日中の最高気温が20度に達した沖縄県名護市での講演を終え、昨日午後の飛行機で北海道に帰り、降り立った千歳空港の午後5時30分の気温は氷点下3度だった。日本は広い。
そういえば南国の沖縄では「紅葉」の季節はないそうである。そうした常緑の沖縄では、桜祭りが1月に行われるというのにも驚く。
こんなふうにして今年も日本全国をまわり歩いて講演を行い、様々な人々との出会いがあった。そんな旅の中で思うことは、南北に長い日本では、その地域地域で様々な慣習があり、暮らしがあるということだ。
地域包括ケアシステムとは、そうした地域の慣習や、そこで暮らす人々の日々の営みを護ることを目指すものでなければならない。そのシステムがお題目に終わってもならないし、その言葉が給付制限の方便として使われることがあってはならない。
そのためには徹底的に人を見つめ、人を思い、人を護ることが、我々対人援助に携わる者の使命だということを自覚しなければならない。保険・医療・福祉・介護は、経営主体の目的が達せられるために存在するのではなく、この国に暮らす人々の命と暮らしを護るために存在するのだという根幹となるものを揺るがせてはならない。
我々のミッションとは、事業者が潤うこと以前に、支援を受ける人々がこの国で幸福な暮らしを送るということが実現するためのものである。勿論、経営母体の基盤が揺らいでは、支援行為自体が成り立たないので、収益を上げながら経営を続けるためのミッションも必要になる。しかしそれが利用者の生命や生活の質に優先されるものではないことを自覚せねばならない。
残念なことに介護業界には、事業者目標さえ達せられれば、利用者の暮らしの質などどうでもよいと考えている人も存在する。科学的根拠のない理論を普及させるために、利用者の悲哀を無視して、根拠のない行為を続けている事業者も存在する。竹内理論による大量の強制的水分摂取は、その最たるものである。しかし今月22日にNHKがその欺瞞的理論を紹介する番組を放送した。これによって水分の大量摂取が行われて命を落とす人が出てくるかもしれない。NHKはその責任をとれるのだろうか?
脱水によるせん妄は、脱水状態でなくなれば改善するだろうが、大量の水分摂取で認知症が治ることなどありえないことがなぜ理解できないのか。アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が壊死して症状がおこるのであり、脳細胞が再生しないのに、どうして水分摂取で認知症が改善するなどと言うインチキ理論がまかり通るのだろう。
その番組内容を批判したスレッドが、表の掲示板に立っているが、今更こんな議論がされることが残念である。洗脳介護とはかくも恐ろしいものである。
竹内理論による洗脳介護、そこで行われている人権を無視した強制水分摂取は虐待そのものである。そうしたことを行わずとも、認知症の方々の行動・心理症状は改善することは、カンフォータブルケアの実践でも証明されている。
竹内理論の実践としての、利用者を引きずり回す歩行介助や、舌を血豆だらけにして無理やり口をこじ開けて行う水分摂取は、利用者の家族には見えない場所で密室化されて行われる。カンフォータブルケアの実践は、誰にでも目が届く場所でオープンに行われる。どちらが優れた実践なのかということは、今更言うまでもない。
こんな間違った介護方法がこれ以上広がらないように、科学的根拠に基づいた介護の方法論が浸透するように、来年も僕は全国をまわって伝え続けていくだろう。
介護の質を護る実践論を伝え続けていく。2/24(土)は福岡で、2/25(日)は岡山で、「介護施設・事業所で虐待を発生させない〜介護サービス質向上の具体策」を行う予定である。
人々の暮らしを護る介護実践の具体策を示すセミナーに、是非たくさんの方においでいただきたい。1月に入ったら、このセミナーに備えて是非2月の勤務調整を行っていただき、多くの皆様に参加していただきたい。ぜひよろしくお願いします。
介護の仕事に携わっている人は、年末年始に関係なく働いている方が多いだろう。今日が仕事納めという人もいるかもしれない。僕は2/1まで講演を一時お休みするが、1/4に締め切りとなっている連載原稿の執筆をはじめ、原稿書きで予定が埋まっている。皆さんも体に気を付けて新年を迎えていただきたい。今年のブログ記事は、今日を書き納めにする予定である。
新年は元旦から記事更新する予定であるが、大晦日の酩酊具合によっては予定を変更するかもしれない。
それでは読者の皆さん、今年も僕の拙いブログ記事を読んでいただき心より感謝申し上げます。どうぞ良い年をお迎え下さい。
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