介護福祉士養成校の集中授業も、残すところ今日午後からの授業一コマ90分となった。
僕の担当は1講座15コマのみであるから、学生の人となりの深い部分の教育には手が届かないが、自分の受け持つ範囲で、できるだけ個人の力を引き上げようと努力はしているつもりだ。
しかしいかんせん時間が足りない。しかも学生の人数が減っていることに比例して、その資質は下がっているような気がしてならない。優秀な学生もいる反面、同じことを繰り返し教えても、打って響かない学生がいることも事実だ。授業態度や学びの姿勢について、同じことを何度も注意しないとならない学生もいる。
より深刻なのは、コミュニケーション能力の欠如である。考え方を言語化する能力、文章力の低下には危機感を持たざるを得ないレベルである。
恐らくその原因は、本を読む習慣がないことである。高校を卒業した者なら、当然すらすらと音読できなければならない文章を、何度もつかえてやっと読めるならまだましで、漢字を読めないというレベルの学生に、どうやってコミュニケーションスキルを訓練するのか頭を悩ませる毎日である。小中学生のうちから、もっと本を読む習慣を、すべての生徒につけるような教育プログラムの改正が必要なのではないだろうか。
そのため僕の授業の冒頭は、演習に使うテキストを順番に音読させることから始めている。一つの演習授業に使うテキストは、19人の学生がほぼ全員音読にあたる量にしている。つかえつかえで、聞き取りにくい学生や、相変わらず漢字を正確に読み取ることができない学生もいるが、何とか与えられた箇所を、クラス全員に聞き取ることができる声で、音読することはできるようになってきている。・・・ここから始めなければならない学生もいるという事実には、愕然とするものがあるかもしれないが、これが現実である。
加えて自分の考え方を文章化・言語化するための訓練も続けている。演習課題の討議内容は、発表者が下限時間と上限時間の範囲で、発表を行うことにしており、僕の授業の中で一人最低3回は発表しなければならなくなる。下限時間を5分としているから、5分を下回る発表は許されず、実質の発表時間が5分を超えるまで、課題と関係のない話題でもなんでも話さねばならないというのがルールで、演習討議内容の記録だけを読んでも、この時間はクリアしないので、必然的に自分の考えを交えながらの発表になる。
最初の発表でうまくいかなかった学生も、回を重ねるごとに何とか下限時間はクリアできるようになっているので、この部分は当初よりもスキルアップしていると認めてあげても良いだろう。
介護福祉士の資格取得に際し、介護福祉士養成校の卒業者にも、国家試験の合格が必要になるのは2022年度からである。そういう意味で、今教えている学生は、学校を卒業さえできれば介護福祉士になれる。その中には、国家試験を受けたら合格が難しいと思われる学生もいることは事実だ。
そういう意味で、資格取得の新ルールを先延ばしたことは良かったのか、悪かったのか・・・。介護福祉士の数の確保という面では、介護福祉士養成校への入学者がこれ以上減らせないという意味も含めて、先延ばしはやむを得なかったのかもしれないが、質を考えると、先延ばしによって人員確保はされても人材確保はますます難しくなったと言えるのかもしれない。
看護学校でも特別講義を行う機会があるが、教科書を読むことができない看護学生はいないことと比べると、介護福祉士養成校の学生の質の低下は、もっと深刻に議論されても良い気がする。
そうした中で少しでも質の引き上げを図るべく、忍耐と努力を重ねているのが、養成校講師の現状である。
そうは言っても、可愛い生徒であるから、近い将来の飛躍を期待して、大事に磨いてきたつもりである。来春お世話になる皆様にも、どうか長い目で見てやっていただきたい
よろしくお願いします。
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職場で新人もどきの若者を預けられ、同じ事を8ヵ月も言い続けてきました。打っても響かない相手に、かなり辟易しています。
ただ単にやる気がないのか、学習障害等の理由でできないのか・・・。
頭を悩ませる毎日です(汗)
先日は、入居者様のご家族様から直々に苦情を戴き、挨拶の仕方を1から教えたところでした(苦笑)
福祉系の大学を出ているというだけで、頭でっかちで、挨拶さえできない。何ヶ月も同じ事を言われ続けているのにできない。やらない。
長い目にも限界を感じていました^^;
このブログを読んで、もう少しだけ、ほんの少しだけ長い目になろうかな…と、思いました。