5日に行われた社保審・介護給付費分科会では、居宅介護支援もテーマの一つとされ、特定事業所集中減算がどうなるかなどに注目して傍聴していた関係者もいたようであるが、訪問介護や訪問看護、共生型サービスといった別のテーマに時間がかかってしまったため、タイムオーバーでその議論は次回以降に持ち越しとなった。
居宅介護支援事業の関係者にとっては、肩透かしといったところだ。
ところで審議に時間がとられた原因は何だろう。それは訪問介護の生活援助の在り方が議論の俎上にのぼって、それに対する意見が割れたということのようだ。
厚労省は財政削減の観点から、生活援助主体のサービスは市町村の総合事業へ移行させるか、介護給付の生活援助とした場合も、資格要件を緩和すべきという方向に意見を集約したかったようであるが、それに対する賛否が分かれたということである。
訪問介護の生活援助については制度開始当初は、「家事援助」と呼称されていたサービスで、「掃除」・「洗濯」・「買物」といったサービスが主になることで、誰でもできるサービスとして、制度改正のたびに、保険給付サービスとしての適性が議論され続けている。
そのことに加え、本年4月以降に全保険者で始まった「新総合事業」の、要支援者に対する、「基準を緩和した訪問型サービス」においては、ヘルパー資格等が必要がない、保険者主催研修受講のみでサービスを提供できる仕組みになっている。
わずか1〜2日の研修受講のみで、生活援助サービスが提供できるならば、それは介護給付も同様にしてよいもので、これによって多様なサービス提供者による、単価の低いサービス提供が可能になるという意味だろう。
これに対する賛成意見は、「人員基準を緩和して役割分担すべき」、「段階的に地域へ委ねていくべき」というもの。
一方では、「高齢者の在宅生活を支えるのに不可欠」、「生活援助への評価が低すぎるのではないか」、「介護離職ゼロを目指す方針に基いて慎重に検討すべき」という反論の声も挙がり、その意見陳述に時間がかかったということのようである。
訪問介護事業者にとっては、生活援助が介護のプロの知識と技術で行われているのかが問われる結果となる。次回まででに、この賛否の声を国側がどうまとめるのかが注目されることだ。
なお生活援助については、ひと月に100回を超えて利用しているケースが認められた(昨年10月審査分)ことについて、先月27日に調査結果を公表した際に財務省から、「必要以上のサービス提供を招きやすい。1日に算定できる上限の設定など報酬のあり方を見直すべき」と注文をつけたことも取り上げられたが、これに対しては上限設定に賛成意見が出された一方で、「必要なサービス回数ではないか」、「丁寧に考えてほしい」などの多数訪問に肯定的な意見も出されている。
また集合住宅におけるサービスの適正化については、同一建物のサービスについて厳しい意見が相次ぎ、次回報酬では同一建物減算のさらなる強化が現実的になっている。
次回まで先送りされた居宅介護支援事業については、論点資料が出されている。
5日は時間切れで説明はなかったものの、その内容を読むと、居宅介護支援事業所の管理者について、どうやら国は、「主任介護支援専門員」の資格者としたいようである。なるほど、この案の本音は、研修費という形での費用徴収であろう。主任介護支援専門員の資格を得るため、その資格を更新するために、研修受講義務があるので、これによって研修費という形で居宅介護支援事業所あるいは介護支援専門員個人から、定期的に費用を回収できるというわけである。こずるい考え方である。
特定事業所集中減算については、廃止の色があまり強く見えない。ルールやプロセスのマイナーチェンジに終わってしまうのだろうか?
連携加算については、末期がん患者の退院支援に新加算が設けられるかもしれない。また退院時だけではなく、入院時に居宅介護支援事業所から医療機関への情報提供を強化するような新ルールが設けられる可能性もある。どちらにしても居宅介護支援費は、基本サービス費用の変更はないので、管理者等の配置基準と、加算・減算の新ルールに注目である。
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