介護サービス事業以外の他産業から、介護業界に転職した多くの方が、介護業界の人々の言葉遣いに違和感を抱く。

顧客である利用者に対して日常的に、「ため口」で話しかける職員が多いことに対して、いったいどのような基礎教育を受けているのかと疑問を口にする人が多い。

しかしそんな思いは、介護業界以外の職業を経験したことのない人も同じく持つ思いであり、上司や同僚や部下の、利用者に対するため口に心を痛めている人たちもたくさんおられる。

しかしいったん言葉が乱れた職場において、言葉遣いの改善を図ろうとしても、なかなか全員の言葉遣いが正されず、結局一度良い方向に向かいそうになっても、利用者に対する言葉遣いを正そうとしない職員によって、全体が低きに流れて、元の木阿弥の状態に戻るという例が枚挙にいとまがない。

言葉を正しく使うことが感覚麻痺を防ぐ唯一の方法であること、利用者との会話における言葉遣いは、「丁寧語」を基本とすることが介護のプロとしての基本姿勢であることを、「介護サービスの割れ窓理論」として常日頃から主張している僕の講演を聴いた方からも、「どうしたら言葉遣いの改善が図れるでしょうか?」という質問を受けることがあるが、それに対して特別な処方箋や、特効薬は存在しない。

言葉遣いはプロのサービスマナーとして当然正されなければならず、それはサービスの品質を司る基盤であることを事業管理者が自覚して、覚悟を決めて、言葉の改革に努めなければならない。

事業管理者自身が、職員の手本となる言葉遣いをすることは当たり前であるが、同時に介護サービスという場のピッチに立つ職員の中で、リーダー役を担う職員には、徹底的に言葉の改善の大事さを理解させ、ピッチに立つリーダー自身も、利用者に対しては常に丁寧語で会話できるスキルを身につけさせて、言葉遣いに問題のある職員に対しては、叱ることを恐れない態度を身に着けさせるべきである。

その際の覚悟とは、どうしても言葉遣いを改善できない職員は、「必要ない」という決断を伴う覚悟である。人手不足など、様々なことを理由にして、この部分の妥協を許してしまう職場では、言葉の改善は掛け声倒れに終わってしまうだろう。

これからの介護事業においては、全サービスにおいて、安定的に顧客を確保するという必要性が高まる。そんな中で、権利意識の強い団塊の世代以降の高齢者がサービスを選ぶ際に、サービスの質が一番重要になる。ただ単にサービス提供できるだけではなく、どの部分でサービスの質を差別化するかが問われてくるが、自分の身を預けて身体に直接影響を受けるサービスであればあるほど、コマーシャルベースでよいことを謳っても、実質が伴わないところに顧客は張り付かない。

建物や宣伝文句が立派でも、やぶ医者にかかりたい人はいないのと同じことである。

その際のサービスの質とは、介護サービスに限って言えば、基本サービスができることは当たり前である。例えばオムツ交換ができない介護施設はないだろうし、排泄ケアができない介護職員もいないだろう。しかしそうした羞恥心が伴う部分の介護の際に、いかにその羞恥心に配慮しながら、プライバシーと尊厳を護るかという部分になると、それは介護技術や知識にとどまらない問題で、そこに一人一人の職員にいかに、「心からのおもてなし」=ホスピタリティの精神が存在するのかという問題になる。

しかしその精神は、「持ちなさい」と指導して湧き上がってくるものではなく、日ごろの心配りの延長線上にしか存在しないものなのである。

そうした心配りは、プロとしての矜持がない場所には存在しなくなる。そうした矜持は、サービスマナーの存在しない場所には生まれてこないものである。そうしたサービスマナーの基盤となるものが、利用者に対する正しい言葉遣いであり、その乱れは介護現場では常に割れ窓を広げるリスクになるだろいう。

そういった意味では、事業を立ち上げる時に、しっかりと職員教育を行い、お客さまである、介護サービス利用者の皆様に対して、普通に丁寧語で日常会話ができる職員を配置するというのは、今後の生き残りの事業経営として、必要不可欠であるともいえるわけである。


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