2009年に民主党政権が誕生した際に、厚労大臣に任命されたのは、年金問題で名をはせた長妻昭であった。
その長妻厚労相が、2010年4月に『職場でのうつ病のスクリーニング』の導入に言及し、労働安全衛生法の改正法案の国会審議が行われた。この法案は諸々の政治情勢下で、いったんは廃案となったが、政権交代を経た自公政権下で、2014年6月に可決され、2015年12月から50人以上の従業者がいる事業所では、1年に1回、定期健康診断とは別にストレスチェックを行うことが義務化された。
ただし、法案審議過程でも専門家団体から様々な反対意見が出されており、例えば2015年11月21日に、日本精神神経学会 ・ 精神保健に関する委員会が、『職場におけるストレスチェック制度実施に関する見解 』を出しているが、ここで示された課題が全て解決されたわけではなく、その懸念は今も存在している。
そもそも従業者が50人に満たない事業者へのストレスチェック義務化が見送られた理由は、職場の負担を考慮したわけではなく、『全事業所に対応できる専門家がいない』という課題と懸念を払拭できなかったことが最大の理由である。そうした問題が山積した中での、ストレスチェック義務化であることを、まず理解しておくべきであり、この改正法も介護保険制度同様、『走りながら考える』という一面があることを理解しておかないとならない。
さてこの制度はすでに実施されているため、その細かな内容を解説するのが、この記事の目的ではなく、ストレスチェックの意味を考えて、経営陣や管理者職の責任と義務という観点から、介護事業者がこの制度に、どう向き合うかということを考えるのが目的である。
ストレスチェックの目的は、一義的にはメンタルヘルス不調の未然予防であって、うつ病などのスクリーニングではない。厚労省は、結果としてメンタルチェックがうつ病を発見する可能性を否定してはいないが、あくまでそれはこの制度の副次的作用というものである。
それというのも、うつ病などの精神科疾患の場合は、治療を受け、療養さえすれば元気になるとは限らないために、その前段階で対策をすることが企業に求められているからである。
精神科医療では、疾病の経過を次の4つの段階で表すこととしている。
反応(はんのう)→治療によって症状が改善すること
寛解(かんかい)→治療が継続しているものの、症状が概ねなくなったこと
回復(かいふく)→寛解の状態が半年以上續いていること
治癒(ちゆ)→治療を受けなくとも安定し、すっかり回復していること
うつ病の場合、治癒につながるケースは少なく、2/3が寛解となり、そのうち半分以上が再発するのが現状であり、そうならないようにするのが、ストレスチェックの最大の目的である。
つまりストレスを感じるという状態は、アラーム(警報機)としての意味があるということで、本人や周囲の人が、アラーム(ネガティブ感情)に気づいて、対処することで身を護ることができるのである。ストレスチェックは、そのために必要な手段として義務化されたと考えるべきである。
とここまで書いたところで、今日も時間が無くなった。昨日同様、今日も1日介護福祉士養成校での集中講義を行っており、まだ昼ごはんも食べていない。これ以上記事更新に時間を費やすと、ご飯を食べる時間が無くなるので、この続きはまた明日ということで、本日はこれにて終了させていただく。(明日に続く)
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