中に有識者検討会に改定案を示したうえで、3月末までに新しい指針をまとめる方針を示している。

現在の指針は、2007年に策定されたもので、その策定のきっかけになったのは、2006年に発覚した事案である。富山県の医療機関で、2000年から05年にかけ、医師2名が50代〜90代の末期患者6人の延命治療を中止するとして、人工呼吸器を外し死亡させたとされることが問題視され、それぞれ殺人容疑で富山地検に書類送検された。(※のちに富山地検は、呼吸器の装着から取り外しまでの行為を「延命措置とその中止であり、殺人の実行行為と認めるのは困難」と判断したため不起訴として事件化しなかった。)

この問題を巡っては、当初から当該医師を「赤ひげ先生」として称賛する声と、殺人事件であると批判する声の両方があったが、結果的に遺族が厳しい処罰を望んでいなかったことも影響し、不起訴処分となっている。勿論理由はそれだけではないが、今回の記事は主旨が異なるので詳しい解説は割愛する。

どちらにしてもこの事案がきっかけとなり、終末期医療について延命中止の判断等において、患者や家族の同意をどうするのかなどが問題となり、現在の指針が策定されたわけである。

しかし策定から10年が過ぎて、社会情勢が著しく変化してきた。国民の8割以上が医療機関で亡くなるといった状況に変化はないものの、徐々に在宅死の割合が増えてきており、ターミナルケアの専門医師も増えている。

さらに死者数が大幅に増加するわが国では、医療制度改革により医療機関のベッド数が減るだけではなく、医療機関の入院日数制限が厳しくなり、入院期間が短縮され、居住系施設(特養・グループホーム・特定施設等)を含めた在宅復帰が強く求められている。そのため死ぬためだけに入院することは難しくなってきており、2030年には47万人の看取り難民が生まれる危険性が指摘されているところである。

そのため暮らしの場での看取り介護・ターミナルケアの実践がさらに求められるわけであるが、現在の指針は、終末期医療を受ける場所を医療機関と想定した内容であるために、居住系施設や自宅で亡くなる人が今後も増えるであろう実態にそぐわなくなってきている。そのため在宅医療や介護施設での看取り介護もカバーしうる内容に変更しようというものである。

ここで重要となるのは、近年取り組みが進んできた「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という考え方である。それは患者と家族・医師らが治療内容や療養場所を繰り返し話し合って決めるという取り組みであるが、看取りの場の選択という意味では、ここにソーシャルワーカーが深く介入する必要もあると考えている。

余談だが、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という言葉・・・もっとわかりやすい日本語に替えてくれないだろうか?患者本人や家族もわかりやすい言葉で、終末期の居所や過ごし方・医療の在り方を説明して考えることが、専門職と患者・家族の協働・連携には何より必要なことだと思え、専門用語や略語・わかりづらい外国語をできるだけ使わないという配慮も必要とされるのではないだろうか。

どちらにしても患者不在の終末期医療など、くその役にも立たないのであって、そのことを徹底的に排除し、患者本人の意思が最大限に守られる終末期医療の在り方が議論されることは良いことだ。

それにしても、「患者と家族・医師らが治療内容や療養場所を繰り返し話し合って決める。」ということは、医師の側の説明責任がより重要になるという意味である。医療の専門家ではない患者や家族に、きちんと伝わる言葉で話せるかどうかが終末期医療にかかわる医師のスキルとして問われてくる。

一方的な指示・命令を説明と勘違いするような医師であっては困るわけである。

特に終末期医療にかかわる医師の言葉は、患者や家族にとって安心や安楽に重要な役割を果たす、「言霊ことだま」であることを十分理解してほしいと思う。
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