昨日は成人の日で、各地で成人式が行われたことと思う。(※登別市は成人の日の前日7日に成人式が行われたが、そういう地域も多かったのではないだろうか。)

新成人の皆さんには心よりお祝いをしたい。ところで毎年、成人式を荒らす心無い新成人の暴挙が話題となるが、今年はそのようなニュースは聞こえてこない。自覚ある新成人が多かったのであろうか?とにもかくにも人前で一升瓶の酒をラッパ飲みするのは格好いい行為ではない。酒に強いのは何の自慢にもならないことに気が付いてほしい。(呑んべえの僕が言うのだから間違いない。)

そんな中、新成人を祝う側の「晴れ着業者」が、成人式当日に店を閉じて責任者に連絡が取れず、楽しみにしていた晴れ着を着れなくなった新成人がたくさん居たというニュースが巷に飛び交っている。一生に一度の晴れの日に味噌をつけられたような新成人の方々は本当に気の毒である。新成人の手本になるべき大人が、このような行為に及ぶことは決して許されることではない。当該業者の経営陣は、人として許されないと思う。

それはともかく、今年の新成人の数も昨年より減少している。

総務省統計局が公表している平成30年1月1日現在の人口推計によると、新成人の人口は123万人(男性63万人、女性60万人。)で、総人口に占める割合は前年と同じ0.97%で、8年連続1%を下回った。

新成人人口
人口推計を開始した昭和43年からの推移をみると、第1次ベビーブーム(昭和22〜24年)世代の昭和24年生まれが成人に達した昭和45年の246万人をピークに新成人人口は減少し、昭和50年代後半から再び増加したのち、平成7年から減少傾向が続いている。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後も新成人人口は減少傾向で推移し、平成37年(2025年)には110万人を下回ると見込まれている。

30代の女性の出産数が増えたことで、合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数)が2012年から上昇に転じているが、その数値はわずか1.44であり、人口維持のために必要な合計特殊出生率2.07には遠く及ばず、人口減少を解消する数値にはなっていない。

これは日本の人口減少がさらに進むという意味であり、生産労働人口が減って、様々な産業の人手不足がさらに深刻化するという意味にもつながる。この問題がAI・ロボットの進化により解決に向かうだろうか?

人工知能を持ったロボットで代替できる仕事も多いだろうから、その開発は大いに期待したい。ただし全産業がロボットで代替できるとは限らず、人の確保はより重要になることも間違いがない。

介護の分野でも、見守りロボットは実用化が進んでいるが、実際の介護行為を代替できる人工知能ロボットは存在していない。力の必要な行為と巧緻性が必要な行為が混在する介護という仕事を、個別のボディメカニズムに配慮した形でそれぞれの動作をつないで、一連の介護支援という行為につなげることができる介護ロボットが完成するのはいつのことになるだろう?それが開発できたとして、一般市民がそれを使って介護支援を受けられるコストになり得るのだろうか?まだまだ気の遠い話である。

しかも高齢者介護支援ということに限って言えば、我が国の人口ピラミッドには大きな問題が存在している。

日本の出生数と出生率1900-2010
社会保障に関連して、地域包括ケアシステムの構築と深化の必要性が叫ばれている一番の要因は、1950年代に生まれた団塊の世代の人々が65歳に達した2015年、その方々が後期高齢者となる2025年を見据えて、この塊(かたまり)の人々をどう支えるかという視点が主眼となっている。

その方々が90歳となって、徐々にその数が減っていく2040年ころまでが、高齢者介護の正念場であると指摘する向きもある。しかし2040年以降、高齢者の数がどんどん減る中でも、介護業界の人手不足の問題は解決しないどころか、その問題はさらに深刻化する。

なぜなら現在、団塊の世代の人々が介護支援を必要な状態になりつつあると言っても、団塊の世代の人々を支えるもう一つの塊が人口ピラミッドの中に存在しているからだ。それは1970年代の第2次ベビーブーム時代に生まれた人々であり、団塊の世代の数より少ないと言っても、団塊の世代の人々が高齢期になっている時期に、生産労働人口として一定の塊となって存在しているのである。

しかし2040年以降、団塊の世代の人々の数が急激に減る中で、その第2次ベビーブームの世代の人々が70代になってくるわけだが、その塊を支える塊は存在しない。第3次ベビーブームが存在していないからだ。

そうなると204年以降、介護事業者の数は減少することになり、廃業する介護事業はの数も多くなるが、少なくなった介護事業者で働く従業者を探すことは、現在よりされに難しくなるということになる。

事業者数が減るから、人材確保・人員確保の問題も解決することにはならないのである。これは極めて深刻な問題である。その解決に有効な回答は、いまだに示されていないというのが実状だ。
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