僕は今、新千歳空港のさくらラウンジでコーヒーを飲みながら記事更新している。このあと14:00発の便で羽田を経由でして岡山まで移動予定だ。明日、岡山県津山市に本部のある社会医療法人にて講演を行う予定だからである。

今回の講演は、介護コンサル会社・オールスターLabの斎藤代表から依頼を受けたもので、同社のコンサルの一環として、介護保険制度改正・報酬改定の内容から読み取る介護業界の将来像を見据えたうえで、「日本の福祉が変化する我々が覚悟を決めなければならないこと。〜 介護保険はどこに向かい、そしては我々はこれから何をして行かなければならないのか?」をテーマにお話しするものだ。

対象となる社会医療法人は、内科・脳神経内科・循環器内科・リハビリテーション科・心療内科・耳鼻科を診療科目として持つ母体病院のほか、在宅療養支援診療所であるファミリークリニックを複数持つほか、老健、通所リハ、通所介護、訪問看護、訪問介護、居宅介護支援事業所を傘下に抱えている大きな法人さんである。

今回の講演は医師の方々も多数受講されるとのことで、今後の医療・介護の情報が求められているので、少し肩の荷が重たいが、自分が持つ情報を余すことなく伝え、同時に僕なりの分析もしてきたいと思う。

当然、僕の専門領域である介護が中心の話になり、介護報酬の改定動向が講演内容の中心になるが、それはすべて診療報酬の改定ともつながっているので、その方向で話を進める予定である。

ところで同法人の介護サービス事業所として、通所介護があるが、それはいわゆる「リハビリ特化型デイサービス」であり、午前と午後で利用者を入れ替え、リハビリテーションサービスのみを提供している事業所のようである。

しかしこの形態の事業者は、今後経営戦略の見直しが必須となる。

なぜならば現在「リハビリ特化型デイサービス」として運営している事業所は、3時間〜4時間程度のサービス提供時間で、「3時間以上5時間未満」の単位を算定しているものと思われる。しかし来年4月から通所介護については、大規模事業者の介護報酬が削減されるだけではなく、サービス提供時間が2時間区分から1時間区分に変更されている。となると現行の「3時間以上5時間未満」のデイサービス区分は細分化され、「3時間以上4時間未満」と「4時間以上5時間未満」に分かれることとなり、現行の「3時間以上5時間未満」と同レベルの単位算定ができるのは、「4時間以上5時間未満」だけとなる。つまり3時間〜4時間程度のサービス提供時間となっている通所介護事業所は、減算・減収を余儀なくされるわけである。

そのため減算分を補うために、新しく評価される加算を算定することは不可欠になる。その加算とは、「通所介護の管理者が今しなければならないこと」でも指摘しているが、Barthel Index(バーセルインデックス:ADL評価法)による一定期間内の利用者の機能回復や維持に対する評価加算である。

しかしこの新加算の算定要件には、次の要件がある。

・機能訓練以外のサービスの提供を担保する観点から、利用者の求めに応じて、定期的に食事及び入浴介助を提供した実績があること

つまりリハビリテーションサービスに特化して、昼食提供や入浴支援を行っていない「通所介護事業所」については、この加算を算定できないのである。これは明らかに国が、リハビリ特化型デイに対して、「ダメだし」を行った基準である。

国は通所介護について、個別機能訓練加算を算定する事業所を推奨して、それを算定しない事業所は倒産しても良い方向で報酬改定を行っているが、同時に機能訓練は重要でも、それだけに特化した事業所も望んでいないということだ。通所介護の目的は、「利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。」であり、日常生活上の世話と機能訓練をセットで提供するのが本来の姿であることを強烈にアピールしているのが、今回の報酬改定である。

この流れは今後も継続されることと思われ、リハビリ特化型デイは、経営の岐路に立たされる可能性が高い。

そうであれば今後リハビリ特化型デイは、日常生活の世話をセットで行う一般型デイに移行するのか、通所介護の看板を下ろして、短時間通所リハビリに転換するという選択が迫られる可能性が高い。

例えば短時間デイケアは、今回の報酬改定で、医療保険のリハビリテーション利用者が、より円滑に移行できるように要件が緩和される。医療保険の脳血管疾患等・廃用症候群・運動器リハビリテーションから介護保険のリハビリテー ションへ移行する際に、医療保険と介護保険のリハビリテーションを同一のスペースにおいて行う場合の面積・人員・器具の共用についての要件緩和が図られることになっているのである。よって医療機関が母体となっている場合は、短時間通所リハビリに移行するのが一番メリットがあるのではないだろうか。

どちらにしても今回の報酬改定は、リハビリ特化型デイサービスに対する、国の覚えがめでたくないことを証明した結果が示されたと言えよう。
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