CBニュースが、2017年06月29日 11:00にネット発信した記事で、「医療関係者はケアマネジャーを、ケアマネジャーは医師を、最も連携が取りにくい相手と考えている」というアンケート結果を明らかにしている。

ちなみにこの記事を書いている記者は、快筆乱麻!masaが読み解く介護の今の担当者の方である。まあそれはともかく、このアンケート結果は実に興味深い。

ケアマネが、医師を最も連携が取りにくい相手と考えているのはなんとなく理解できる。いわゆる、「敷居が高い」という状態で、そもそも連携のためのアポイントさえ取れない、とる方法がないと考えているのかもしれない。

そもそも医師の中には、他職種との連携の必要性を感じていない人も多く、患者の担当ケアマネジャーという立場であっても、それがどうしたという態度の人もいる。連絡をすること自体を嫌う人もいる。医師は連携するのではなく、指示命令するものだと決めつけている人もいるから、連絡するだけで怒られたりする場合もあるので、この「敷居高い感」はなくならないだろう。

そういう意味では、医療関係者ではないすべての職種では、最も連携が取りにくい相手は医師であると考える傾向にあるのではないだろうか。

一方医療関係者が、「ケアマネジャーが最も連携が取りにくい相手」と考える理由については、配信記事の中で、「知識が乏しいことが多く明確に状況を説明できない」というふうに、ケアマネジャーの医療的知識について不安を覚える医師が多い、というふうに解説されている。

しかしそうであれば、連携をとりにくい相手としては下位に位置する「事務職」などは知識が乏しくはないと考えているのだろうか。そうではないだろう。

おそらく医療関係者が、ケアマネを連携のとりにくい相手だと考える一番の理由は、「連携しなければならない相手先として、一番に挙げられる職種がケアマネジャーである」という理由だと想像する。それゆえ自身の要求が伝われないことにジレンマを感じている医療関係者が多いということではないだろうか。

医療関係者が連携をとりにくくはないリハビリスタッフなどは、そもそも同一医療機関の中で、連携しあうシステムの中に位置する職種であるという意味があろうし、連携のとりにくい職種として、ケアマネジャーより、ヘルパーが下位にある理由は、医療関係者がヘルパーと直接連携する必要はなく、ケアマネジャーを通じて連携する相手先だと考えているからではないのだろうか。

それにしても医療関係者が指摘する、「ケアマネジャーの知識不足」とは一体何だろう。もっと具体的に、○○の関しての知識というふうに指摘してもらいたい。

まさかケアマネに対し、医師と同じ医療知識を求めているわけではあるまい。どの部分の、どんな知識を求めているかがもっと具体化されないと、知識不足と指摘されたケアマネジャーにとっては心外なことに思える。

その内容によっては、連携の障害となるものの実態は、ケアマネの知識不足ではなく、医療関係者の伝達力不足であったり、連携に臨む姿勢であったりするのではないだろうか。

対人援助における連携とは、「複数の人(非専門職も含む)及び機関が、利用者支援という目的を共有し、単独では解決できない課題に対して、主体的に協力関係を構築して、目的達成に向けて取り組む相互関係の過程」である。そして協力とは、誰かの力を借りる前に、自分の担当領域を自分自身の力でしっかりカバーするという前提によって成り立つものである。

自分と異なる専門性をもった人に、自分がカバーしきれない領域のコンサルテーションを受けるという意味として協力を仰ぐのである。その時に自分と同じ知識をメンバー全員に求めるものではないはずだ。

勿論、他職種や他領域のことをまったく知らないと、所属意識の弊害が発生して、思考が自分の専門領域のみの利益に偏る恐れがあり、他のメンバーの役割りや思いを理解しようとする態度は、多職種連携の基盤であるともいえる。そういう意味でケアマネジャーには、医療関係者とのコミュニケーションスキルとして、最低限の医療知識や看護知識は必要とされるわけであるが、それ以上でも、それ以下でもないはずである。

ケアマネジャーとしても、忙しい医師に対し、ケアマネと同様の介護保険制度の知識を求めているわけではないはずだ。

このあたりのことを踏まえて、指摘されているケアマネの知識不足という部分については、もっと具体的内容を示してほしいと思うのである。
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