今週月曜日から、介護福祉士養成校の今年度担当授業が始まった。

非常勤講師として、講義を行うようになってもう15年以上になるが(正確に何年かは忘れた。)、学生に教えながら、彼らの熱意に触れて僕も刺激を受けることができる機会ともなっており、そこは僕にとって得難い貴重な場所である。

しかし心配なこともある。それは毎年生徒数が減っていることであり、そのことには危機感を抱かざるを得ない。

僕が非常勤講師として担当し始めた当初は、1学年2クラスであったものが、いつのころからか1クラスになり、クラスの中の生徒数も少しずつ減ってきており、今年の2年生は19名である。(途中リタイヤした学生が2名いる。)

僕が現在担当している授業は、社会福祉全領域に関する演習授業である。ちなみに本日午後からの演習は、家庭問題をテーマに、DV(配偶者からの暴力)について考える予定である。全15コマの授業すべてが演習授業のため、クラス内で4グループに分けているが、そのうち1グループは4名のメンバーとなってしまう。ちょっと寂しい感じである。

それにも増して憂慮しなければならないことは、介護福祉士というマンパワーの養成現場が、このような状態であって、果たしてこの地域の人材育成がこのままでよいのかという問題である。僕の受け持っている学生が、全員がこのまま無事に卒業したとしても、当校からは今年度20名に満たない介護福祉士しか世に送り出せないということである。しかも、登別・室蘭・伊達という胆振中部〜東部にかけての広い圏域において、介護福祉士養成校は、ここ1校しかないので、この地域全体で新卒の介護福祉士が20名に満たないという意味でもあり、地域の介護職員のマンパワーの確保という面が懸念される状態といえよう。

しかしこの問題に関していえば、特効薬となる処方箋はないと言って過言ではない。各事業者の人材確保は、それぞれの知恵で行うしかないのが現状である。

そのような状態だから当然、卒業生の就職率は100%である。そういう意味では学生側は売り手市場であって、職場の選択肢も多いと言える。人材不足の中で、介護職員処遇改善加算の影響もあって、他産業より低いと言われる待遇も改善傾向にあるし、そもそもこの地域で言えば、介護職員として正規雇用を受ければ、他産業に比して極端に給与が低いわけでもなく、就職先によってはかなりの高待遇で雇用される場合もある。

よって「安定した雇用が期待できる職業」ともいえるわけであり、そういう動機で入学者が増えてほしいところである。

僕は年度最初の授業では、介護福祉士養成校に入学した動機をテーマにした演習を行っている。その中で、介護福祉士という資格を取得することによって、就職にも困らず、将来にわたって安定した仕事を続けられるという意見が出されたりする。

それに対して僕は、「就職に困らない」という現状認識は良しとしても、「将来にわたって安定した職業である」という点については疑問符を投げかけている。

日本の介護問題は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年から約15年間が正念場となる。逆に言えば、2040年以降、介護サービスの必要量は、相当の勢いで減っていくのである。その時に、今と同じ仕事を続けることができるとは限らない。

例えば今年度の卒業予定者の現役世代は、平成9年と平成10年生まれである。男女比で言えば男性6割、女性4割で、介護福祉士養成校もすでに男子の数が女子を上回っている。

そうであれば来春卒業して、介護の職場で働くことになる20歳代の若者が、40歳代の働き盛りの年代に、介護を受ける人が減るという流れ中に身をゆだねることとなる。

僕は教師として、そのことをどう考えるかと問うたうえで、僕なりの分析を披露して、どのような時代になっても、選ばれる介護福祉士になるように、スキルを磨く必要があることを強く訴えている。

介護福祉士の資格見直しに関連して、国家試験を受けずに資格取得できる福祉系養成校卒業生に対する受験合格義務化は、2022年度に先送りになっており、現在の学生は卒業と同時に介護福祉士の資格を得ることができる。そのような状況下で、就職にも困らないという状況であるが、自分を磨かなければ、将来必要とされなくなる恐れがあるとアドバイスしている。

そのために僕もできる限り、知恵を絞って学生に伝えていくつもりであるので、彼らが卒業後に就職する場所の先輩職員が、彼らの理想や思いを壊さずに、延ばす指導を続けてくれるように願ってやまない。
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