僕はこれから関西国際空港に飛び、関空からリムジンバスに乗って、明日の講演場所である兵庫県尼崎市に向かうが、搭乗待ちしている新千歳空港内で憤っている。

あほか・・・という一言とともに、開いた口がふさがらないニュースがネット配信されているからである。

7/10(月) 12:06配信の読売新聞のニュースによると、介護現場の深刻な人手不足を補うため、厚生労働省は、介護の経験がない人を対象にした全国共通の『入門研修制度』を創設する方針を決めたそうである。

入門研修は、初任者研修と無資格者の間に位置づけられ、初任者研修(130時間)よりも短い30〜40時間程度を検討しているとのこと。研修内容は、介護保険の概要・着替えやトイレへの移動の介助・緊急時の対応など、介護に関する最低限の知識と技術を学ぶとされ、試験はないそうである。

これによって何が変わるというのか?

記事によれば、『修了者は、主に施設で簡単な介助や配膳、掃除など補助的な業務を担う。その分、介護福祉士らが、認知症の人の介護など専門性の高い仕事に専念できるようにする。修了者がキャリアアップのため初任者研修を受ける際には、科目の一部を免除する考えだ』とされている。

もう一度言う。『あほか‼︎』。そんなことで今の人手不足が解消されるわけがないだろう、というより何の役にも立たない。

初任者研修資格が必要なのは、訪問介護サービスにおける、保険給付の訪問介護事業だけだ。

圧倒的に人手不足が叫ばれている(夜勤を伴う)介護施設の介護職員は、何の資格も必要ない。それにも関わらず介護職員の募集に人が集まらないのは、資格がネックになっているのではなく、業務負担に比して報酬が低いと思われているからだ。介護職員処遇改善加算などといういびつな報酬体系でいくばくか給与が上がっても、事業経営を危機的にする介護報酬体系化で、介護事業の将来に不安を感じて他業種へ転職する職員が多い中、ますます業務量が増えることに疲弊しているためだ。

施設での簡単な介助や配膳、掃除など補助的な業務しかできない職員なんて何の役にも立たんわ!!そんな職員が増えて、有資格者が専門性の高い介護に専念なんてできんわ!!簡単な介助や間接的介助しかできない人のしりぬぐいに奔走して疲弊して、みんなやめていくわ!!

そもそも現状では、ヘルパー2級資格も持たず、初任者研修受講経験もない人であっても、施設に就職すれば介護福祉士と同様の業務を行っているし、そのうえで夜勤もしてもらえなきゃあ意味がないだろうが。介護施設のOJTでおこなうような内容の研修を増やして、そんな意味のない有資格者を増やして何が変わるというんだ?

このことが人手不足対策としてまじめに考えられた結果であるというなら、厚労省の役人の頭の中身は相当腐ってるぞ。そうではなく何らかの利権がらみの研修制度だとしたら、心が相当腐っているということだ。例えば入門研修制度を受託する組織が水面下で決まっていて、そこで生ずる利権がらみの資格創設ということであればこの世は闇だ。

どちらにしても、こんな対策しか打ち出せない国に任せていては、人手不足など無策のままと同じである。もっとまともな役人はいないものなのか。これではまるで厄人ではないか。

政治家ももっと勉強して(この程度のことは勉強せんでも判断できそうなものだが・・・。)、下らん厄人の浅はかな考えをたしなめ、正せよと言いたい。

本当に現実を分かっていない暇な役人が考えることは、介護サービスの現状を知るものからすれば荒唐無稽である。つまらないお笑い芸人のコント以下で笑うことすらできない。


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