介護保険制度は、介護保険法に基づいた制度ではあるが、その解釈や運用の一部については、管轄の地域行政担当課の判断によることがある。いわゆるローカルルールという問題である。
様々な地域事情があり、住民ニーズも地域によって異なるので、ある意味そうしたローカルな判断とルールは必要な場合もある。
例えば「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十八号)の第13条21項で「介護支援専門員は、居宅サービス計画に短期入所生活介護又は短期入所療養介護を位置付ける場合にあっては、利用者の居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意するものとし、利用者の心身の状況等を勘案して特に必要と認められる場合を除き、短期入所生活介護及び短期入所療養介護を利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない。」とされているが、ここでいう概ねの範囲は、地域のショートステイ資源状況や、その他のサービスとの兼ね合いで、地域行政がその範囲をローカルルールとして定めおくことは有りだろう。
だからと言って地域行政のローカルルールをすべて受け入れるのではなく、地域住民のニーズに合致していないルールや、サービス事業者にとって著しく不利益をもたらすルールについては、ソーシャルアクションの一環として物申し、変える提言をしていくことが必要な時がある。
悪法にも諾々と従うだけの態度は、傲慢な行政をのさばらせるだけだ。悪法だからといって守らなくてよいということにはならないが、守ったうえで、改善のアクションを起こすのは市民の権利であり義務である。
介護保険制度上の運用ルールで言えば、その事業に携わる専門家の責任と義務において、間違ったローカルルールには物申していくのが筋である。このことを決して忘れてはならない。
表の掲示板で、居宅介護支援事業所のモニタリング減算についての質問があった。
リセットルールを使ったショートの連続利用においては、ショートステイ事業所での滞在期間が1月を超える場合がある。そのためある一定期間は自宅に利用者がいないことになるために、担当ケアマネジャーの義務として定められている月1回の自宅訪問時のモニタリングができないことになる。
運営基準減算に該当した場合、当該者の基本単位数の5割を減算し、減算状態が2か月以上継続している場合、2ヶ月目より所定単位数を 算定しないというルールになっているため、ショート利用中は、この減算に該当するのかという質問である。
しかし法令で定められたリセットルール等を使って、ショートステイを長期間利用することは認められていることであり、その期間は利用者が家にいないのであるから、利用者宅訪問による面接とモニタリングは物理的に不可能である。よってこの場合は、減算対象とされない「特段の事情」に該当するとして、通常の居宅介護支援費が算定できるという解釈がされており、ほぼその通りのルールで運用されてきている。
しかるにある関係者から、当該スレッドのコメントとして、これにもローカルルールがあって、例えば以下のようなルールで運用されているというコメントがあった。
・「緊急的に長期間の短期入所が必要となった月は減算なし、翌月以降も短期入所を継続して利用して自宅に帰れない場合は保険者に相談」
・「短期入所を1ヶ月通じて利用をした1ヶ月目は減算なし、2ヶ月目は減算が必要」
・「そのような状況になったら、保険者に申請書や届出を提出して了承をもらうようにする」
もともと法令上で認められているショートの連続利用であり、そのルールを踏襲している限りにおいて、保険者に確認も届け出も必要とされない。これに緊急も計画的な場合も扱いの違いはない。そういう意味ではずいぶん勝手なローカルルールが横行しているといえるわけであるし、そういうルールを作る保険者担当者の頭はかなりいかれているとしか思えない。
そしてこうしたルールがあるという事実があるとしても、それに諾々と従うだけで何のアクションも起こしていない当該地域の関係者は、いったい何をしているのかといいたいところだ。
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